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ベース「サムスン電子・SKハイニックス株も24時間取引に」 カカオ・LINEと協業期待【コインタビュー】
概要
- ベースは株式トークン化、ステーブルコイン、オンチェーン金融インフラを通じ、取引・決済・融資を一体でつなぐ仕組みを構築していると明らかにした。
- シー・トン統括は、JPモルガン、ショッピファイ、アメックスなどグローバル機関との連携や、B20標準を活用した資産トークン化を通じて、オンチェーン市場への参入が広がっていると伝えた。
- 同氏は韓国で、サムスン電子、SKハイニックスなどの株式トークン化や、カカオ、LINEとの協業、ウォン建てステーブルコイン、さらに数千銘柄のトークン化株式確保を目指していると述べた。
期間別予測トレンドレポート


ニック・シー・トン ベース アジア太平洋(APAC)統括インタビュー
取引所を超え、取引・決済・融資をつなぐオンチェーン金融インフラを構築
JPモルガンやショッピファイなどグローバル企業でベース活用が拡大
AIエージェント決済をにらみ、マイクロペイメントとエージェンティックコマースに注目
「韓国は取引需要の大きい市場」――株式・ステーブルコインでの協業に期待

「コインベースは、最終的にはすべての資産がオンチェーンに載り、24時間取引される未来を見据えている。取引と決済、金融を一つのオンチェーンインフラでつなぎ、機関投資家や開発者がその上で新たなサービスをつくれるようにするのが、ベースの目指す方向だ。今後はAIエージェントも新たな経済主体として加わり、オンチェーン金融の活用範囲はさらに広がるだろう」
ベースのニック・シー・トン アジア太平洋(APAC)統括は10月20日、ブルーミングビット(Bloomingbit)とのインタビューでこう語った。機関資産のトークン化から人工知能(AI)エージェント基盤の決済まで、オンチェーン経済の用途は急速に広がっていると指摘した。韓国でも株式トークン化やステーブルコイン、主要プラットフォーム企業との協業余地は大きいとの認識を示した。
ベースは、米暗号資産交換業大手コインベースが育成してきたオープンなブロックチェーンネットワークだ。コインベースの機関投資家と利用者の基盤を生かし、取引、決済、金融サービスをオンチェーンでつなぐインフラの整備を進めている。
コインベースはなぜベースを作ったのか 「取引所を超え金融インフラへ」
コインベースがベースを立ち上げた背景には、中央集権型取引所だけでは実現しにくい「オンチェーン金融インフラ」を自ら構築する構想がある。当初はオプティミズムの技術を基盤に成長したが、2026年に入り拡張性を高め、アップグレードや技術ロードマップを自ら統制するため、独自の運用スタックへ移行した。いまは独立したパブリックなオンチェーンインフラへと領域を広げている。多様な外部開発者や金融機関が自由に参加できる、オープンでパーミッションレスなネットワークを目標に据える。
独自のオンチェーンネットワークを持てば、既存金融で分断されていた取引、決済、融資などを一つの資産を軸に接続できる。コストと参入障壁も下げられる。シー・トン氏は一部のストラクチャード金融商品を例に挙げ、「銀行では運営、決済、法務コストのため最低取引金額が10万〜20万ドル(約1580万〜3170万円)に達することがあるが、オンチェーンではこうした過程が自動化され、プログラム可能になるため、取引をより小さな単位に分けられる」と説明した。
従来の金融と比べ、Web3基盤では取引や資金活用のスピードも大幅に短縮できるという。「伝統的な金融では、ある株式を売って決済を待ち、その後に両替して別の株式を買うまで4〜5日かかることがあるが、オンチェーンではスワップを即座に実行できる」と話した。株式ポートフォリオを担保に融資を受ける場合も同様だ。「銀行ではLTV審査に3〜4日かかることがあるが、オンチェーンでは担保を預ければ数秒で借り入れられる。金融では時間そのものが資金であり、スピードは最大の強みの一つだ」と強調した。
「JPモルガン・アメックス・ショッピファイもベースで」 機関のオンチェーン参入拡大
機関投資家のオンチェーン参入も、ベースが重点を置く分野だ。シー・トン氏は「とりわけアジアでは、より多くの機関がオンチェーン市場へのアクセスを模索している」と述べた。米国で暗号資産規制の明確化が進んでいると機関が認識し始めたことで、アジアの機関もオンチェーン活用の可能性に目を向け始めたという。トークン化を通じて金融商品の流通範囲をグローバル市場へ広げられる点も大きい。
機関資産をオンチェーンへ移す技術の強化も進める。代表例が、ベースが開発したB20だ。機関が株式やステーブルコインをトークン化する際、KYCや制裁対象の遮断など、必要な規制要件を組み込める一種の「トークン発行フレームワーク」という。シー・トン氏は「大規模資産をオンチェーンに持ち込む際、マネーロンダリングやテロ資金供与、制裁対象国への資金流出を防ぐことは機関にとって重要な課題だ」と指摘した。そのうえで「こうしたインフラを機関が一から自前で整備しなくて済むようにすることが、ベースチェーンの役割だ」と説明した。
