概要
- 米証券取引委員会(SEC)がトークン化株式取引を認めるイノベーション免除を打ち出し、ブロックチェーン業界とウォール街の金融機関の間で論争が広がっていると伝えた。
- SECのイノベーション免除は、パブリック・無許可型ブロックチェーンとスマートコントラクトの公開を条件とするが、具体的な基準がないため、ソラナやヘデラなどプロジェクト間の立場の違いが鮮明になっているとした。
- イノベーション免除の条件を満たした企業は、30日経過後に別途承認なしでトークン化株式の取引を開始できるが、トークン化対象に選ばれた米国上場企業の多くが反対の立場を示していると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


米SEC、トークン化株取引の「イノベーション免除」導入
「パブリック・無許可型」の基準巡り解釈割れる
トークン化対象の上場企業は反発

米証券取引委員会(SEC)が、トークン化株式の取引を認める「イノベーション免除(Innovation Exemption)」を打ち出し、波紋を広げている。ブロックチェーンの各陣営が、自らのネットワークこそ免除対象に含めるべきだと主張しているためだ。
デジタル資産専門メディアのクリプト・イン・アメリカは10月24日、SECのイノベーション免除を巡り、ブロックチェーン業界やウォール街の金融機関の間で様々な意見が出ていると報じた。
SECはこれに先立つ9月、一定の要件を満たした企業について、既存の証券取引所として登録しなくても、トークン化した米国株を取引できるようにするイノベーション免除を公表した。トークン化株式は、従来の株式に伴う権利をブロックチェーン上のデジタルトークンとして表現した資産を指す。
SECは免除の条件として、トークン化株式の取引に使うスマートコントラクトを外部から検証できるよう公開することに加え、パブリックかつ無許可型のブロックチェーン上で運営することを求めた。
もっとも、SECはパブリック・無許可型ブロックチェーンの具体的な基準を明確に示していない。ブロックチェーンごとに取引検証の方式やネットワーク運営の構造が異なるため、どのチェーンを認めるべきかを巡って解釈が分かれている。
実際、トークン化株式の取引プラットフォームの運営を準備する企業も、それぞれ異なるブロックチェーンを選んでいる。
現在、SECに運営計画を届け出た企業はTSV、OKXICE、ケパスの3社だ。TSVは機関投資家向けブロックチェーンのキャントン・ネットワーク(Canton Network)を活用する計画だ。OKXICEとケパスはそれぞれ、自社グループが開発したイーサリアムのレイヤー2ネットワークを使う予定である。
ソラナは「基準厳格化」を主張、ヘデラは「許可型も含めるべき」と反論
業界では、イノベーション免除の対象に含めるブロックチェーンネットワークの基準を巡り、相反する主張が出ている。
ソラナ政策研究所(Solana Policy Institute)は10月22日、SECに意見書を提出し、無許可型ブロックチェーンの定義をより厳格に定めるべきだと主張した。誰でもブロックチェーンにアクセスできるという事実だけで、無許可型ネットワークとみなすべきではないとの立場である。
そのうえで、取引の検証や遮断の権限を誰が持つのか、ネットワーク運営ルールを誰が変更できるのかといった点を基準に、ブロックチェーンの実質的な分散性を評価すべきだと強調した。
一方、ヘデラ(HBAR)は正反対の見解を示した。
ヘデラは10月9日にSECへ提出した意見書で、取引検証に参加できる主体が限定されたブロックチェーンも、イノベーション免除の対象に含めるべきだと訴えた。
ヘデラは、誰でもネットワークにアクセスできる一方、取引を検証する権限は承認された参加者にだけ付与する仕組みを採る。ヘデラ側は、バリデーター参加が制限されているという理由だけで免除対象から除外すべきではないとの立場だ。
ただ、SECは当面、特定のブロックチェーンの適格性を判断するより、市場の自律的な実験を見守る構えを示している。SEC関係者は、今回の措置は正式なルール制定ではないと説明し、どのブロックチェーンモデルが適切かは市場に判断を委ねる考えを示した。
イノベーション免除の条件を満たした企業は、SECに運営計画を届け出た後、30日が過ぎれば別途承認なしでトークン化株式の取引を始められる。SECが個別企業の選んだブロックチェーンを事前承認する仕組みではないことを意味する。
「トークン化は望まない」――上場企業の反発も
一方、トークン化の対象に含まれた既存の上場企業の反発も強まっている。
OKXICEが当初、トークン化対象に選んだ米上場企業62社のうち、22社が反対の意思を示した。全体の3分の1を超える。
ロイターは10月23日、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)、アーム・ホールディングス(Arm Holdings)、インテュイット(Intuit)など6社が新たに反対の意向を示したと報じた。先に反対姿勢を示していた16社を含めると、計22社に達する。
Uk Jin
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