「AIではなくSI」 トランプ氏の一声に米ビッグテック右往左往
概要
- トランプ大統領は、人工知能の呼称を AI から 超知能 SI に改めるよう圧力をかけ、関連する大統領令にも署名したと伝えられた。
- イーロン・マスク氏ら一部企業は事業部門やプラットフォーム名を SI に変更したが、多くの企業は AI のブランドと技術的定義の維持を選んだ。
- S&P500企業206社のうち188社が、決算発表や証券届出書類などで AI を9割以上使っており、SI の採用は限定的だった。
期間別予測トレンドレポート


政府文書でAI表記変更の大統領令
米企業206社のうち188社は採用せず

ドナルド・トランプ米大統領が、人工知能(AI)を「超知能(SI、Super Intelligence)」と呼ぶよう圧力を強め、テクノロジー企業が対応に追われている。ホワイトハウスの要求に合わせて製品名まで改める企業がある一方、長年築いたブランドや技術用語としての定義を守る企業もある。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が11月4日に報じた。トランプ大統領は9月末の国連総会で、AIという表現は技術を偽物のように見せるとして、超知能に改めるべきだと主張した。その数日後には、政府文書でAIの呼称を変更する大統領令に署名した。10月には、SIを使わない人をホワイトハウスの「敵」とみなすと警告した。
企業経営者の発言にも影響が広がっている。マイクロソフト(Microsoft)のブラッド・スミス副会長兼社長は10月、ポッドキャストで技術の安全規制を議論するなかで「AIの安全、いやSIの安全」と言い直した。マイクロソフトは、この技術を指す際に複数の用語を使っていると説明した。
エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、ホワイトハウスで技術安全に関する誓約書に署名した翌日、Xに「超知能の未来」と投稿した。ただ、その数週間後にベルリンの会議では「欧州のすべての企業はAI企業になる」と述べ、従来のAIという表現を使った。
テスラとスペースXのイーロン・マスクCEOはいち早く呼応した。スペースXのAI部門名を「SpaceXSI」に変更すると表明した。テスラは証券届出書類で、SIが既存のAI技術と活動を指すと明記した。セールスフォース(Salesforce)のマーク・ベニオフCEOも、AIForceプラットフォームをSIForceに改称すると明らかにした。一方、オープンAI(OpenAI)のサム・アルトマンCEOは「ブランドは簡単には変わらない」と述べ、社名を維持する考えを示した。
実際の企業資料ではAI表記が圧倒的に多い。S&P500種株価指数の採用企業が9月29日から11月2日に公表した決算発表、証券届出書類、報道資料をみると、関連用語を使った206社のうち188社がAIを9割超使っていた。両方の表現を併用した企業は11社、SIを9割超使った企業は7社だった。直近1週間でも、当該技術に言及した119社のうち、超知能を使った企業は5社にとどまった。
超知能という言葉には、すでに別の技術的意味がある。最も優れた人間を上回る認知能力を持つ仮想上のAIを指す。トランプ大統領はこれをAI全体の呼称として使おうとしている。企業は大統領の要求に配慮しつつ、技術を正確に説明し、ブランドも守らなければならない立場に置かれている。
非営利団体「安全なAIのための連合」のブレンダン・スタインハウザーCEOは、企業がホワイトハウスに正面から反対する姿勢は避けつつ、既存の用語を維持しようとしていると説明した。同団体も名称は変更しない方針だ。ホワイトハウス周辺でも表記の混在は続く。メラニア・トランプ夫人のフェイスブックアカウントは最近、学生向けコンピューティング競技大会を紹介する投稿でAIの表現を使った。
オ・セソン記者 sesung@hankyung.com
Korea Economic Daily
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