紅海発の原油ショック、サウジの原油輸出33%減
概要
- サウジの8月の原油輸出量33%減少と生産量23%減少を受け、ブレントとWTIが6%超急騰し、原油高圧力が強まったと伝えた。
- 米国の8月PPI上昇、ECBの政策金利引き上げ、米10年物国債利回り4.969%を受け、高原油・高金利が長期にわたり「ニューノーマル」になる可能性があるとの懸念が浮上したと伝えた。
- 中東戦争の長期化と、フーシ派によるバブ・エル・マンデブ海峡への脅威を背景に、サウジの9月の原油輸出がさらに減少する見通しとあわせ、株式市場の投資心理が冷え込む可能性が高まったと伝えた。
期間別予測トレンドレポート


国債利回り急騰、原油6%超上昇
中東ショック、7000台を再び割り込む

インフレ再燃への警戒が強まり、米国、日本、英国、フランスなどで長期国債利回りが一斉に急騰した。
9月10日の米10年物国債利回りは0.125ポイント上昇し、年4.969%を付けた。2023年10月以来の高水準だ。同日、英国、ドイツ、フランスの10年物国債利回りもそれぞれ0.115ポイント、0.053ポイント、0.107ポイント上昇した。日本の10年物国債利回りも9月11日の取引時間中に年3.0%まで上昇した。
エネルギー高の長期化がインフレを招き、各国中央銀行の金融引き締めで政策金利が上がるとの観測が広がった。9月10日のWTIと北海ブレントの期近物先物はそろって6%超上昇した。
株式市場には重荷となった。9月11日のコスピ指数は前日比124.01ポイント(1.76%)安の6909.91で取引を終え、終値ベースで3営業日ぶりに7000を割り込んだ。
中東戦争が長期化の様相、金利と原油が急騰
フーシ派の脅威で原油輸送に支障、サウジ生産量は1カ月で23%減
インフレ懸念を強める材料が9月10日、世界各地で相次いだ。サウジアラビアは8月の原油輸出と生産が急減したと発表し、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を引き上げた。米国では市場予想を上回る8月の卸売物価指数(PPI)が公表され、ドナルド・トランプ大統領は1人当たり5000ドル(約77万円)の現金配当政策を打ち出した。複数の要因が重なって各国の長期国債利回りが上昇し、高原油・高金利が相当期間にわたり「ニューノーマル(新常態)」として定着しかねないとの懸念が強まっている。
◇原油市場を覆うフーシ派の脅威

9月10日の英ロンドンICE先物取引所で、国際指標の北海ブレント11月物は前日比6.42ドル(約990円)高の107.63ドル(約1万6600円)で取引を終えた。米ニューヨーク商業取引所では、10月渡しのWTI先物が6.43ドル(約990円)高の102.48ドル(約1万5800円)で引けた。いずれも5月19日以来の高値で、ブレントは5営業日続伸、WTIは8営業日続伸となった。
紅海での輸送混乱を受けたサウジの原油輸出急減が、相場上昇に拍車をかけた。石油輸出国機構(OPEC)の報告によると、サウジの8月の原油輸出量は日量303万バレルと、7月に比べて約33%減った。生産量は日量623万バレルで、前月比23%減だった。
背景には、親イラン系のイエメン武装組織フーシ派が、紅海からインド洋に通じるバブ・エル・マンデブ海峡への脅威を強めたことがある。フーシ派は9月10日、紅海沿岸の主要都市モカと戦略拠点ハニシュ諸島を掌握し、バブ・エル・マンデブ海峡の支配を目前にした。サウジの9月の原油輸出量はさらに減る見通しだ。
◇再び頭をもたげるインフレ懸念
同日の債券市場では、米国の8月PPIも悪材料となった。前年同月比5.4%上昇し、市場予想の5.3%をやや上回った。7月の4.7%上昇と比べても上げ幅は大きかった。インフレの火種がなお残るとの受け止めが広がり、債券売りを促した。
米財務省が長期国債利回りの抑制を狙って実施した長期国債のバイバック(買い戻し)は、目標額に届かなかった。財務省は市場価格に近い売却提案だけを選別して受け入れ、52億ドル(約8020億円)を買い入れた。目標の60億ドル(約9260億円)を下回った。
ECBが政策金利を0.25ポイント引き上げ、追加利上げの可能性も示唆したことも、米国債利回りの上昇(価格は下落)を促した。9月9日にはトランプ大統領が「共和党が中間選挙で勝利すれば、米国民に5000ドルを支給する」と約束し、財政赤字の拡大と物価上昇への懸念を強めた。
こうした局面で原油価格が1バレル=110ドルに迫り、インフレ懸念が一段と強まった。各国で国債価格は下落し、利回りは上昇した。9月10日終値ベースの米10年物国債利回りは年4.969%と、2023年10月以来の高水準を付けた。30年物利回りも0.075ポイント上昇し、年5.368%となった。英国、ドイツ、フランスの10年物国債利回りも0.053〜0.115ポイント上昇し、日本の10年物国債利回りも再び3%台に乗せた。
◇高原油・高金利は「ニューノーマル」になるのか
市場では、高原油・高金利の状態が長く続くとの見方が強まっている。中東戦争の早期終結が一段と見通しにくくなっているためだ。S&Pグローバル・エナジーのジム・バークハード副社長は「原油市場はニューノーマルとなる高値圏に定着しつつある」と分析した。
ECBに続き、米連邦準備理事会(FRB)も9月16日に政策金利を引き上げるとの観測が強まっている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のフェドウオッチによると、0.25ポイント利上げの確率は69.6%に上昇した。
高原油と高金利は実体経済と株式市場にマイナスの影響を及ぼすとの見方も広がる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は最近、「米10年物国債利回りは住宅ローンや学資ローン、社債など、ほぼあらゆる金利に影響する」と指摘したうえで、「債券利回りの上昇は株式市場の投資心理を冷やす要因だ」と伝えた。
ニューヨーク=ファン・ジョンス特派員/東京=チェ・マンス特派員/イ・ヘイン記者 hjs@hankyung.com
Korea Economic Daily
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