期間別予測トレンドレポート


政府仲裁でも事後調整は不調
労組「5月21日に全面ストを強行」
労組、成果給上限撤廃など譲らず
「追加対話はない」と強硬姿勢
金首相「スト回避へ対話を支援」
産業界「緊急調整権を検討すべきだ」

サムスン電子の労使は5月13日、政府仲裁の下で17時間に及ぶ事後調整を続けたが、最後まで折り合えなかった。労組は5月21日の全面スト突入を宣言しており、半導体生産ラインが止まる「シャットダウン」への危機感が強まっている。産業界や学界では、国家経済への打撃を防ぐため、政府が「緊急調整権」の発動に踏み切るべきだとの指摘が広がっている。
中央労働委員会の仲裁で5月12日から2日間にわたって開かれた事後調整は、結局、双方の隔たりを確認しただけで終わった。労使は5月12日午後から5月13日未明まで徹夜で協議したが、成果給制度を巡る認識の差は埋まらなかった。
中央労働委は今回の調整で、経済的付加価値(EVA)に基づく超過利益成果給制度の維持と、半導体(DS)部門への特別経営成果給の支給を折衷案として示した。これに対し労組は、営業利益の15%を成果給財源として確保することと、年俸の50%としている成果給上限の撤廃を明文化するよう求めた。今年の営業利益予想を基準にすると15%は約45兆ウォン(約4兆9500億円)に相当する。成果給が賃金の相当部分を占めるだけに、透明で固定的な算定体系が必要だというのが労組の主張だ。
会社側は現行の成果給制度を維持しつつ、経営実績に応じて特別成果給を組み合わせる「柔軟な報酬制度化」を代案として示し、対立した。
サムスン電子超企業労組のチェ・スンホ委員長は、5月13日未明の交渉決裂直後、「17時間のうち16時間は待機時間だった」と明らかにした。そのうえで「議題に変化のない調整は、全面ストの勢いをそぐ意図に見えたため、決裂を宣言した」と述べた。さらに「中央労働委の調整案は、成果給上限の維持など、むしろ後退した内容を含んでいる」と批判した。
チェ委員長は同日午後、水原地裁で開かれた仮処分審問の後も「事後調整までの5カ月間交渉してきたが、会社側の案はまったく進展しなかった」と語り、「スト終了前に会社と追加対話を行う考えはない」と付け加えた。労組集計のスト参加者は4万2000人で、最終的には5万人を超えるとみている。ただ、ライン設備の占拠など違法行為はせず、適法な争議にとどめる方針だ。
これに対し会社側は、労組が経営実績と無関係な「硬直的な成果給制度化」に固執しているとして遺憾の意を示した。一方で「最後まで最悪の事態を防ぐための対話努力を続ける」との立場を示している。

産業界や学界は、今回の事態が個別企業の労使対立の水準を超えたと警鐘を鳴らしている。サムスン電子は韓国の有価証券市場の時価総額の25.7%を占め、半導体は韓国全体の輸出の約35%を担う。この状況で18日間のストが続けば、国家経済に深刻な打撃となりかねない。人工知能(AI)覇権を巡る競争が激しさを増すなか、サムスン電子のライン停止は顧客企業の信頼を回復困難な水準まで損なう恐れもある。
ソウル市立大のソン・ホンジェ教授は「半導体ラインは工場が止まれば1日当たり1兆ウォン(約1100億円)規模の損失が発生する」と指摘する。ストが長期化した場合、営業利益は最大10兆ウォン(約1兆1000億円)減少しかねないという。さらに「30兆ウォン(約3兆3000億円)規模の直接損失が懸念されるなら、『国民経済を著しく害する恐れ』という緊急調整権の発動要件に合致する」と説明した。成均館大のチョ・ジュンモ教授も、供給網の安定に直結する問題だとして、政府は緊急調整の必要性を真剣に検討すべき段階に達したと分析した。
労働組合法76条に基づく緊急調整権は、発動と同時に争議行為を30日間禁じる強力な法的手段だ。1993年の現代自動車ストと2005年の航空会社ストで発動されて以降、21年間使われていない。
政府の対応も緊迫している。キム・ミンソク首相は5月13日、緊急の関係閣僚会議を招集し、「半導体は韓国経済の支柱だ」と強調したうえで、「いかなる場合でもストに至らないよう、労使対話が継続するよう積極的に支援せよ」と指示した。
ク・ユンチョル副首相兼財政経済相もSNSで、労使双方に原則ある交渉を求めた。キム・ヨンフン雇用労働相も「形式にこだわらず、何としても対話で問題を解決しなければならない」と強調した。
大統領府も情勢を注視している。カン・ユジョン大統領府首席報道官は記者会見で、「スト予定日までなお時間が残っている。労使が対話で問題を解けるよう最後まで支援する」と述べた。緊急調整権の発動可能性については「まだ労使間の対話の時間が残っているという言葉で代えたい」と語った。慎重姿勢を保ちつつ、土壇場では法的手段を検討する余地も残した発言と受け止められる。
キム・チェヨン/クァク・ヨンヒ/カン・ヘリョン記者 why29@hankyung.com

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