円キャリー揺らぎでオフショア人民元に脚光 アジアの新たな調達通貨に注目
概要
- 日銀の利上げ観測を受け、円高の進行とキャリートレードの収益性悪化が意識されていると伝えた。
- 相対的に低い金利と低い人民元の変動性を背景に、オフショア人民元キャリートレードは直近3カ月で1.5%の収益率を記録した。
- シティグループなどは、オフショア人民元がアジアの主要なキャリートレードの資金調達通貨となる可能性を注視する必要があると指摘した。
期間別予測トレンドレポート



日銀の利上げ観測を背景に円高が進み、世界のキャリートレードの資金調達通貨として中国の人民元が改めて注目を集めている。
ブルームバーグが9月9日に報じた。シティグループやメイバンク、ソシエテ・ジェネラル、BBVAなど大手金融機関のストラテジストは足元、人民元を円に代わるキャリートレードの調達通貨として見始めている。
キャリートレードは、低金利の通貨で資金を借り、高金利の通貨や資産に投資して収益を狙う戦略を指す。これまで低金利が続いた円は代表的な調達通貨として活用されてきた。
ただ、日銀の追加利上げ観測が強まり、状況は変わりつつある。円相場は9月に入って約4%上昇した。円を借りて他の資産に投資してきたキャリートレードの収益性が悪化しているためだ。
一方、中国は主要国と比べて相対的に低い金利水準を維持している。世界の国債利回りが急上昇する局面でも中国の調達コストは安定しており、人民元の変動率も低い。キャリートレードに有利な環境が整っている。
メイバンクのフィオナ・リム上級ストラテジストは、相対的に低い金利と安定した人民元相場が、キャリートレードの調達通貨としての魅力を高める可能性があると分析した。
実績面でも差が出ている。ブルームバーグ集計によると、オフショア人民元を借りて新興8カ国の通貨に投資するキャリートレード戦略の直近3カ月の収益率は1.5%だった。同じ手法で円を調達通貨に使った戦略は1%の損失だった。
シティグループも9月上旬のリポートで、オフショア人民元は変動率に対するキャリー収益が高まっており、調達通貨としての魅力が増していると評価した。米国や日本、英国の国債利回りが上昇するなかでも、中国人民銀行(PBOC)は比較的緩和的な金融政策を維持している。こうした金利差の拡大も人民元キャリートレードを後押ししている。
デリバティブ市場でも変化が表れている。米預託決済機関DTCCによると、9月1日から8日までのドル・オフショア人民元のプットオプションの日次平均取引高は前月より60%以上増えた。人民元の一段高に備えるヘッジ需要が増えたためで、人民元を軸にしたキャリートレードへの関心拡大を示す兆候とみられる。
もっとも、人民元が円を完全に代替するのは容易ではないとの指摘もある。人民元は自由に交換できる通貨ではなく、長期の資金調達市場の流動性も円に比べて限られるためだ。
BBVAのアジア・クロスアセット戦略責任者、ダリウシュ・コバルチク氏は、オフショア人民元が円に代わってアジアの主要なキャリートレード調達通貨になる可能性を注視する必要があると述べた。
とりわけ、日銀が9月に利上げすれば、円と人民元の調達コストは近い水準に達する見通しだ。その後、日銀が追加利上げに踏み切れば、オフショア人民元の調達コストが円を下回る可能性がある。
Suehyeon Lee
shlee@bloomingbit.ioI'm reporter Suehyeon Lee, your Web3 Moderator.