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AIが塗り替えるビッグテック勢力図 アップルとグーグルに逆風、アルファベット10%安

出典
Korea Economic Daily

概要

  • アルファベットは検索・広告売上高の不振と巨額のAI投資を背景に株価が10%急落し、2四半期連続でフリーキャッシュフロー赤字を記録した。
  • マイクロソフトはアジュール売上高が48%急増し、フリーキャッシュフロー黒字も維持してAI投資の成果を示し、株価は4%上昇した。
  • オラクルやマーベル・ルメンタム、さらに米製油株相場まで、AIインフラとエネルギー分野では大規模設備投資とM&A、精製マージンの変化が投資判断の変数として浮上している。

期間別予測トレンドレポート

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写真:Shutterstock
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1. アルファベット10%急落、AI投資が逆風

グーグルの親会社アルファベットの株価は10月29日、10%超下落した。7〜9月期の検索・広告売上高が市場予想を下回り、人工知能(AI)が同社の中核収益源を侵食しかねないとの懸念が強まったためだ。通常取引でも下げが続けば、時価総額は約3950億ドル(約62兆4000億円)減る見通しだ。

7〜9月期売上高は、提携先への支払いを除くベースで1112億ドル(約17兆6000億円)となり、市場予想に届かなかった。検索・その他広告の売上高も期待を下回った。広告売上高の伸び率は直近5四半期で最低だった。ユーチューブ広告売上高も112億ドル(約1兆7700億円)と予想未達だった。

とりわけ焦点となったのは、AI検索の収益化だ。フィリップ・シンドラー最高事業責任者は、AIモードの利用が急速に増えている一方、広告による収益化の水準は従来の検索より低く、業績の重荷になったと説明した。チャットGPTやクロードといった競合AIサービスへの利用者流出も、グーグルの長期的な広告事業を脅かしている。

巨額のAI投資負担も投資家心理を冷やした。アルファベットが計算資源や電力確保のために約束した将来支払額は9240億ドル(約146兆円)にのぼる。まだ始まっていないデータセンターのリースなど今後の義務も1520億ドル(約24兆円)ある。合計では1兆760億ドル(約170兆円)を超えた。

アルファベットは2004年の上場以来初めて、2四半期連続でフリーキャッシュフローが赤字となった。今年の設備投資額は最大2050億ドル(約32兆4000億円)と、前年の2倍超に達する見通しだ。

7〜9月期の1株利益は2.12ドルで、市場予想の2.99ドルを大きく下回った。スペースXの持ち分投資などを中心に、87億ドル(約1兆3700億円)の持ち分投資損失が出たことも響いた。

一方、グーグルクラウドの売上高は307億ドル(約4兆8500億円)と、市場予想の291億ドル(約4兆5900億円)を上回った。営業利益も111億ドル(約1兆7500億円)と市場予想を超えた。ただ、ウォール街ではクラウド成長だけでは検索広告の不振とAI投資負担を打ち消すには力不足だとみる向きが多い。

2. AIが変える半導体の力学、アップルの屈辱

アップルが数十年にわたり維持してきたメモリー半導体市場での強い購買交渉力が、AI産業の急拡大で揺らいでいる。かつては世界最大のフラッシュメモリー購入企業として、供給業者に値下げを迫る立場だった。だが今は、AIデータセンターを建設するビッグテック各社がより高い価格を提示し、供給を先に押さえている。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は10月29日、2年前まではアップルのフラッシュメモリー購入量が、マイクロソフト、アマゾン、メタ、グーグルの4社合計の約2倍だったと報じた。足元では逆に、4社の購入量がアップルの約2倍に達するとの試算が出ている。

テックインサイツによると、フラッシュメモリー価格はこの1年で約5倍に上昇した。アップルの今年のフラッシュメモリー購入費用は250億ドル(約3兆9500億円)前後となる見通しで、前年の60億ドル(約9480億円)から4倍超に増える。

特に打撃を受けているのが、iPhoneのストレージ容量拡張ビジネスだ。昨年は、iPhone 17 Proの保存容量を256ギガバイトから512ギガバイトに増やす場合、消費者は200ドル(約3万1600円)を追加で支払えばよかった。当時のアップルの追加原価は15ドル(約2370円)程度にすぎなかったが、現在は66ドル(約1万400円)程度まで上昇している。

アップルは長年、この容量拡張で高い利益を稼いできた。WSJは、昨年のiPhone向け容量拡張だけで100億ドル(約1兆5800億円)超の粗利益が生じたと推計している。

過去のアップルの交渉手法は極めて強硬だった。調達を統括していたトニー・ブレビンス氏は、供給業者同士の価格競争を促した。他の顧客により安い価格で販売できないよう、最恵顧客条項も要求した。供給業者の帳簿を監査する権利まで確保していた。

