「サムスン・SKが1・2位でも」 中国CXMTが重大決断、NAND参入へ[テックログ]
概要
- CXMTがNANDフラッシュ市場への参入を進めており、AIサーバー向けeSSD需要が急増していると伝えた。
- SKハイニックス子会社のソリダイムが、米国内でのNAND工場新設を検討し、生産拠点・供給網の多角化を模索していると伝えた。
- サムスン電子とSKハイニックスがAIサーバー向けeSSD市場でシェア1・2位を維持するなか、CXMTが商業量産に成功すれば既存各社の市場シェアが縮小する可能性があると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


CXMT、NAND市場参入を推進
NANDの「生産地図」に変化の兆し
ソリダイム、米国内生産を検討

人工知能(AI)サーバーが引き起こしたNAND型フラッシュメモリーの供給不足に、米中の技術摩擦が重なり、サムスン電子が首位を走るNAND市場の競争構図と「生産地図」が揺れ動いている。中国メモリーメーカーのCXMTがDRAMに続いてNANDフラッシュ市場への参入を進めていると伝わったのと同じ日に、SKハイニックス子会社のソリダイムが米国でNAND工場の建設を検討しているとのニュースも流れた。
「CXMTはNAND参入、ソリダイムは米工場を検討」
9月20日の業界関係者の話では、NAND市場の生産地図は大きく変わる可能性がある。ロイター通信は9月18日、CXMTが中国・北京で建設中の新工場にNANDの研究開発(R&D)用生産ラインを設けると報じた。北京ではNAND開発プロジェクトを担う研究所も設立した。AIシステムやスーパーコンピューター向けのストレージ製品にCXMT製NANDを採用する計画を持つ新興企業を含め、顧客企業とNAND事業計画も協議した。DRAMに集中してきたCXMTが、NANDに事業領域を広げる構図だ。
CXMTが実際に商業量産に入れば、競争相手はサムスン電子、SKハイニックス、マイクロン(Micron)といった既存の世界大手にとどまらない。中国NAND最大手のYMTCとも競合することになる。これまで中国のメモリー市場では、CXMTがDRAM、YMTCがNANDをそれぞれ主力としてきた。ただ、YMTCも4月に顧客企業へ低消費電力DRAMのサンプルを送り、DRAM市場参入を探っていた。中国の二大メモリー企業の事業境界が崩れ始めている。
中国でNAND供給企業を増やそうとする動きが表面化した日に、米国では正反対の変化も見えた。米国に本社を置くSKハイニックス子会社のソリダイムが、現地でのNAND工場新設を検討していると伝わったためだ。これは、SKハイニックスとインテル(Intel)が米オハイオ州のインテル工場でメモリーを生産する案を協議している件とは別のプロジェクトという。SKハイニックスは複数の案を検討しているが、まだ確定した内容はないとの立場を示した。
ソリダイムが現在保有するNAND生産施設は、中国・大連工場だけだ。米国に工場を新設すれば、中国の生産拠点への依存を下げられる。同時に、米国の潜在的な関税や、対中半導体製造装置輸出規制に伴うリスクも分散できる。中国メモリー企業が急速に生産能力を拡大するなか、米政府はSKハイニックスを含む海外半導体メーカーに対し、国内生産の拡大を促している。生産地をどこに置くかが、コストだけでなく通商・規制リスクも左右する局面に入っている。
AIサーバー拡大でNAND需要も急増
CXMTのNAND参入とソリダイムの供給網多角化の背景には、AIが押し上げたメモリー需要がある。なかでもNAND市場で需要を引っ張っているのが、企業向けソリッド・ステート・ドライブ(eSSD)だ。NANDを使ってデータを保存する装置で、AIサーバーが処理する膨大なデータを格納する。
市場規模は数字にも表れている。トレンドフォース(TrendForce)が9月1日に公表した2026年4〜6月期の上位5社のeSSD売上高合計は約375億9000万ドル(約5兆8900億円)と、前四半期比で103.6%増えた。3カ月で2倍を超えた計算になる。出荷量の増加に加え、契約価格の上昇が押し上げ要因になった。トレンドフォースは、生成AIエージェントサービスの拡大、クラウドサービス事業者(CSP)によるデータセンター基盤整備、エヌビディア(NVIDIA)のGBシリーズAIサーバーラックの出荷などがeSSD需要を押し上げていると分析した。
需要は急増しているが、供給は追いついていない。メモリーメーカー各社が設備投資の優先順位をDRAMと高帯域幅メモリー(HBM)に置いており、NANDの新規生産能力拡大は制約を受けている。AIサーバー向けeSSD需要の増加と供給制約が同時に進み、NANDメーカーの価格交渉力も高まった。トレンドフォースは、NANDの供給不足が和らぐのは2027年下半期になると予想している。
供給不足は既存企業にとって業績を押し上げる機会である一方、新たな競争相手を呼び込む土台にもなる。トレンドフォース集計による2026年4〜6月期のNAND売上高シェアは、サムスン電子が29.3%、SKハイニックスグループ(ソリダイムを含む)が18.2%、マイクロンが15.1%の順だった。サムスン電子は首位を維持したが、CXMTが商業量産に成功すれば、既存大手が分け合ってきた市場の持ち分を新たな供給者にも譲ることになる。
AIサーバー向けeSSD市場、韓国勢が1・2位
AIサーバー向けeSSDでは、韓国勢の存在感が大きい。2026年4〜6月期のeSSD売上高シェアは、サムスン電子が35.1%、SKハイニックスが21.1%で、それぞれ1位と2位を占めた。マイクロンが17.1%で続いた。サムスン電子は176層QLC製品の出荷を大きく増やしたうえ、高性能PCIe 5.0製品の比率も高めた。DRAMとNANDをあわせて供給できる点も、北米のサーバー顧客開拓で強みとして働いている。SKハイニックスは321層TLC製品の出荷を増やし、ソリダイムの超大容量QLC eSSDの販売も伸ばしている。
AI市場が拡大するほど、NAND市場を巡る各社の計算は複雑になる。中国では供給不足を機に、CXMTがNAND市場参入を進めている。SKハイニックスは中国に集中した生産網を米国へ分散する案を検討中だ。市場首位のサムスン電子も、AIストレージ市場の主導権を守る一方で、中国企業の供給拡大を見極める必要がある。トレンドフォースは、中国企業の生産拡大と中国国内クラウド市場の成長が、今後のeSSD市場の競争構図を変える変数になるとみている。
ただ、現時点で市場の勢力図が一気に塗り替わる段階ではない。CXMTのNAND R&D生産ラインは、稼働時期が明らかになっていない。研究開発と試験生産を超え、大規模な商業量産へつながるかどうかも不透明だ。ソリダイムも米国投資に関し、具体的な青写真は示していない。半導体生産施設は実際の稼働まで通常は数年を要するうえ、米国の高い生産コストも重荷となる。工場が完成する時点でも、現在のようなAI・メモリー需要が続くかは別の変数だ。
キム・デヨン 韓経ドットコム(Hankyung.com)記者 kdy@hankyung.com
Korea Economic Daily
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