NY株揺らす5つの変数 オープンAI売上高論争からアップル減産報道まで[パク・シニョンの寄り前これだけ]
概要
- オープンAIの年換算売上高が従来推計を下回る500億ドル水準と示され、AIインフラ投資と関連ハイテク株への重荷が強まったと伝えた。
- 米国の国債期間プレミアムが2014年以降で最高水準に上昇し、長期国債利回りの上昇と企業・家計の借り入れ負担拡大の可能性が浮上したと報じた。
- シティのクオンツチームは米国株式の投資比率を5%引き下げ、一部ショートポジションを提案した一方、アップルはiPhone18の部品発注15%削減報道で株価が約2%下落した。
期間別予測トレンドレポート



1. オープンAIの年換算売上高、700億ドルではなく500億ドル弱か
オープンAIの年換算売上高が市場の従来推計に届かないと伝わり、人工知能(AI)関連のハイテク株が急落した。オープンAIとアンソロピックで売上高の算定方式が異なる点も改めて意識され、未上場AI企業の業績に対する信頼性に疑問が広がった。
10月8日のロイターとブルームバーグによると、オープンAIは投資家に対し、9月末時点の年換算売上高が500億ドル(約7兆9000億円)にやや届かない水準だと説明した。これに先立ち、市場では年換算売上高が700億ドル(約11兆1000億円)近くに達したとの推計が出ていた。
差額は約200億ドル(約3兆2000億円)に上る。主因は売上高の計上方法にある。オープンAIはクラウドパートナー経由の売上高を純額ベースで計算する一方、アンソロピックは顧客の支払額全体を売上高とする総額方式を採用している。
例えば顧客がアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)経由で100ドルを支払った場合、アンソロピックは100ドル全額を売上高として認識し、パートナーへの支払いは費用として処理する。これに対しオープンAIは、パートナー経由の販売額を同じ形では年換算売上高に含めていない。
こうした会計上の違いは、実際の事業規模や収益性を見極めるうえで考慮すべき変数だ。ただ、売上高の表示方法が異なっても、実際の資金流入や利益がその分だけ変わるわけではない。
市場が敏感に反応した背景には、AIインフラ投資への警戒がある。オープンAIは企業価値1兆4000億ドル(約221兆2000億円)を前提に、300億ドル(約4兆7000億円)超の新規資金調達を進めている。売上高の成長見通しは、エヌビディアやブロードコムの半導体供給、オラクルのデータセンター投資を支える重要な論拠でもある。
売上高の規模を巡る不確実性が強まれば、数千億ドル規模のAIインフラ投資が十分な収益を生むのかとの疑念も大きくなりかねない。
一方、アンソロピックの年換算売上高は7月末時点で650億ドル(約10兆3000億円)を超え、年末には1000億ドル(約15兆8000億円)に達する見通しだ。
2. スペースX、米移動通信市場に直接参入へ 通信大手3社の株価急落
イーロン・マスク氏のスペースXが、米国全土で使える移動通信向け周波数免許の取得に動く。衛星インターネットサービス「スターリンク」を既存の移動通信市場へ広げる動きと受け止められ、AT&T、ベライゾン、TモバイルUSの主要通信3社の株価は時間外取引で6%前後下落した。
CNBCによると、スペースXはデジタルインフラ投資会社グレイン・マネジメントから、米国全土を対象とする800メガヘルツ帯の周波数免許を取得する契約を結んだ。ウォール・ストリート・ジャーナルは、取引額が約80億ドル(約1兆2600億円)に上ると報じた。
800メガヘルツ帯は、信号が遠距離まで届きやすく、建物内にも浸透しやすい低周波帯だ。既存通信会社との提携に頼らず、スペースXが自ら移動通信サービスを提供する基盤を確保する点で意味は大きい。
これまで衛星通信は、スターリンクのような衛星事業者が通信会社にネットワークを提供し、通信会社が顧客に販売する構図だった。Tモバイルの衛星通信サービス「Tサテライト」が代表例である。
ただ、スペースXが自ら契約者の獲得に乗り出せば、既存通信会社にとっては回線供給者が同時に競合相手へと変わる。
もっとも、スペースXが短期間で既存3社を置き換えるのは難しいとの指摘もある。通信業界の専門家ティム・ファー氏は、確保した周波数の規模は限定的で、都市部や建物内で安定したサービスを提供するには地上基地局が必要だと述べた。
この見方を受け、通信塔運営会社のアメリカン・タワー、クラウン・キャッスル、SBAコミュニケーションズの株価は上昇した。スペースXが全国規模の移動通信網を整備する過程で、地上タワーを賃借する可能性があるためだ。
3. 米国債の期間プレミアム、12年ぶり高水準 長期金利に上昇圧力
米国債利回りが24年ぶりの高水準に上昇するなか、長期国債の期間プレミアムも急上昇している。
ニューヨーク連銀のモデルによると、米10年国債の期間プレミアムは9月中旬以降に約40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、0.98%に達した。2014年以降で最も高い水準である。
