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ファーストデジタルCEO「AI決済時代が来る、ウォンもデジタル化が必要」

Uk Jin

概要

  • ビンセント・チョクCEOは、AI決済AIエージェント経済の到来でステーブルコイン需要が拡大するとし、FDUSDをAI経済システムの中核的な決済手段の一つに育てる考えを示した。
  • 同氏は、ウォン建てステーブルコインが韓国の金融商品資産へのグローバルなアクセスを高め、グローバル投資家の韓国市場参入を支える基盤になりうると語った。
  • ファーストデジタルは、ナスダックIPOFDUSDの利用先拡大、AIベースの金融インフラプラットフォーム「ファイナンス・ディストリクト」の事業拡大を通じ、デジタル金融サービスの利用拡大を目指す方針だ.

期間別予測トレンドレポート

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ビンセント・チョク氏、ファーストデジタルCEOに聞く

ドル建てステーブルコイン「FDUSD」の発行会社

ナスダック上場を推進、AIエージェント事業も

「ウォンの国際化へステーブルコインが必要」

「韓国の最優先課題はデジタル資産基本法」

ビンセント・チョク氏(ファーストデジタル最高経営責任者=CEO)が5月14日、ソウルのウェスティン朝鮮ソウル・パルナスホテルでブルーミングビットのインタビューに応じている。写真:ブルーミングビットのチン・ウク記者
ビンセント・チョク氏(ファーストデジタル最高経営責任者=CEO)が5月14日、ソウルのウェスティン朝鮮ソウル・パルナスホテルでブルーミングビットのインタビューに応じている。写真:ブルーミングビットのチン・ウク記者

「今後5年以内に人工知能(AI)決済の規模は大きく膨らむと思う。AI時代にウォン建てステーブルコインがなければ、韓国の資産とウォンはグローバル社会で疎外されかねない」

ファーストデジタル(First Digital)の創業者で最高経営責任者(CEO)のビンセント・チョク氏は5月14日、ブルーミングビットとのインタビューでこう語った。

ファーストデジタルは香港を拠点とするカストディー企業で、ドル建てステーブルコイン「FDUSD」の発行会社でもある。2017年に信託会社レガシー・トラスト傘下で、デジタル資産関連ソリューションの提供を目的に設立した。

FDUSDは現在、バイナンスなど世界の主要取引所でデジタル資産を購入する際の手段として主に使われている。5月14日時点の時価総額は4億580万ドルで、ステーブルコイン全体で13位の規模だ。

チョク氏は発行の背景について、既存の信託業を手がける立場から、デジタル資産市場にも伝統金融に準じる仕組みが必要だと考えたと説明した。そのうえで、香港で規制導入が視野に入ったことを受け、自社ステーブルコインを立ち上げたと明らかにした。

ドル建てステーブルコインの発行会社がみるウォン建てステーブルコインの必要性、会社の短期・長期目標、韓国のデジタル資産規制への考えを聞いた。

AI経済到来、「ウォン建てステーブルコイン」が必要

写真:ChatGPT生成
写真:ChatGPT生成

チョク氏は、ステーブルコインの発展過程を4段階で捉える。取引、分散型金融(DeFi)、決済、AIベースのエージェント経済の順だ。

AIエージェントが自ら決済や取引をこなす時代には、プログラム可能な決済手段としてステーブルコインが欠かせないという。FDUSDについても、AI経済システムの中核的な決済手段の一つに育てる考えを示した。

こうした環境では、ウォン建てステーブルコインも必要になると助言した。チョク氏は、ウォンはドルやユーロのように国際市場で自由に取引される通貨ではないため、その必要性に疑問を抱く向きがあるとしつつ、AI時代にウォンの存在感を保つには、グローバルなデジタル経済で使える形に発展させる必要があると強調した。

さらに、ウォン建てステーブルコインは単なる決済手段にとどまらず、韓国の金融商品や資産へのグローバルなアクセスを高める役割も担えると指摘した。世界の投資家が韓国市場により容易にアクセスする基盤になるとも付け加えた。

もっとも、自らウォン建てステーブルコインを発行する構想ではない。韓国企業にノウハウを伝える考えだ。チョク氏は、韓国を訪れるたびにできるだけ多くの企業と会うよう努めているとし、国際競争力を持つ金融、ゲーム、コンテンツ企業との幅広い協業の可能性を探っていると語った。

ナスダックIPOを推進、AIエージェント事業拡大

会社の短期目標は、ナスダックでの新規株式公開(IPO)とFDUSDのグローバル市場での利用拡大だ。ファーストデジタルは2025年12月、ニューヨーク市場に上場した特別買収目的会社(SPAC)のCSLMデジタル・アセット・アクイジションとの合併を進めると発表していた。

チョク氏は、現在進める上場手続きが順調に完了すれば、サークルに続く2社目の上場ステーブルコイン会社になると話した。上場で透明性と信頼性を高めれば、世界の中央集権型取引所(CEX)や分散型取引所(DEX)などでFDUSDの利用先拡大に役立つとの見通しを示した。

ファーストデジタルの「ファイナンス・ディストリクト」でエージェントに各種作業の実行を指示した。写真:ブルーミングビットのチン・ウク記者
ファーストデジタルの「ファイナンス・ディストリクト」でエージェントに各種作業の実行を指示した。写真:ブルーミングビットのチン・ウク記者

長期的には「AIベースの金融インフラ企業への飛躍を目指す」とした。

実際、ファーストデジタルは2025年、AIエージェント向け決済インフラのプラットフォーム「ファイナンス・ディストリクト(Finance District)」を立ち上げ、関連事業を拡大している。

ファイナンス・ディストリクトでは、AIアシスタントを通じて、トークンの送金・交換、ウォレット残高の照会、取引履歴の確認、DeFiでの預け入れ・引き出しなど、オンチェーン金融の作業をこなせる。利用者はChatGPTを使うように自然言語で要望を入力するだけでよい。

このほかファイナンス・ディストリクトは、「x402決済標準」との連携を通じて決済を自動処理するオンラインコマースも支援する計画だ。

チョク氏は、ファイナンス・ディストリクトの狙いはオンチェーン金融をもっと使いやすくすることだと説明した。AIエージェントを活用し、誰もが自然にデジタル金融サービスを使う時代を早める考えだ。

「暗号資産規制、世界がなお試行錯誤」

写真:ブルーミングビットのチン・ウク記者
写真:ブルーミングビットのチン・ウク記者

韓国が最優先で解決すべき課題として、チョク氏は規制を挙げた。足元では韓国のデジタル資産基本法を巡り、6月3日の地方選挙や中東戦争などの主要懸案に加え、法案の争点である取引所大株主の持ち分制限などを巡る与党内の意見対立もあり、審議にブレーキがかかっている。

ただ、デジタル資産規制を巡る混乱は韓国だけの問題ではないともみる。世界市場全体がなお試行錯誤の段階にあるという。

チョク氏は、香港とシンガポールでも当初はステーブルコインをどう規制するかで難しさがあったと述べた。各国の規制当局も互いの事例を参考にしながら基準をつくっている段階だという。さらに、米国は業界を先導しているものの、なおクラリティー法案(CLARITY Act)を巡る主要論点が残っており、欧州連合(EU)の暗号資産市場規則(MiCA)にも厳しすぎるとの指摘が続いていると説明した。

そのうえで、韓国の政策立案者を前向きに評価した。チョク氏は5月13日に国会を訪れ、非公開の懇談会と討論会に出席したと明らかにした。業界と直接対話しながら基準をつくろうとする動きが見て取れたと語った。

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