米財務省、1兆ドルの長期国債買い入れ検討 株式市場の下支え期待
期間別予測トレンドレポート



米財務省が、長期国債の買い入れに1兆ドル(約159兆円)を投じる案を検討している。長期国債利回りが20年ぶりの高水準に急騰するなか、国債のバイバック(再買い入れ)規模を2倍に増やしたのに続き、追加資金の投入も視野に入れた。
CNBCは8月24日、米財務省高官2人の話として、財務省が国債バイバックの原資に財務省一般勘定(TGA)を活用できると報じた。TGAは米政府が米連邦準備理事会(FRB)に設けた政府口座で、税収や国債発行で確保した現金を保管する。残高は約9500億ドル(約151兆円)と、バイデン政権の目標だった5500億〜6000億ドルを大きく上回る。
財務省がTGAの活用まで検討するのは、最近の長期金利急騰を受けた対応だ。財務省は8月19日、取引の薄い長期のオフ・ザ・ラン国債について、1回当たりのバイバック上限を20億ドル(約3180億円)から最低40億ドル(約6360億円)に引き上げた。発表直後には30年債利回りが0.09ポイント急低下したが、効果は長続きしなかった。数十兆ドル規模の米国債市場では、1回当たり数十億ドルのバイバックだけで金利を押し下げるのは難しいとの指摘があった。こうしたなか、手元資金で長期債を買い入れられるTGAが新たな選択肢として浮上した。
今回のバイバックで米長期国債利回りがやや安定すれば、韓国株式市場には追い風になる可能性がある。米国債利回りの上昇はリスク資産選好を冷やし、人工知能(AI)関連の大型ハイテク株や半導体株の重荷となる。サムスン電子とSKハイニックスはこの日、米国債利回り上昇への警戒などから、それぞれ8.70%、3.41%下落した。
米財務省、国債管理に総力戦
住宅ローン・社債への波及警戒、長期金利はそろって低下
8月24日にTGA活用の可能性が伝わると、米長期国債利回りはそろって低下した。30年債利回りは年5.235%、10年債利回りは年4.706%と、前日比でそれぞれ0.041ポイント、0.032ポイント下がった。ただ、8月19日のバイバック拡大発表直後にも30年債利回りは年5.18%近辺まで急低下した後に再び上昇しており、効果が続くかどうかはなお不透明だ。TGA活用にも限界がある。CNBCは、財務省がTGA資金をバイバックに投じた後、残高を現在の水準に戻すには、税収を積み増すか国債を追加発行する必要があると説明した。
財務省が長期金利の上昇抑制に総力を挙げているとの見方が出ている。物価負担が重く、FRBが量的緩和に動きにくいためだ。米国の前月の消費者物価上昇率は3.4%と、FRBの目標である2%を上回った。長期金利の上昇は政府の利払い負担だけでなく、住宅ローンや社債など民間の資金調達コストも押し上げる。財務省が直接対応に乗り出した背景にはこうした事情がある。
財務省が長期金利の管理に積極姿勢を示す背景には、スコット・ベセント財務長官の政府債務への対応策もある。ベセント長官は、40兆ドル(約6360兆円)を超えた政府債務を大規模な緊縮で減らすのではなく、経済成長を通じて国内総生産(GDP)比の負担を軽くする考えだ。ベセント長官はCNBCのインタビューで「山のような政府債務を解決する方法は世界的な成長だ」と述べたうえで、「新型コロナ禍で積み上がった債務を踏まえると、金融安定への最大の脅威は成長不足だ」と強調した。長期金利の急上昇で投資や消費が冷え込めば、この成長戦略にも支障が出かねない。金利安定が急務になっている。
財務省は、最近の長期金利急騰を、政府債務の増加に対する市場の構造的な再評価というより、一時的な需給の不均衡とみている。企業の社債発行が増え、長期債の需給が一時的に悪化したという見立てだ。ベセント長官は「バイバック拡大は、利回りが基礎的なファンダメンタルズを反映していないと財務省が考えているというシグナルでもある」と語った。
イ・ヘイン/イ・ソナ記者 hey@hankyung.com
Korea Economic Daily
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