概要
- 米国の30年物国債利回りが5%を上回った日は2026年に55日となり、2006年以降で最も多かった。
- 米財政赤字への懸念と社債発行の拡大、Fedの金融政策を巡る不確実性を背景に、長期金利は高水準を維持する可能性がある。
- 市場は9月FOMCで0.17ポイント程度の引き締めを織り込み、30年物国債のオプション市場では利回りが5.7%前後まで上昇する展開に賭ける取引も出ている。
期間別予測トレンドレポート



米国の財政赤字への懸念に、社債発行の拡大と米連邦準備理事会(Fed)の金融政策を巡る不確実性が重なり、30年物米国債利回りが5%超で推移する期間が2006年以降で最も長くなっている。
ブルームバーグによると、30年物米国債利回りは8月中旬に5.34%まで上昇し、2007年以降で最高を記録した。過去22年間の最高水準までの差は0.10ポイントにとどまる。2026年に入り8月31日までに、30年物利回りが5%を上回った取引日は55日と、2006年以降で最も多かった。9月1日の利回りは5.27%前後で推移した。
スコット・ベッセント米財務長官は8月、長期金利の押し下げを狙って既存国債の買い戻し拡大を発表した。ただ、市場では効果は限られるとの見方が強い。8月に過去最大水準の社債が発行されたのに続き、9月にも約2150億ドル(約34兆4000億円)の社債発行が見込まれているためだ。米国の巨額の財政赤字への警戒もくすぶる。
ナティシスの北米担当米国金利戦略責任者のジョン・ブリッグス氏は、財政赤字の構造を変えうる福祉制度改革が実現するまで、長期金利は高止まりする可能性があると指摘した。「国債の買い戻しは市場全体の規模と比べればごく小さい」と語った。
9月15〜16日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)も、長期金利の行方を左右する重要な材料となる。ケビン・ウォーシュFed議長が前週のジャクソンホール経済シンポジウムでタカ派寄りのメッセージを発した後、市場は9月FOMCで0.17ポイント程度の引き締めを織り込んでいる。0.25ポイントの利上げ確率が約70%に達する計算だ。
長期国債はインフレ見通しに比較的敏感だ。9月4日に公表される8月の雇用指標と、9月11日に予定される主要物価指標で物価圧力が改めて確認されるなか、Fedが金利を据え置けば、30年物国債に追加の売りが出る可能性がある。実際、米国債オプション市場では11月20日までに30年物利回りが5.7%前後まで上昇する展開に賭ける取引も出ている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の金利ストラテジスト、メーガン・スワイバー氏とエレノア・シャオ氏は「財務省の買い戻しと最近の政策対応にもかかわらず、投資家は依然としてデュレーションの長期化に消極的だ」と分析した。長期国債の主な買い手である保険会社や年金基金を除くと、一般の債券運用会社は金利変動への感応度を抑えるため、長期債の組み入れを抑える傾向があるという。
もっとも、30年物利回りは2026年の安値からすでに約0.65ポイント上昇しており、高値に近づいているとの見方もある。JPモルガン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は、財務省の買い戻しが長期国債需要を一部支える可能性はあるものの、AIインフラ投資に伴う大規模な債券供給がそれを上回る公算が大きいと述べた。そのうえで「長期金利は高値に近づいている可能性があるが、複数の要因が同時に作用しており、不確実性は残っている」と付け加えた。
Suehyeon Lee
shlee@bloomingbit.ioI'm reporter Suehyeon Lee, your Web3 Moderator.