「S&P500は売りたくないが不安」な投資家向けETF、ディレクションが上場
概要
- ディレクションは、S&P500にマネージド・フューチャーズを組み合わせた「ディレクションUS 500プラスETF(SPXP)」をNYSEに上場した。
- このETFは、S&P500先物に100%連動する一方、商品・通貨・グローバル債券先物にトレンドフォロー戦略を適用し、双方の損益を合算する仕組みだ。
- 2008年の金融危機時にはS&P500指数が38%下落した一方、バークレーヘッジCTA指数は14%上昇した実績がある。総経費率は年0.92%。
期間別予測トレンドレポート


S&P500を100%維持し、先物のトレンドフォロー戦略を追加
商品・通貨・債券先物で、上がる資産を買い下がる資産を売る
2008年にも収益を守ったヘッジファンド戦略

米運用会社ディレクション(Direxion)が、ヘッジファンドの定番戦略である「マネージド・フューチャーズ」をS&P500種株価指数に組み合わせた上場投資信託(ETF)を投入した。米国株の上昇が続いて不安はあるものの、保有株は売りたくない投資家向けの商品だ。
10月9日の金融投資業界によると、ディレクションは10月7日、「ディレクションUS 500プラスETF(SPXP)」をニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。見た目は一般的なS&P500連動ETFと大きく変わらない。投資資金の全額をS&P500先物に振り向け、指数の値動きをそのまま追うためだ。
違いは、同じ資金で別の戦略を1つ上乗せする点にある。商品や通貨、グローバル債券など21の先物市場を対象に、上昇する資産を買い、下落する資産を売るトレンドフォロー戦略を組み込んだ。先物は証拠金を差し入れて取引するため、1つの資金で2つの戦略を同時に運用できる。1万ドル(約160万円)を投じれば、S&P500に1万ドル、トレンドフォローにも1万ドルを配分したのと同じ効果が出る構造だ。
運用成績は2つの戦略のリターンを合算して決まる。S&P500が8%上昇し、トレンドフォローが4%の利益を上げれば収益は12%となる。S&P500が12%下落しても、トレンドフォローが7%稼げば損失は5%にとどまる。総経費率は年0.92%だ。
業界ではこうした戦略をマネージド・フューチャーズと呼ぶ。先物取引を専門の運用会社に委ねて運用する手法を指す。この戦略を使う運用会社はCTA(商品投資顧問業者)と呼ばれる。価格が上がる理由を分析するのではなく、価格の流れに従うのが特徴だ。移動平均線の突破といった、あらかじめ定めたルールに基づいて売買を判断する。

この戦略は市場が崩れる局面で好成績を上げ、注目を集めた。2008年の金融危機ではS&P500指数が38%急落した一方、CTAの平均成績を示すバークレーヘッジCTA指数は14%上昇した。損失を補う性格があるため、年金基金や保険会社などの機関投資家も資産の一部をこの戦略に配分してきた。
ディレクションがこの戦略を使う商品を投入した背景には、株式は上がり過ぎ、債券は分散効果を発揮しにくい足元の市場環境がある。S&P500指数は過去最高値を更新しているが、特定銘柄への集中と割高感への懸念が強まっている。投資家には、株式を売れば上昇相場を取り逃がすとの不安もある。
一方で、債券でリスクを分散するのも簡単ではない。米10年物国債利回りの上昇で債券価格が下落しているためだ。株式でも債券でもない第3の収益源を求める需要は強まっている。トレンドフォロー戦略は、相場の方向に関係なく、トレンドが明確であれば利益を狙える仕組みだ。ディレクションのモー・スパークス最高商品責任者(CPO)は「個人投資家が自力で実行するには複雑だった戦略を、ETF1本に収めた」と語った。
パク・ジュヨン記者 grumpy_cat@hankyung.com
Korea Economic Daily
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