期間プレミアムは、投資家が短期国債を繰り返し購入する代わりに長期国債を保有する際に求める追加的な補償を指す。今後の政策金利見通しが変わらなくても、期間プレミアムが上がれば長期国債利回りは上昇しうる。
今回の金利上昇で注目すべき点は、インフレ期待や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策見通しに大きな変化がなかったことだ。投資家は、米国の財政赤字や国債発行増、地政学リスクに対してより高い補償を求めている。
とりわけ米連邦政府の財政赤字は約2兆ドル(約31兆6000億円)で、国内総生産(GDP)の6%水準に達する。企業がAIデータセンターや半導体、電力インフラ投資のため社債発行を増やしていることも、債券供給の重荷になっている。
一時的な需給要因が影響した可能性もある。フランス国債市場の不安を受けた世界の投資家の資産配分見直しや、住宅ローン担保証券(MBS)投資家の金利リスクヘッジ取引が、米国債の売りを増幅させた可能性がある。
ウォール街が警戒するのは、期間プレミアムの上昇が一時的ではなく構造変化である可能性だ。
期間プレミアムが高止まりすれば、FRBが追加利上げに動かなくても、企業や家計の借り入れコストは上昇しうる。債券市場が自律的に金融環境を引き締める効果を持つことになる。
4. シティのクオンツチーム「今は1970年代後半」 米株の売りを推奨
シティグループのクオンツ戦略チームは、米国株の投資比率を引き下げ、一部では下落に賭けるポジションを取るよう勧めた。現在の市場環境が1970年代後半に似ていると判断しているためだ。
シティのクオンツチームのマクロ経済モデルは、米国経済がゴルディロックス局面を過ぎ、景気循環の後半に入りつつあるシグナルを示している。
根拠は大きく2つある。第1に、米国債利回り上昇と社債供給増に伴う金融環境の引き締まりである。第2に、経済指標が市場予想を上回る度合いが弱まっている点だ。
これを踏まえ、クオンツチームは株式投資比率を従来の4%オーバーウエートから5%アンダーウエートへ切り替えるよう提案した。米国株には小幅なショートポジションを組み、新興国株を相対的に選好するとした。
シティが比較対象として示した1970年代後半は、当初はインフレ鈍化と底堅い景気を背景に株式市場が上昇した。その後は物価が再び上がり、株価は下落基調に転じた。
もっとも、同じシティグループ内でも見通しは割れている。シティの米国株戦略チームは、S&P500種株価指数の年末目標を8100のまま据え置いている。
S&P500種株価指数が10月8日に7765で引けたことを踏まえると、なお約4%の上昇余地がある計算だ。
株式戦略チームは企業業績とFRBの金融政策の変化を前向きに評価する一方、クオンツチームは金利や金融環境、景気循環を根拠にリスク拡大を見込む。
米国株は過去最高値圏で推移しているが、今後の相場の方向感を巡ってはウォール街内部でも見解の隔たりが広がっている。
5. アップル、iPhone18発売1カ月で部品発注15%削減と報道
アップルが先月発売したiPhone18 ProとPro Maxの部品発注を一部減らしたと報じられた。
日経アジアによると、アップルは複数の協力会社に対し、10月の部品発注量を当初計画より約15%減らすよう通知した。需要が想定より弱いことが背景にあるとされる。
iPhone18シリーズは発売直後、中国市場では力強い販売を見せたが、世界全体では需要が期待に届いていないとの分析が出ている。
ただ、今回の発注削減がすべての協力会社に適用されるわけではなく、11月の発注量に変化があるかどうかも確認されていない。アップルも関連報道にすぐにはコメントしていない。
モルガン・スタンレーは10月初めのリポートで、iPhone18 Proシリーズ発売後に意味のあるサプライチェーン調整は確認できていないと評価した。ただ、このリポートは今回の減産報道前に作成された。
モルガン・スタンレーは、今後の製品投入計画については前向きな評価を維持した。今後発売される新製品群は、この10年余りで最も期待できる構成だとみている。
一方で業績見通しは引き上げなかった。2027会計年度の1株利益(EPS)予想は約10ドル、2028会計年度は約11ドルで据え置いた。
目標株価は、サービス部門の長期収益性を巡る不確実性を織り込み、従来の360ドルから355ドルへ引き下げた。
アップル株は10月9日の寄り前取引で約2%下落した。市場では、今回の部品発注削減が一時的な在庫調整なのか、それとも高価格帯スマートフォン需要の鈍化を示す兆候なのかに注目が集まっている。
ニューヨーク=パク・シニョン特派員 nyusos@hankyung.com
Korea Economic Daily
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