WSJによると、キオクシアの営業幹部スコット・ネルソン氏はアップルとの交渉に不満を募らせ、自身のiPodを銃で撃ち壊したことがある。その残骸は今も机に保管しているという。

もっとも、いまはメタやマイクロソフト、アマゾンが高値を提示し、キオクシアと長期供給契約を結んでいる。供給業者にとって、アップルの値下げ要求を受け入れる必要性は薄れている。

3. マイクロソフト、AI投資の成果示す 株価4%高

マイクロソフトは、AIクラウド事業の高成長を追い風に市場予想を上回る決算を発表した。巨額のAI投資を続けながら、売上高の伸びとフリーキャッシュフローの黒字を同時に維持した点が好感された。

2027年度第1四半期の売上高は922億8000万ドル(約14兆6000億円)と、前年同期比19%増えた。市場予想の906億9000万ドル(約14兆3000億円)を上回った。調整後1株利益は4.89ドルで、市場予想の4.73ドルを超えた。

とりわけアジュールの売上高は331億7000万ドル(約5兆2400億円)と、前年同期比48%増となった。前四半期の42%増を上回った。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は、次の四半期のアジュール成長率について、為替の影響を除けば49〜50%になるとの見通しを示した。

今四半期の設備投資とファイナンスリースは452億ドル(約7兆1400億円)で、前年同期比で約30%増えた。全体の設備投資の約75%は、CPUやGPUなど比較的耐用年数の短い資産に集中した。

これはマイクロソフトが、データセンター建設だけでなく、すぐにAI演算サービスを提供できる半導体の確保に力点を置いていることを意味する。もっとも、GPUは技術進歩のスピードが速く、将来の減価償却負担が重くなる可能性はある。

今四半期のフリーキャッシュフローは186億3000万ドル(約2兆9400億円)で、前年同期比27%減ったが、黒字は維持した。アルファベットとメタが赤字を計上したのとは対照的だ。

マイクロソフトは、ワードやエクセル、アウトルック、チームズなど既存の法人向けソフトにコパイロットを組み合わせる戦略も広げている。サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、マイクロソフト365コパイロットの利用者数が前四半期比で50%増えたと明らかにした。

一方で、マイクロソフトは少なくとも250億ドル(約3兆9500億円)規模の社債発行も進めている。米投資適格社債市場への復帰は2017年以来、9年ぶりとなる。

年限は2年から40年まで幅広い。最長の2066年償還債の当初条件は、同年限の米国債を最大135ベーシスポイント上回る水準で提示された。

最上位の信用格付けであるAAAを持つマイクロソフトの大型起債は、債券市場がビッグテックのAI設備投資にどこまで積極的に資金を供給するかを測る試金石となりそうだ。

4. オラクル11%急騰、負債懸念が後退

米ソフトウエア大手オラクルの株価は10月28日、11%急騰した。その後、10月29日の取引開始後には3%安に転じた。長期の売上高成長目標とあわせ、追加資金調達額の上限を示したことで、巨額のAI投資に伴う負債膨張への警戒が和らいだからだ。

オラクルは投資家向けイベントで、2030年度の売上高が2250億ドル(約35兆5000億円)に達するとの見通しを示した。年平均で約35%成長する計算だ。営業利益率も40%を超えるとみている。

とりわけ2027〜2030年度の追加資金調達を総額200億ドル(約3兆1600億円)に抑えると表明した。このうち100億ドル(約1兆5800億円)は株式発行、残る100億ドルも負債で賄う計画だ。

オラクルは、サプライヤーによる金融支援や顧客が直接提供するハードウエア、顧客からの前受け金を活用し、初期の現金支出を減らす方針も示した。データセンター整備に必要な資金をすべて自前の借り入れで賄う考えではない。

長期負債は1170億ドル(約18兆5000億円)に達する。S&Pによる信用格付けは投資適格級の最低水準であるBBBマイナスだ。1段階下がれば投機的格付けに転落する。

AIデータセンター投資も急増している。2026年度の設備投資額は557億ドル(約8兆8000億円)で、前年の2倍超となった。2027年度には919億ドル(約14兆5000億円)に達する見込みだ。

オラクルは、2028年度下期にフリーキャッシュフローが黒字転換し、2029年度には300億ドル(約4兆7400億円)を超えると予想している。

もっとも、信用市場の懸念が完全に解消したわけではない。オラクルの5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムは277ベーシスポイントと、10月初旬の320ベーシスポイントからは低下したものの、年初比ではなお約2倍の水準にある。

