概要
- JPモルガンは米国株に対して「戦術的強気」の判断を示し、今後数週間は追い風となる環境が見込まれると明らかにした。
- ゴールドマン・サックスは、原油価格とインフレが安定し、景気が緩やかな成長を維持すれば、「ゴルディロックス・ラリー」と年末ラリーが早めに始まる可能性があるとの見方を示した。
- JPモルガンは、7〜9月期の決算シーズンをきっかけにハイテク株が反発する余地は大きいとし、半導体・電力などAIサプライチェーン企業、中小型株・銀行株、韓国・台湾のハイテク株を注目すべき投資対象に挙げた。
期間別予測トレンドレポート


JPモルガン、「中立」から「戦術的強気」に転換
FRBの追加引き締め懸念が後退
WTI、1カ月ぶりに1バレル=90ドル(約1万4200円)割れ
ゴールドマン・サックス「年末ラリーが早まる可能性」
7〜9月期決算シーズンが最後の関門

原油高と高金利の衝撃に身構えていたウォール街が、再び株式市場への強気論に転じている。相場の重荷となっている金利が近くピークを打ち、その後は低下しつつ安定するとの見方が背景にある。ゴールドマン・サックスは、原油価格とインフレが落ち着き、景気が緩やかな成長を続けるなかで、企業利益が相場を押し上げる「ゴルディロックス・ラリー」が展開する可能性にも言及した。
米FRB、利上げ懸念が和らぐ
9月30日のアジア市場で、米10年国債利回りは年5.23%前後、30年国債利回りは年5.56%前後で推移した。いずれもニューヨーク市場で付けた直近高値に比べて0.05〜0.06ポイント低い。なお20年あまりぶりの高水準にあるものの、市場では短期的な天井が近いとの期待が強まった。
この日の金利低下には、米連邦準備理事会(FRB)の追加引き締め懸念の後退が大きく影響した。原油相場が下落に転じたことも追い風となった。FRBのナンバー2とされるジョン・ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は9月29日、「9月の会合で措置を講じた以上、追加の政策金利引き上げを急ぐ必要はない」と語った。そのうえで、自身の見通しに沿えば年末までに1回の追加利上げが適切だと説明した。10月と12月の2回連続利上げまで織り込んでいた市場の警戒感を和らげる発言だった。FF金利先物市場が織り込む10月の利上げ確率は71%から47%に低下した。
国際原油相場も下落に転じた。仲介役のカタールが、米国とイランの交渉に進展があると明らかにした。国際エネルギー機関(IEA)による備蓄放出計画や、オマーンのドゥクム港拡張計画が公表されたことも相場の重荷となった。米国産標準油種WTI先物は9月1日以来初めて、1バレル=90ドル(約1万4200円)を下回った。

「インフレ圧力が和らぐ」
原油価格と金利の安定は、足元でウォール街に広がる株高期待の前提となっている。JPモルガンのマーケット・インテリジェンス・チームは9月28日、「今後数週間、米国株にとって良好な環境が見込まれる」として、「戦術的強気」との判断を示した。8月31日に投資判断を「中立」に引き下げてから、約1カ月での方針転換となる。金利と原油価格が落ち着けば、予想を上回る景気指標と企業利益が本来の力を発揮できるとの見立てだ。
ゴールドマン・サックスでグローバル株式営業を統括するマーク・ウィルソン氏も、「ゴルディロックス経済のシナリオが現れる可能性がある」と指摘した。さらに「年末ラリーが早めに始まることもあり得る」との見通しを示した。11月上旬の中間選挙後まで様子を見るのではなく、早期のラリーに備えるべきだとの主張である。インフレと追加引き締めのリスクを過度に織り込んできた市場が金利不安を後退させれば、上昇基調に戻る余地があるという。
ウィルソン氏は、米国とイランが11月上旬の中間選挙前に交渉で合意すれば、原油価格は下がるとみる。人工知能(AI)エージェントについても、長期的には消費者コストを引き下げ、物価を押し下げる要因になり得ると語った。
年末ラリーの最終関門
最終的な焦点は企業利益だ。市場は高金利下でも、企業の基礎体力を大きく懸念していない。米投資適格社債の信用スプレッド(無リスク金利に上乗せする金利)は、足元で国債利回りが急騰するなかでも歴史的な低水準にとどまっている。企業に資金を貸し出す際、国債より上乗せして求めるリスクプレミアムが上がっていないことを意味する。ブルームバーグは「金利ショックが広範な信用不安に波及している兆候は、なお見られない」と伝えた。
JPモルガンの米株ストラテジー・チームは「数カ月にわたる調整で、ハイテク株に偏っていたポジションとバリュエーション負担が軽くなった」と分析した。7〜9月期決算シーズンをきっかけに、ハイテク株が反発する余地は大きいとみている。米S&P500情報技術(IT)セクターの予想株価収益率(PER)は、直近3カ月で26倍から20倍前後まで低下した。
JPモルガンは、市場予想を上回る業績を示す企業ほど、以前より株価上昇という形で報われやすくなるとみる。注目先として、半導体や電力などAIサプライチェーン関連銘柄のほか、景気の軟着陸の恩恵を受けやすい中小型株や銀行株、韓国・台湾のハイテク株を挙げた。
ビン・ナンセ記者 binthere@hankyung.com
Korea Economic Daily
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