オープンウエートAI悪用が拡大、オンチェーンの悪性コード440%急増
概要
- チェイナリシスは、オープンウエートAIモデルを悪用したオンチェーンのサイバー攻撃が1日平均11件と、1年前に比べ約440%増えたと明らかにした。
- TRMラボは、2026年上半期の暗号資産ハッキングが207件発生し、前年同期比で約150%増えたとしたうえで、オープンウエートAIが攻撃規模の拡大と手口の精緻化を後押しする道具として使われていると伝えた。
- リポートは、北朝鮮やイランに連なる組織など国家支援型のハッカー集団がオンチェーンの悪性コード攻撃の多くを占め、ブロックチェーンを使った感染がサプライチェーン攻撃など既存の手口と組み合わされていると指摘した。
期間別予測トレンドレポート



オープンウエートの人工知能(AI)モデルを使い、ブロックチェーン上に悪意ある命令を埋め込むサイバー攻撃が急増していることが分かった。
ブルームバーグが9月17日に伝えたところによると、ブロックチェーン分析会社チェイナリシス(Chainalysis)は最近のリポートで、オープンウエートAIモデルを悪用したオンチェーンのサイバー攻撃が急速に増えていると分析した。オンチェーン取引やスマートコントラクトに悪性コードの命令が挿入された事例は、足元で1日平均11件と、1年前の同2件から約440%増えた。
攻撃者はオープンウエートAIを使ってマルウエアや細工したスマートコントラクトを作成し、これをブロックチェーン上に配布する。その後、被害者が当該コントラクトとやり取りするよう誘導し、暗号資産やアカウント情報を盗み取る手口だ。オンチェーン取引はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの取引記録をブロックチェーンに記載することを指す。スマートコントラクトは、あらかじめ設定した条件に従って自動で実行されるプログラムだ。
チェイナリシスは、中国製のオープンウエートAIモデルが昨年半ばに公開されて以降、関連攻撃が目立って増えたとみている。一部モデルでは、マルウエア生成の要求を遮断する安全装置がないか、利用者がそれを自ら取り外せるという。
オープンウエートモデルは、利用者がモデルファイルをダウンロードし、自身のコンピューターで直接動かせる。開発者はモデルを改変して安全装置を弱めたり取り除いたりでき、外部の監視も相対的に回避しやすい。一方、ChatGPTやクロード(Claude)といったクローズド型AIは、運営会社がモデルとサーバーを管理するため、悪意ある要求を遮断したり利用アカウントを制限したりしやすい。
ハッカーは「ブロックチェーン・デッドドロップ」と呼ばれる手法も使っている。悪性プログラムが盗み出した情報の送信先や追加命令を、ブロックチェーンから受け取るよう設計する方式だ。ブロックチェーンに記録されたデータは削除や修正が難しく、攻撃インフラを遮断しにくい。リポートは、北朝鮮やイランに連なる組織を含む国家支援型のハッカー集団が、こうした攻撃の相当部分を占めると指摘した。
暗号資産を狙ったサイバー攻撃全体も増加している。ブロックチェーン分析会社TRMラボ(TRM Labs)によると、2026年上半期の暗号資産ハッキングは207件発生し、前年同期比で約150%増えた。チェイナリシスの調査責任者エリック・ジャルダン氏は、ブロックチェーンを使った感染はサプライチェーン攻撃や悪性ファイルのダウンロードなど、従来の手口と組み合わされる場合が多いと説明した。
チェイナリシスは、オープンウエートAIがハッカーの攻撃規模を拡大し、手口を精緻化する道具として使われていると診断した。サイバーセキュリティーのコンサルティング会社タイタンヘックス(TitanHex)の創業者、ビタリー・カムリュク氏は「オープンウエートAIは、悪意ある開発者にモデルを統制する権限と高い匿名性を与える」と語った。
YM Lee
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