株式市場を襲う「本当の恐怖」は別にある 証券界が警鐘、米10年債利回り5%より長期金利低下がリスク
概要
- 証券界は、米国債10年物利回りの上昇よりも、成長鈍化に伴う長期金利の低下の方がより大きな悪材料になると指摘した。
- 短期金利の上昇と長期金利の低下が同時に起きる瞬間は、債券市場が「Rの恐怖」を織り込む重要なリスクシグナルだと伝えた。
- 2022年の長短金利逆転局面では、S&P500種株価指数が9カ月で24.77%急落しただけに、足元の長短金利の流れを綿密に見極める必要があると分析した。
期間別予測トレンドレポート


「米国債利回り5%」は問題ではない
再び頭をもたげる「Rの恐怖」
本当の問題は、成長鈍化懸念で長期金利が下がる局面
2022年の長短金利逆転時、S&P500は9カ月で24.77%急落

米国債10年物利回りが年5%を超え、株式投資家の警戒感が強まっている。ただ証券界では、むしろ長期金利の低下の方がより大きな悪材料になり得るとの分析が相次ぐ。成長見通しが崩れて金利が下がれば、景気後退につながりかねないためだ。物価圧力で短期金利が上がる一方、景気減速で長期金利が下がる局面では、債券市場が再び「R(Recession=景気後退)の恐怖」を織り込むシグナルになり得るという。
10月10日の金融投資業界によると、米財務省が10月7日に実施した10年債入札の落札利回りは年5.300%だった。2000年11月以来の高水準だ。市場で取引される米10年債利回りも、9月23日に終値ベースで年5%台に乗せた後、上昇基調を続けており、足元では年5.3%前後で推移している。
iM証券のキム・ジュンヨン研究員は、足元の金利上昇の背景を成長期待に伴う実質金利の上昇だと分析した。株価指数が高値圏で推移しているためだ。米S&P500種株価指数は10月6日、7818.93で引け、終値ベースで過去最高を更新した。取引時間中にも7844.52まで上昇し、最高値を塗り替えた。株価指数は代表的な景気先行指標とされる。
キム研究員は、むしろ警戒すべきなのは長期金利が上昇を止め、下落に転じる瞬間だと指摘した。同氏は「金利上昇は好況の原因ではなく結果であり、成長の後を金利上昇が追うにすぎない」と語った。そのうえで「成長が崩れて下がる局面での金利低下は、好材料ではなく警告として受け止める必要がある」と強調した。成長鈍化が金利を押し下げ始めると、弱い経済指標は米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和期待ではなく、企業業績の下方修正シグナルとして受け止められるためだ。
こうした見方は、長短金利を見る伝統的な市場解釈とも重なる。金融市場では一般に、短期金利は先行きの金融政策見通しを、長期金利は中長期の成長見通しを映す指標として使われてきた。物価高を背景にFRBの引き締め観測が強まり短期金利が上昇する一方、景気減速懸念で長期金利が低下すれば、長短金利差は急速に縮小する。
実際、足元の物価指標には不穏さがある。米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業価格指数は77.9と、市場予想の72.9を大きく上回った。サービス業価格指数も前月の72.6から74.0に上昇した。
KB証券のイ・ウンテク研究員は「基調的なインフレ懸念が強まれば、市場はFRBの引き締めを織り込み始める」と述べた。「その局面では、短期国債利回りが急速に上昇する可能性が高い」との見方を示した。米2年債利回りは9月の1カ月間で12.34%上昇した。上昇率は10年債の11.24%を上回る。
そこに景気減速の可能性まで重なれば、問題は深刻になりかねない。イ研究員は「短期金利の上昇と同時に、AI投資の鈍化や景気減速への懸念が強まれば、長期の成長期待は弱まる」と説明した。そうなれば長期金利はそれ以上上昇できず、むしろ低下に転じる可能性があるという。さらに「短期金利の上昇と長期金利の下落が同時に起きる瞬間が、重要なリスクシグナルになり得る」と訴えた。
通常、短期金利は長期金利より低い。資金の貸し出し期間が長くなるほど、リスクに見合うコストを上乗せするためだ。預金者から短期で調達した資金を企業向けに長期で貸し出す過程で生じる金利差、いわゆる預貸マージンは、銀行業の代表的な収益モデルである。
問題は、短期金利が長期金利を上回るときだ。収益モデルが崩れた銀行が保守化すれば、資金の流れが滞り、経済を傷めるためである。こうした状況を乗り切るには、技術革新などを通じて新たな強い成長エンジンが現れる必要がある。
2022年を振り返れば分かりやすい。新型コロナウイルス禍を乗り越えるための緩和的な金融政策が生んだ好況の終盤に、好況を支えた緩和政策とロシア・ウクライナ戦争に伴うインフレが遅れて急騰した局面である。インフレを抑えるためFRBは政策金利を急速に引き上げたが、成長期待が追いつかず、株式市場は大きく揺らいだ。S&P500種株価指数は2022年1〜3四半期に24.77%急落した。その後は2022年11月30日のChatGPT公開をきっかけに、人工知能(AI)産業への成長期待がよみがえり、株式市場は反発に転じた。
もっとも、イ研究員は現時点で長短金利逆転と、それに伴う「Rの恐怖」を懸念する段階ではないと分析した。同氏は「現在はむしろ逆だ」と話した。長期金利は上昇を続けている一方、短期金利は足元で反落したという。米2年債利回りは10月に入り、10月7日までに0.11ポイント低下した。
ハン・ギョンウ 韓経ドットコム(Hankyung.com)記者 case@hankyung.com
Korea Economic Daily
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