北朝鮮系ハッカーはどう進化したか AIとソーシャルエンジニアリングを組み合わせバイナンスまで標的に
概要
- 北朝鮮のハッカー集団 トレイダートレイター が AI を活用し、暗号資産の窃取規模と攻撃速度を急速に拡大していると伝えた。
- このハッカー集団は バイナンス など高価値の 暗号資産企業 を狙う ビッグゲーム・ハンティング 戦略と ソーシャルエンジニアリング を組み合わせ、大規模な窃盗を実行していると報じた。
- 北朝鮮のハッカー集団が2026年に報告された 暗号資産ハッキング被害額の89% を占め、収益が 北朝鮮の禁止兵器プログラム と 通常戦力の増強 まで支える水準にあるとの見方が示されたと伝えた。
期間別予測トレンドレポート



北朝鮮の国家支援ハッカー集団「トレイダートレイター(TraderTraitor)」が、人工知能(AI)を使って暗号資産の窃取規模を急速に拡大していると報じられた。AIの活用で、攻撃の速度と精密さを同時に高めているという。
11月2日、ブルームバーグによると、米連邦捜査局(FBI)は最近発生したバイナンスのハッキング事件の背後にトレイダートレイターがいると特定した。この組織は20分で63億6000万ドル(約1兆円)相当の暗号資産を奪った。その後に約28億ドル(約4411億円)が凍結され、実際の純流出額は36億ドル(約5671億円)に達した。北朝鮮の年間経済規模の約20%に相当する金額だ。
サイバーセキュリティーの専門家は、トレイダートレイターが高価値の暗号資産企業を選別して集中的に狙う「ビッグゲーム・ハンティング(Big Game Hunting)」戦略を取っていると説明する。サイバーセキュリティー企業ジースケーラーの脅威研究員、パク・ソンス氏は「この組織は大規模な収益を狙って暗号資産関連企業を標的にし、インフラを把握したうえで資金移転の過程を操作し、大規模な窃盗を実行する」と語った。そのうえで「AIツールの登場で、こうした攻撃に必要な技術的障壁は大きく下がった一方、作戦遂行の速度は飛躍的に高まった」と指摘した。
TRMラブズのニック・カールセン首席調査官は、トレイダートレイターの最近の手口をみると、AIを積極的に活用していることは明らかだと述べた。「この組織の中核戦術は結局、人だ」とも語った。重要システムへのアクセス権を持つ社員を見極め、高額の就職提案などで執拗に接近するソーシャルエンジニアリングと、高度なハッキング技術を組み合わせているという。バイナンスは初期調査の結果、技術者のノートパソコンが侵入経路だったと明らかにした。
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスによると、北朝鮮のハッカー集団は2026年に報告された暗号資産ハッキング被害額の89%を占めると推定される。専門家は、この収益が北朝鮮の禁止兵器プログラムのほぼ半分を支えうるとみている。国連の専門家パネルも、2024年の北朝鮮によるサイバー窃盗収益が大量破壊兵器プログラム資金の約40%を賄いうると明らかにしていた。
慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮の暗号資産ハッキングは、単なる外貨不足を補う手段を超えた」と評価した。
トランプ、バイデン両政権で米国家安全保障会議(NSC)の朝鮮半島担当部長を務めたアダム・ファラー・ブルームバーグ・エコノミクス首席アナリストは「いまや海軍艦艇やドローン技術への投資を含む通常戦力の増強まで支えられるだけの資金を確保しているようだ」と話した。
Minseung Kang
minriver@bloomingbit.ioBlockchain journalist | Writer of Trade Now & Altcoin Now, must-read content for investors.