コイン・ドローンなど一族不正捜査に弾劾論も 岐路に立つトランプ氏の命運
概要
- トランプ一族が関与する ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF) の WLFIトークン 販売代金の 75% が一族に帰属する仕組みが、集中的な調査対象になると伝えた。
- UAEの投資会社MGX による 20億ドル(約3170億円)投資、USD1 に関連する 米国債の利子収入 がトランプ一族に帰属する構図と、AI半導体の輸出承認 が利益相反の疑いで調べられると報じた。
- トランプ一族を巡る 暗号資産、レアアース磁石、ドローン部品会社 への政府の 融資・事業受注優遇疑惑 が事実と確認されれば、弾劾 推進の可能性が取り沙汰されていると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


議会を掌握した民主党、大統領一族の腐敗捜査を予告
暗号資産収益の75%が一族に帰属
UAEから出資受けAI半導体の輸出承認
長男の投資先への政府融資も波紋
不正発覚なら弾劾に踏み切る可能性も

11月3日に投開票された米中間選挙で民主党が上下両院を制し、ドナルド・トランプ米大統領だけでなく家族にも逆風が強まっている。民主党は各常任委員会の調査権を使い、トランプ一族の私的利益追求や権力乱用の疑惑を徹底追及する構えだ。トランプ大統領に加え、ピート・ヘグセス国防長官ら側近閣僚への弾劾論も浮上している。
大規模な腐敗捜査を予告
11月4日付のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、民主党は議会掌握後、トランプ一族への調査に真っ先に着手する見通しだ。ハキーム・ジェフリーズ民主党下院院内総務は選挙期間中、「初日から腐敗した者たちに責任を問う」と語った。
最初の調査対象は、トランプ家の事業に資金を出した企業や投資会社、金融機関となる見込みだ。公聴会の開催や召喚状の発付、資料提出要求を通じ、資金の流れと行政府の意思決定のつながりを洗う。
主要な標的の一つが、トランプ一族の暗号資産事業だ。代表例は、トランプ家とスティーブ・ウィトコフ米特使の家族らが関与するワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)である。WLFはドル連動型ステーブルコイン「USD1」などを運営し、プラットフォーム運営に関する投票権を付与するWLFIトークンも販売している。ロイター通信によると、WLFIトークンの販売代金の75%はトランプ一族に帰属する。投資家のトークン購入が、大統領一族に直接の経済的利益をもたらす構図だ。
暗号資産事業家のジャスティン・サン氏は、WLFIトークンを計7500万ドル(約119億円)分購入した。米証券取引委員会(SEC)は2025年2月、同氏を相手取った民事訴訟を一時停止した。トランプ政権発足直後の対応だった。アラブ首長国連邦(UAE)の投資家によるWLF株式49%の取得も利益相反の疑いを招いている。取得額は5億ドル(約792億円)で、UAE向けAI半導体の輸出承認も論点になっている。
UAEの投資会社MGXが20億ドル(約3170億円)を投じたUSD1も同様だ。USD1の発行額に応じて購入した米国債から生じる利子収入が、トランプ一族に帰属する仕組みだからである。長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が出資したレアアース磁石保有会社に、米国防総省が6億2000万ドル(約982億円)を融資した問題も民主党が追っている。ドローン部品メーカーのアンユージュアル・マシーンズが1280万ドル(約20億円)規模の政府事業を受注した点も波紋を広げている。
こうした調査は、トランプ氏の政敵として知られる民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が主導する公算が大きい。ウォーレン氏は上院銀行委員長に就く可能性が高い。
弾劾の可能性を懸念する声も
腐敗や権力乱用の疑惑が具体的に確認されれば、民主党は大統領弾劾に踏み切る見通しだ。米憲法は大統領や副大統領などの弾劾事由の一つとして収賄を明記している。
米国の大統領弾劾では、下院で過半数が賛成すれば訴追案が可決される。その後、上院は弾劾案を審理する法廷となり、上院議員は陪審員の役割を担う。連邦最高裁長官の主宰の下で証人尋問などを進め、3分の2が賛成すれば最終的に罷免される。
民主党は弾劾に必要な上院67議席には届かなかった。トランプ大統領は第1次政権で2度、下院で弾劾訴追されたが、上院の防波堤で打撃を免れた。
ただ今回は事情が異なるとの見方もある。民主党主導の調査で、トランプ大統領が私益のために公権力を乱用したなどの重大不正が確認されれば、中間選挙の大敗で党内指導力が揺らいだ同氏を共和党が見限る可能性があるためだ。米国では大統領が弾劾されると、JDバンス副大統領が職務を引き継ぐ。
ニューヨーク=ファン・ジョンス特派員 hjs@hankyung.com
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