概要
- ウォール街では、M7、AI、債券金利の上昇局面、防御的な投資先を巡る評価とあわせて、S&P493の低迷が続いていると分析されている。
- 7〜9月期の決算シーズン開幕を受け、ヘルスケア、金融、小型株、S&P493の純利益成長率がM7を上回り、バリュエーション面の魅力が浮上する可能性があるとの見方が出ている。
- 一部のストラテジストは、利上げ、債券売り、借入コスト急騰を背景に、ファンダメンタルズと財務健全性の弱い企業は打撃を受けかねないとして、慎重論を示した。
期間別予測トレンドレポート


決算シーズン開幕…M7独走のなか「S&P493」が反撃狙う
S&P493の純利益成長率は28%予想…M7を圧倒
金利上昇局面で「選別相場」続く
低迷していたヘルスケア・金融・小型株
ウォール街、7〜9月期業績見通しに前向き
借入コスト急騰で慎重論も浮上

米ニューヨーク株式市場では、エヌビディアやメタなど主要7社の大型ハイテク・人工知能(AI)関連株を指す「マグニフィセント7(M7)」の上昇が続く一方、その他の銘柄は振るわず、選別色の強い相場が続いている。M7はAI投資の恩恵を受ける成長株であると同時に、債券金利の上昇局面にも耐えやすい防御的な投資先として注目を集める。ただ、今週から7〜9月期決算の発表が本格化すれば、相場の潮目が変わるとの見方もある。足元で低迷していたヘルスケア株や中小型株の利益成長率がM7を上回る見通しで、利益に照らした株価の割安感が意識されやすいためだ。
200日移動平均線を下回る銘柄が増加
10月6日、S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数はともに過去最高値を更新した。S&P500は前日比0.58%高の7818.93、ナスダック総合は0.45%高の2万7599.79で終えた。
指数上昇をけん引しているのは、M7に数えられる大型AI関連株だ。エヌビディアは直近1カ月で5.99%上昇し、時価総額は6兆ドル(約949兆円)に迫った。メタはAIエージェント「ミューズ」の投入効果を支えに20.44%急騰した。M7の値動きに連動する「ラウンドヒルM7上場投資信託(ETF)」も、この1カ月で6.99%上昇した。
一方、金融、ヘルスケア、生活必需品などS&P500採用銘柄のうちM7を除く「S&P493」は全般にさえない。CNBCによると、9月のS&P500採用銘柄の75%はマイナスの投資収益率だった。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、10月6日時点で終値が長期トレンドを示す200日移動平均線を上回っているS&P500採用銘柄の比率は45%にとどまった。ウォール・ストリート・ジャーナルは、200日線を上回る銘柄の比率が8月以降低下を続けており、M7とその他銘柄の格差が一段と広がっていると分析した。
株価の選別色が強まる背景には、債券金利の上昇など株式市場に逆風となる環境でも持ちこたえられる企業の基礎体力がある。M7は相対的に手元資金が厚く、負債も少ない。このため、金利上昇で借入コストが増えても成長を維持しやすい企業群と受け止められている。トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズ(Truist Advisory Services)のキース・ラーナー最高投資責任者は、大型ハイテク株は高金利局面をしのぐ防御的な投資先だと説明した。

決算シーズンは「非M7」に注目
7〜9月期決算の発表が本格化すれば、この流れが変わる可能性がある。10月8日のペプシ、10月9日のデルタ航空を皮切りに、来週はJPモルガンなど金融株の決算発表が続く予定だ。M7では、エヌビディアが11月中旬と見込まれるのを除き、テスラが10月21日、マイクロソフト、アルファベット、メタが10月28日、アマゾンとアップルが10月29日に順次決算を公表する見通しだ。
各社の業績見通しは総じて明るい。ゴールドマン・サックスによると、S&P500採用企業の純利益成長率は7〜9月期まで3四半期連続で25%を上回ったとみられる。より追い風を受けるのはM7よりS&P493だとの指摘が出ている。米NBCがラッセル・インベストメンツの資料を分析したところ、M7の7〜9月期の純利益成長率は前年同期比20.3%で、S&P493の27.7%を下回った。
ラッセル・インベストメンツの戦略責任者、ベイチェン・リン氏はCNBCで、M7以外の企業はM7と比べてやや過小評価されていると指摘した。そのうえで、業績が良ければ上昇の裾野も全般に広がるとみるのが妥当だと語った。投資顧問会社Bライリー・ウェルスのアート・ホーガン主席ストラテジストは、今回の決算シーズンでは小型株やヘルスケアなど最近最も打撃を受けた業種が報われる可能性があると見通しを示した。とりわけホーガン氏は、9月に7%下落した金融株を前向きに評価した。
もっとも、慎重な見方も根強い。ステート・ストリートのグローバル株式戦略責任者、マリヤ・ベイトマネ氏は、基礎体力の弱い企業は金利上昇で崩れる可能性があると指摘した。債券相場の下落は米企業にも影響し始めており、特に財務健全性の低い企業では借入コストが急増しているという。
ニューヨーク=ファン・ジョンス特派員 hjs@hankyung.com
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