韓国の暗号資産課税まで1年 潜在課税対象活動109億ドル、世界11位
期間別予測トレンドレポート



2027年の韓国での暗号資産課税の導入を控え、課税基準や取引情報の把握を巡る議論が続くなか、同国の潜在的な課税対象となる暗号資産活動の規模は2025年に109億ドル(約1兆7400億円)に達するとの推計が出た。
ブロックチェーンデータ基盤のチェイナリシス(Chainalysis)が8月31日に公表した「暗号資産税務報告書(The Crypto Tax Report)」によると、2025年の韓国の潜在課税対象オンチェーン活動は、所得が20億ドル(約3200億円)、取引益が32億ドル(約5120億円)、決済が56億ドル(約8960億円)で、合計109億ドルだった。分析対象国のなかでは、米国の1126億ドル、ドイツの241億ドル、中国の210億ドルに次いで11番目に大きい。分析はビットコイン、イーサリアム、ソラナ、トロン、BNBスマートチェーン、ベースの主要6ブロックチェーンのオンチェーンデータをもとに実施した。
もっとも、報告書が示す「潜在課税対象活動」は、実際の課税額や想定税収を意味しない。各国の実際の税率や個別の非課税・免税規定を反映せず、ブロックチェーン上で観測される暗号資産関連の利益、所得、決済活動を分析した数値だ。中央集権型取引所の内部で生じた取引や、ステーキング、貸し付けなどブロックチェーン上で直接確認しにくい一部の活動も含まれておらず、実際の潜在課税対象活動は今回の分析を上回る可能性がある。
韓国の潜在課税対象となる暗号資産活動の規模は、同年の政府財政赤字75億ドル(約1兆2000億円)の144.05%に相当した。分析対象国ではポルトガルに次いで2番目に高い比率だった。ただ、これは暗号資産課税で財政赤字に見合う税収を確保できることを示すものではない。潜在課税対象活動の総額を政府財政赤字と比較した参考値にとどまる。
潜在課税対象活動が一部のウォレットに集中する傾向も確認された。韓国ではウォレットアドレス全体の28%が潜在課税対象活動の87%を占めた。シンガポールはアドレスの20%が活動の89%、ブラジルは32%が87%を占めた。一方、日本はアドレスの27%が活動の57%を占め、比較的幅広く分散していた。
世界の暗号資産課税を巡る環境も変化している。経済協力開発機構(OECD)の暗号資産報告枠組み(Crypto-Asset Reporting Framework、CARF)の導入に伴い、多くの国が2027年から暗号資産の取引情報の自動交換を始める見通しだ。ただ、今回の報告書によると、世界のオンチェーン潜在課税対象活動のうち、CARFで把握できる活動は約14%にとどまった。残る86%は分散型取引所(DEX)での活動、個人間(P2P)送金、オンチェーン上の所得や決済など、CARFの実質的な適用範囲の外にあるという。
このため、取引所など事業者が提供するオフチェーン情報と、ブロックチェーン上で直接確認できるオンチェーンデータを組み合わせて使う重要性が増している。セルフカストディー型ウォレットやDEX、海外プラットフォームに取引活動が分散しているため、取引所の申告情報だけでは納税者の暗号資産活動全体を把握するのに限界があるためだ。チェイナリシスは、CARFで確保した情報とブロックチェーンデータを併用すれば、納税者の暗号資産活動をより幅広く把握できると分析した。
チェイナリシス・コリアのクォン・ジュンヒョク支社長は「2027年の暗号資産課税の導入を前に重要なのは、課税基準を整えることと並行して、実際の課税対象となる暗号資産活動をどこまで正確に把握できるかだ」と述べた。そのうえで「CARFを通じて確保する納税者情報や取引報告情報と、ブロックチェーン上で直接確認できるオンチェーンデータをあわせて活用すれば、情報の死角を補い、課税対象活動をより広く正確に把握できる」と指摘した。
Minseung Kang
minriver@bloomingbit.ioBlockchain journalist | Writer of Trade Now & Altcoin Now, must-read content for investors.