米、ベネズエラ油田を100年支配 トランプ氏「650億バレル確保」
期間別予測トレンドレポート


国防総省が直接出資、高油価抑制へ一手
米政府、運営会社株35%を取得
生産量の20%を原価で優先購入
ガソリン安への効果は限定的か
マドゥロ政権下で投資した中国、損失不可避

ドナルド・トランプ米大統領は8月29日(現地時間)、世界最大の原油埋蔵国であるベネズエラの石油開発に米政府が出資する契約を結んだと発表した。開発対象の油田の潜在埋蔵量は650億バレルで、ベネズエラ全体の埋蔵量の22%にあたる。ただ、インフラ整備などに時間がかかるため、国際原油価格の安定にすぐ寄与するのは難しい見通しだ。ワシントン政界では、中国をけん制する戦略的な一手との受け止めが出ている。
トランプ大統領は同日、SNSに「米国はベネズエラと世界史上最大規模の石油協定を結んだ」と投稿した。あわせて「民間企業との提携を通じ、650億バレルを超える確認埋蔵量について米国が過半の支配権を確保した」と明らかにした。デルシー・ロドリゲス・ベネズエラ暫定大統領も声明で、今回の合意により「ベネズエラ政府は2000億ドル(約32兆円)超の税収を生み出す」と表明した。
トランプ大統領は合意の詳細を公表していない。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米国はベネズエラの民間企業ノースアメリカンブルーエナジーパートナーズ(NABEP)の株式35%を取得し、原油生産量の20%を原価で購入できる権利を持つ。米戦争省にあたる国防総省の戦略資本局(OSC)が、同社の無議決権株35%を保有する仕組みだ。
NABEPは、推定650億バレルの原油が埋蔵される17油田について、100年間の開発権を持つ。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は米国務省当局者の話として、米国が合弁事業の生産量の55%を事実上確保するとの見通しを伝えた。OSCは、あらかじめ定めた価格で新株を引き受ける権利(ワラント)を活用し、初期投資負担を抑える計画という。OSCは2022年、米国の国家安全保障に重要な産業を支援するため発足し、通常は融資や保証を手がけてきた。
今回の計画は、国防総省の役割を石油開発投資にまで広げる異例の内容だ。デビッド・ローチOSC局長を含む国防総省と国務省の高官代表団は7月にベネズエラを訪れ、契約条件を詰めた。米国が原油を「国家安全保障上の供給網」の中核エネルギー源と位置づけているためだ。AP通信は、米国の戦略石油備蓄が3億バレルを下回るなか、米国はベネズエラ産の重質油確保を軍事・エネルギー安全保障上の課題と判断したと報じた。
トランプ大統領は今回の投資について、米国内の原油価格安定を前面に押し出している。今回の発表でも「米国の石油埋蔵量を2倍超に増やし、供給を大幅に拡大することで、今後すべての米国民のガソリン価格を実質的に引き下げた」と強調した。
もっとも、専門家は慎重にみている。ベネズエラの原油生産量は、老朽化した設備と米国の長年の制裁で、かつての日量約300万バレルから108万バレル(昨年時点)に減った。NYTは、新たな生産分が市場に意味のある規模で供給されるまで数年かかると報じた。短期的な国際原油価格と米国のガソリン価格への影響は限られる公算が大きい。法的手続きも障害として残る。WSJは、今回の協定の実質的内容が、石油埋蔵量はベネズエラ共和国に帰属し売却できないと定めた1999年ベネズエラ憲法と正面から衝突すると指摘した。
今回の合意は、中南米で中国の影響力を押し戻そうとするトランプ政権の戦略と重なる。米国は今年初め、当時のニコラス・マドゥロ大統領を拘束した後、ベネズエラ産原油の対米供給と自国企業の現地投資を拡大した。この影響で、中国向けのベネズエラ産原油は日量47万バレルから4万8000バレル(2月時点)に減少した。
中国によるベネズエラ油田への投資も大きく減る見通しだ。マドゥロ大統領の在任中、ベネズエラの各種原油を担保に供与した中国の融資も、返済が難しくなる可能性がある。海外メディアは、今回の協定によって中国の財産権が直接的な打撃を受ける可能性があると報じた。
キム・ドンヒョン記者 3code@hankyung.com
Korea Economic Daily
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