アップルとグーグル、ステーブルコイン人材の確保に着手 決済・金融の新事業を模索
概要
- アップルは、ステーブルコインとトークン化預金、ブロックチェーンへの理解を優遇条件とする「アップルペイ金融商品戦略リード」の採用を進めている。
- グーグルは香港で、Web3、実物資産(RWA)のトークン化、ステーブルコイン決済網、デジタル資産カストディの能力を備えたインダストリー・プリンシパル・アーキテクトを募集している。
- サムスン電子に続き、アップルとグーグルも既存の決済事業とステーブルコインの連携を視野に入れ、関連人材の確保に乗り出したと受け止められる。
期間別予測トレンドレポート



アップルとグーグルが金融・決済部門の採用で、ステーブルコインやトークン化預金に関する専門性を重視していることが分かった。デジタル資産を活用した金融インフラや新規事業の可能性を探っているもようだ。
デジタルアセットが9月20日にアップルとグーグルの採用情報を分析した結果、両社はそれぞれ米国と香港で、ステーブルコインやブロックチェーン分野への理解や実務経験を備えた人材を募っている。
アップルは8月26日、米国で「アップルペイ金融商品戦略リード(Apple Pay Financial Product Strategy Lead)」の募集を始めた。アップルカードやアップルキャッシュを含む自社金融サービスの中長期戦略を設計し、新たな事業機会を発掘する役割だ。
アップルは優遇条件として、ステーブルコイン、トークン化預金、ブロックチェーン技術への理解を挙げた。採用された人材はアップルカードとアップルキャッシュの製品組織と連携し、新たな成長分野を検討しながら関連事業の戦略を推進する。対象組織は、消費者向けクレジットカードから個人間送金(P2P)、プリペイド残高サービスまで、アップルペイに連なる金融事業を担う。
一方、グーグルは機関向けのデジタル資産インフラにより重点を置く。香港で募集している「インダストリー・プリンシパル・アーキテクト、Web3(Industry Principal Architect, Web3)」は、グーグルクラウドのアジア太平洋地域におけるWeb3・デジタル資産事業を支援する職種だ。
グーグルは、実物資産(RWA)のトークン化、ステーブルコイン決済網、トークン化預金、デジタル資産カストディに関する知識を優遇条件として示した。マルチパーティーコンピュテーション(MPC)、ハードウエア・セキュリティー・モジュール(HSM)、取引署名構造など、機関向けデジタル資産システムの経験も要件に含めた。
主な顧客には、ブロックチェーンのプロトコル財団や機関向け取引所、デジタル資産カストディ事業者、RWAトークン化を進める金融会社などを想定する。香港金融管理局(HKMA)や証券先物委員会(SFC)など現地の規制環境に合わせて、セキュリティーや法令順守の体制設計を支援する業務も担う。
両社がステーブルコインを見据える事業領域には違いがある。アップルはアップルペイ、アップルカード、アップルキャッシュといった消費者向け金融サービス戦略への技術導入を視野に入れる。これに対しグーグルは、金融機関やデジタル資産企業を対象とするクラウド・インフラ事業に軸足を置く。
これに先立ち、サムスン電子の米国法人もサムスンウォレットの決済事業開発担当者を募集し、カード会社やフィンテック企業に加えてステーブルコインを決済提携分野として示していた。サムスン電子に続き、アップルとグーグルでも既存の決済事業とステーブルコインを結び付ける動きが、採用段階で表面化した格好だ。
もっとも、採用情報だけでアップルやグーグルが独自のステーブルコイン発行や具体的なサービス準備に入ったと判断するのは難しい。現時点では、将来の金融・決済事業で活用し得る領域としてステーブルコインとトークン化預金を検討し、関連人材を確保する段階とみるのが自然だ。
Suehyeon Lee
shlee@bloomingbit.ioI'm reporter Suehyeon Lee, your Web3 Moderator.