BIS、ステーブルコインの大規模決済に限界 代替策にトークン化預金
期間別予測トレンドレポート



国際決済銀行(BIS)は、日常的なデジタル決済手段としてはステーブルコインよりトークン化預金を活用すべきだと主張した。ステーブルコインは米国債需要を押し上げる半面、銀行の資金調達コストや家計・企業向け融資の金利を高める恐れがあるためだ。
ロイターが8月28日に報じた。BISのパブロ・エルナンデス・デ・コス事務総長は、米ワイオミング州で開かれたジャクソンホール経済政策シンポジウムで「ステーブルコインが大規模な支払い・決済手段として機能できるとの主張は、説得力に欠ける」と述べた。
デ・コス氏は、ステーブルコインとトークン化預金は共存し得るとみる。ただ、日常的な支払い・決済はトークン化預金が担い、ステーブルコインは国境をまたぐ取引など特定分野で補完的な役割を果たすべきだと指摘した。トークン化預金は、銀行預金をブロックチェーンなどの分散型台帳に記録し、移転できるようにした金融商品を指す。
こうした見解は、ステーブルコインをドル覇権の強化手段とみる米政府と温度差がある。スコット・ベッセント米財務長官は、ドル連動型ステーブルコインが米国債需要を数兆ドル規模で増やし、ドルの基軸通貨としての地位を一段と強固にし得ると主張してきた。発行体が準備資産として米国債を購入するためだ。
デ・コス氏も、ステーブルコインが米政府の借り入れコストを下げる可能性は認めた。一方で、市中資金が銀行預金からステーブルコインに移れば、銀行の資金調達コストが上昇しかねないと警鐘を鳴らした。銀行は貸出原資を確保するために、より高い金利を支払う必要がある。この負担が家計や企業の借入金利に転嫁される可能性があるという。
ステーブルコインが通貨の単一性を損なうとの懸念も示した。発行体ごとに異なるステーブルコインを交換するには売買の過程やコストが生じるうえ、プラットフォーム間の相互運用性も十分に確保されていないためだ。発行体や国ごとに顧客確認(KYC)やマネーロンダリング防止の基準が異なり、規制を一貫して適用しにくい点も課題に挙げた。
BISは、ドル連動型ステーブルコインの広がりが米国以外の国の通貨主権を弱めるとみている。新興国の家計や企業が自国通貨ではなくドル連動型ステーブルコインを保有すれば、中央銀行の金融政策の効果が薄れ、国内の金融環境が米国の政策運営に一段と左右されやすくなるためだ。
デ・コス氏は「トークン化預金は、既存の通貨制度の基盤を維持しながら、トークン化の利点を生かせるより直接的な手段だ」と語った。そのうえで、トークン化預金についても、金融機関とブロックチェーンの相互運用性や運営主体、法的権利、最終決済の基準を明確にする必要があると付け加えた。
Doohyun Hwang
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