AIが人に代わって決済、ステーブルコインに新市場
概要
- コインベースやサークル、ビザなどの主要企業がAIエージェント向け決済インフラの構築に参加し、ステーブルコインが主要な決済手段として浮上していると伝えた。
- コインベースのAIエージェント決済プロトコル「x402」の決済の約99%はUSDCで行われ、主な用途はAPI呼び出しやデータ・計算資源の利用に伴う少額決済だとした。
- マー氏は、AIエージェントが多様なサービスを少額で購入する構造が広がれば、ステーブルコインが機械間決済の主要な手段として定着する可能性があると見通しを示した。
期間別予測トレンドレポート



人工知能(AI)エージェントが、データや計算資源、オンラインサービスなどを自ら購入する新たな決済主体として台頭している。ステーブルコインも主要な決済手段として存在感を強めている。
8月22日、暗号資産専門メディアのコインデスクが報じた。コインベース(Coinbase)やサークル(Circle)、ムーンペイ(MoonPay)、ビザ(Visa)、マスターカード(Mastercard)、クラウドフレア(Cloudflare)などの主要な暗号資産・決済企業が、AIエージェント向けの決済インフラ整備を進めている。AIエージェントは利用者の指示に応じて複数段階の作業を自律的にこなすソフトウエアで、処理の過程でデータや計算資源を直接購入できる。
コインベースが開発したAIエージェント決済プロトコル「x402」は、2026年に入ってから1億6500万件超の決済を処理した。累計決済額は5000万ドル(約79億円)を超えた。AIエージェントがサービス価格を確認したうえで、別途アカウントを作成したりカード情報を入力したりせずに費用を支払い、結果を受け取る仕組みだ。
初期のAIエージェント決済市場では、ステーブルコインの比重が特に大きい。コインベースでAI製品を統括するリンカーン・マー(Lincoln Murr)は、x402経由の決済の約99%がドル連動型ステーブルコインのUSDCで行われたと推計した。主な用途は商品購入ではなく、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)の呼び出しやデータ・計算資源の利用に伴う少額決済だ。
マー氏は「現時点で最も明確な用途は、AIエージェントがAPI利用料を支払う機械間決済だ」と語った。そのうえで「AIエージェントはインターネット上を高速で動くため、費用を支払う標準化された方式が必要だ」と指摘した。コインベースが4月に集計したx402エコシステム内のAIエージェント数は48万を超えた。
ステーブルコインは24時間送金でき、カード決済より少額・高頻度の取引に向く点が強みとされる。クラウドフレアのステファニー・コーエン(Stephanie Cohen)最高戦略責任者は「ステーブルコインは、API呼び出しやデータ、AI推論、コンテンツに対するごく少額で頻繁な支払いにとりわけ適している」と説明した。
もっとも、カード決済網もAIエージェント市場で競争を続けている。マスターカードは、エージェントが利用できる金額や購入範囲をあらかじめ定める方式を試している。ビザとDBSも、AIエージェントがクレジットカードやデビットカードで商品を購入する実証実験を進めた。既存のカード網は大規模な加盟店ネットワークに加え、与信や返金、紛争処理の仕組みを備えるため、高額決済ではなお強みがある。
マー氏は、現在のAIエージェント決済市場を初期インターネットの「ナップスターやライムワイヤの時代」になぞらえた。現時点では決済規模はまだ大きくない。ただ、今後はAIエージェントが一つの作業をこなすために、複数のデータやサービスを少額ずつ購入する構造が広がる可能性がある。そうなれば、ステーブルコインが機械間決済の主要な手段として定着する可能性があるとの見方を示した。
Minseung Kang
minriver@bloomingbit.ioBlockchain journalist | Writer of Trade Now & Altcoin Now, must-read content for investors.