概要
- 米中間選挙の「ブルーウェーブ」を受け、サムスン電子とSKハイニックスでは補助金と税額控除政策の変更や、支給遅延の可能性が取り沙汰されていると伝えた。
- 中国けん制を背景に、AI半導体需要やサムスン電子・SKハイニックスの長期供給契約(LTA)が大きな打撃を受ける可能性は低いとの見方が出ているとした。
- 民主党の環境配慮型エネルギー投資拡大路線を受け、電池・太陽光、ESS、サーバー向け非常用電池の需要期待が高まっていると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


米民主党圧勝が韓国産業界に及ぼす影響
サムスン電子・SKハイニックスの米工場向け補助金
支給手続きの増加や遅延の可能性
「半導体需要は当面縮小しない公算」
電池・太陽光は「環境投資復活」に期待

米中間選挙で民主党が上下両院を掌握する「ブルーウェーブ」の余波に、韓国の半導体各社が神経をとがらせている。米国で工場を運営したり、生産能力の拡張を進めたりしているサムスン電子やSKハイニックスが、補助金や税額控除を巡る政策変更の影響を直接受ける可能性があるためだ。
もっとも、半導体業界内外では人工知能(AI)投資の縮小懸念は行き過ぎだとの指摘もある。中国の「AI台頭」をけん制することは米国の超党派課題で、AI投資が大きく落ち込む可能性は小さいとの見方が背景にある。電気自動車や電池、太陽光業界では、環境配慮型エネルギー投資が再び勢いを取り戻すとの期待も出ている。
補助金手続きが変数、「中長期のAI需要はなお底堅い」
11月8日、業界によると、米中間選挙後にまずサムスン電子とSKハイニックスに影響する変数は補助金だ。サムスン電子がテキサス州テイラーで整備しているファウンドリー(半導体受託生産)工場は、米CHIPS法に基づき、連邦政府から最大47億4500万ドル(約7510億円)、テキサス州から最大2億5000万ドル(約396億円)の補助金を段階的に受け取る。SKハイニックスが8月に着工したインディアナ州の半導体工場には、最大4億5800万ドル(約725億円)の補助金が支給される。
ただ、今後は環境規制の順守認証など、補助金支給の手続きが増えたり、支給が遅れたりする可能性がある。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)はこのほど「2026年米中間選挙の結果と示唆点」と題する報告書を公表し、民主党が両院を握れば、既存協約の履行や支援金の執行、研究開発(R&D)事業などの財源運用に対する監督を強めると予想した。
現地の規制強化への懸念があっても、AI半導体需要がすぐに大きく縮むことはないとの見方が多い。サンミョン大学システム半導体工学科のイ・ジョンファン教授は「一時的にAIデータセンター建設にブレーキがかかる可能性はあるが、中国の脅威が意識されれば、米国のAI投資は後退できない」と指摘した。さらに、サムスン電子とSKハイニックスが結んだ長期供給契約(LTA)の一部に影響が及んでも、大きな打撃に発展する可能性は低いと語った。
新規データセンター投資は選別局面に入る見通しだ。民主党は電力や用水などAIインフラの費用を企業側に負担させる方針を予告している。データセンターは工場など他の大規模施設に比べて雇用創出効果が大きくないため、業界内外では雇用対策を求める動きが強まるとの観測もある。費用負担が膨らめば、採算性の低いデータセンター事業は推進力を失う可能性がある。
ビッグテックは対策を急いでいる。メタは複雑な許認可手続きを避けるため、既存データセンターの増設を検討している。アジアなど米国外にデータセンター拠点を築く案も浮上している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は中間選挙直後、社員に対し「砂漠にデータセンターを建設する案も検討できる」と話したという。

「マスガ」政策は維持の見通し
「ブルーウェーブ」が韓国の自動車業界に及ぼす影響は限られそうだ。韓国製自動車に課す15%関税は、大統領の通商拡大法232条に基づく措置で、議会の議席数にかかわらず行政府の所管だからだ。
一方、電気自動車の普及には追い風となる環境が整うとの期待がある。民主党は、2025年9月に終了した電気自動車購入時の税額控除の復活を進めている。焦点はドナルド・トランプ大統領が法案に拒否権を行使するかどうかだ。
民主党が環境関連事業に前向きなため、電池・太陽光業界もひとまず安堵している。米国で電池を生産する際に受けられる税額控除や、エネルギー貯蔵装置(ESS)投資支援を早期に縮小しようとする共和党の動きには歯止めがかかる見通しだ。データセンターの許認可遅延は重荷になるが、ビッグテックが電力不足や停電に備え、電力を蓄えるESSやサーバー向け非常用電池を増やすとの予想もある。
韓米造船協力プロジェクト「マスガ」の基本方針も維持されるとの観測が優勢だ。米造船業の再建と国防力の強化は超党派の課題であるためだ。
ノ・ユジョン/ヤン・ギルソン記者 yjroh@hankyung.com
Korea Economic Daily
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