市場関係者は、オラクルが示した売上高成長とキャッシュフロー改善計画を実際に達成できるかが、今後の株価と信用格付けを左右するとみている。

5. マーベル、ルメンタム830億ドル買収へ最終協議

米半導体メーカーのマーベル・テクノロジー(Marvell Technology)が、光通信機器メーカーのルメンタム・ホールディングス買収に向けて最終段階の協議を進めている。AIデータセンターの大規模化で、半導体とサーバーを高速でつなぐ光通信技術の重要性が高まっているためだ。

ブルームバーグ通信によると、両社は早ければ来週にも買収を発表する可能性がある。ルメンタムの時価総額は約830億ドル(約13兆1000億円)、マーベルは約2210億ドル(約34兆9000億円)だ。取引が成立すれば、世界の技術・通信業界の歴史でも10本の指に入る大型買収になる見通しだ。

買収交渉の報道を受け、10月29日の寄り前取引でマーベル株は約11%下落した。一方、ルメンタム株は約4.8%上昇した。

マーベルは、カスタムAI半導体とネットワーク半導体を設計する企業だ。ルメンタムは、データセンターの高速データ伝送に必要なレーザーや光学部品を生産している。

AIデータセンターでは、多数のGPUを接続して1つの巨大な演算システムとして運用する。この過程では、データ伝送速度と電力効率が重要になる。従来の銅線に代えて光を使う光通信技術への需要は急速に増えている。

光学部品の供給はすでに需要に追いついていない。マイケル・ハルストン最高経営責任者(CEO)は、主要な光学部品の受注が2029年初めまで実質的に完売したと明らかにした。一部製品では、来年の想定需要の約70%を満たせないとの見通しも示した。

ルメンタムは生産能力拡大に向け、日本に少なくとも3億5000万ドル(約550億円)を投じる計画だ。とりわけ高速光通信向けレーザーに使うリン化インジウムの生産拡大に力を入れている。

マーベルはこれに先立ち、光接続技術企業のセレスティアルAIを買収した。ルメンタムも傘下に収めれば、AI半導体とサーバー、データセンターを結ぶ光通信技術と中核部品の生産能力を同時に確保することになる。

エヌビディアも今年初め、ルメンタムに20億ドル(約3160億円)を投資することで合意した。AI業界の競争がGPU性能にとどまらず、データ伝送技術と光学部品の確保にまで広がっていることを示している。

6. 米製油株150%急騰、上昇相場は続くか

米製油会社の株価は今年に入り約150%急騰し、記録的な上昇をみせている。イラン戦争とロシアの製油施設の稼働障害で石油製品の供給が不足し、精製マージンが大きく拡大したことが背景にある。

ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、S&P500石油・ガス精製・マーケティング指数は10月26日時点で年初来157%上昇した。1996年の統計開始以来、年間ベースで最大の上昇率となる見込みだ。

個別銘柄では、マラソン・ペトロリアムが10月28日時点で年初来168%上昇した。バレロ・エナジーは136%、フィリップス66は109%それぞれ上げた。

もっとも、足元では利益確定売りも出ている。製油業種指数は10月27日に1日で7.9%急落した。2025年4月以来の大幅安だ。

製油会社の業績を押し上げた主因は精製マージンだ。精製マージンとは、原油を購入してガソリンや軽油などに加工し、販売する際に生じる価格差を指す。

10月28日の米ガソリン先物価格は1バレル約132ドル(約2万800円)、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は約102ドル(約1万6100円)だった。単純な価格差は1バレル当たり約30ドル(約4700円)に達した。

今年、精製マージンが急騰したのは、イラン戦争で中東の石油製品供給に支障が出たうえ、ロシアの製油施設への攻撃も重なったためだ。

ただ、最近はロシアの製油施設の稼働が回復している。JPモルガンは、10月15日以降はロシアの製油施設への攻撃が確認されていないと指摘した。先週の原油処理量は日量35万バレル増え、400万バレルに達したという。

供給正常化が進めば、精製マージンの低下が製油会社の株価の重荷になる可能性がある。

一方で、来年には別の供給不足リスクも浮上している。ガルフ・オイルのトム・クローザ首席エネルギー顧問は、2027年4〜6月期に米製油業界で前例のない大規模な設備保守が実施される可能性があると語った。

米製油施設は今年、高稼働率が続いたことで設備負荷が積み上がった。10月23日までの週の製油施設稼働率は92.8%と、前年同期より6.2ポイント高かった。

来年春に大規模保守が同時進行すれば、ガソリンや軽油の供給が再び減り、精製マージンが上昇する余地がある。

市場では、製油会社の高収益が続いても、株価はすでに大きく上昇しており一段高の余地は限られるとの見方がある。今後の製油株の方向感は、中東とロシアの供給正常化の速度、来年の設備保守の規模、精製マージンの変化が左右しそうだ。

ニューヨーク=パク・シニョン特派員 nyusos@hankyung.com

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