中国、日本への敵意あらわ 高市首相を「首相」と呼ばず
概要
- 中国外務省は高市早苗首相を公式の場で肩書を付けず、名前だけで呼び、日中対立の深まりをうかがわせた。
- 台湾問題と日本の安全保障法制を巡る立場の違いから、両国の高官対話と交流は事実上中断している。そうしたなか、中国は選別交流戦略を取っていると伝えた。
- 外交上の呼称にまで変化が及んだことで、日中関係の冷え込みは長期化し、台湾問題と日本の安全保障政策を巡る対立が短期間で和らぐのは難しいとの見方が出ている。
期間別予測トレンドレポート


公式の場で名前だけで呼ぶ
外交の言葉まで冷え込む

中国外務省が高市早苗首相を定例記者会見で肩書を付けず、名前だけで呼んだことが波紋を広げている。高市首相の就任後、中国外務省がその肩書を省いたのは初めてという。台湾問題を巡る日中対立が長期化するなか、習近平指導部の高市政権への不快感が外交表現にもにじんだ格好だ。
中国外務省の郭嘉昆副報道局長は9月30日の記者会見で、小泉進次郎防衛相の核兵器と原子力潜水艦の保有に関する発言について問われると、高市首相を「高市早苗」と呼んだ。これまで使ってきた「日本の首相」や「高市首相」といった呼称は用いなかった。
中国共産党系メディアの上観新聞は、中国外務省が公開の場で高市首相の肩書を外し、名前だけを直接呼んだのは初めてだと報じた。香港紙の星島日報も「中国外務省は表現の一つ一つに極めて慎重だ」と指摘し、単なる言い間違いとは考えにくいと分析した。
過去の事例と比べても異例だ。2001年から2006年まで靖国神社を6年連続で参拝し、中国と激しく対立した当時の小泉純一郎首相に対しても、中国外務省は「日本の首相」または「小泉首相」という表現を使い続けた。
今回の記者会見でも、中国側は小泉防衛相を「現職の防衛部門責任者」と表現した。肩書を遠回しに示したものの、名前だけで呼ぶ言い方は避けた。高市首相に対する表現だけが異なっていた点から、意図的な外交メッセージとの解釈が出ている。
日中対立は2025年11月、高市首相の台湾関連発言をきっかけに激化した。高市首相は国会で、台湾有事が日本の安全保障法制の定める「存立危機事態」に当たる可能性に言及した。状況によっては自衛隊が武力を行使し得るとの意味に受け止められ、中国は強く反発した。
その後、両国政府の高官対話と交流は事実上中断した。中国は高市政権に圧力をかける一方で、日本の他の政治勢力や経済界との接触は続けている。いわゆる「選別交流」戦略を取っている。
9月下旬に中国を訪れた岩屋毅前外相とは、王毅共産党政治局員兼外相と何立峰副首相がそれぞれ会談した。高市政権とは距離を置きつつ、日本の別の政治・経済勢力との関係は維持する狙いとみられる。
中国が外交上の呼称まで変えたことで、高市政権との対立は短期では和らぎそうにない。台湾問題と日本の安全保障政策を巡る立場の隔たりは大きく、日中関係の冷え込みは長期化する公算が大きい。
東京=チェ・マンス特派員 bebop@hankyung.com
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