実際、グローバル企業の参加は増えている。シー・トン氏は、JPモルガンの機関向けトークン化預金や、ショッピファイのUSDC決済、アメリカン・エキスプレスの事例に触れ、「世界の金融・決済企業もベース上で商品やサービスを構築している」と明らかにした。「これは、オープンでパーミッションレスなブロックチェーンの有用性を示す証左だ」と力を込めた。
「今やAIエージェントが自らお金を使う」 マイクロペイメントとエージェンティックコマースに注目
ベースがもう一つ注目するのは、AIエージェントが新たな経済主体として台頭することで開くオンチェーン市場だ。シー・トン氏は「過去にはデジタルマネーはあったが、それを自ら活用する経済主体がいなかった」と振り返った。そのうえで「AIエージェントは、ブロックチェーン普及を後押しする橋渡し役になり得る」との見通しを示した。ブロックチェーンは、エージェントがプログラム可能な暗号資産にアクセスし、取引や決済を直接実行する基盤になるという。AIエージェントとは、電子商取引から価格照会、取引、決済まで多様な業務を自律的にこなす人工知能ソフトウエアを指す。
このためコインベースは、AIエージェントの決済を支える独自プロトコル「x402」も開発した。技術の中核は、ステーブルコインで必要なサービスに必要な分だけ支払うマイクロペイメントにある。例えば、AIエージェントが価格情報APIを利用する場合、月額の購読料を払う代わりに、必要な情報を1回呼び出し、その利用分だけ自動決済できる。AIが複数のデータやサービスを必要な都度、小口で利用し支払える点が、従来のサブスクリプション型決済との違いだ。
一方、ベースは技術エコシステムの中心に「ビルダー」を据える。開発者とサービスを増やし、ネットワーク価値を高める考えだ。シー・トン氏は「ベースのDNAはビルダーにある。優れたアプリと革新を生み出す開発者を支援することが最も重要だ」と述べた。こうした流れの中で、「ミームコインも単なる投機資産を超え、実サービスへ広がる事例が出てきている」と語った。最近は、トークン化株式と連動した「ストック・ミーム」のように、ミームコインにユーティリティーを組み合わせようとする試みも続いているという。
「韓国は取引需要の大きい市場」 株式トークン化やプラットフォーム協業に期待
ベースは米国株などトークン化資産の拡大に力を入れており、韓国市場への関心も大きい。シー・トン氏は「韓国は暗号資産と株式市場の取引需要が非常に大きい市場だ」と話した。「今後はSKハイニックスやサムスン電子のような韓国株もオンチェーンに載せたい。AIエージェントが世界中の数百〜数千のマイクロキャップ企業の財務資料を分析し、調べる価値のある企業を探し出すなど、エージェンティック機能とトレーディングの結合にも韓国市場で大きな可能性がある」と展望を語った。
カカオやLINEなど韓国の主要プラットフォーム企業との協業にも意欲を示した。「カカオやLINEのような主要ブランドと協業したい」としたうえで、「これらの企業はすでに大きな流通網を持っており、決済やオンチェーンへのアクセス性など、さまざまな形で統合できる余地がある」と述べた。さらに「コインベースには潜在的に活用できる1億人のKYC済み利用者がいる」と説明した。アジア企業がベースやコインベースと組めば、グローバル利用者層への接点拡大に役立つとの考えも示した。
韓国国内で議論が続くウォン建てステーブルコインにも関心を示した。「現在は関連する法的・規制上の明確化を待っている」と述べたうえで、「ベース上にステーブルコインが載ることになれば、成長し、さまざまなサービスに組み込まれるよう喜んで支援したい。韓国政府とも協力したい」と話した。あわせて、ベースが開発したB20について、規制要件をプログラム可能な形で反映できる資産標準だと紹介し、ステーブルコインにも適用できると説明した。
ベースは当面、株式トークン化の拡大を加速する計画だ。シー・トン氏は「今後数カ月で1日当たり約10銘柄の新たな株式をオンチェーンに載せ、年末までに100銘柄超のトークン化株式を確保するのが目標だ」と述べた。その後は「数千銘柄、最終的には数万銘柄の株式をオンチェーンに載せたい」と語った。マーケットメイカーや流動性供給業者とも連携し、資産の流動性を供給しているとも付け加えた。
カン・ミンスン ブルーミングビット記者 minriver@bloomingbit.io
Minseung Kang
minriver@bloomingbit.ioBlockchain journalist | Writer of Trade Now & Altcoin Now, must-read content for investors.