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ベッセント氏の国債買い戻し、新たな米金融秩序の青写真となるか

出典
Korea Economic Daily

概要

  • ・米財務省は、長期 国債買い戻し 規模を拡大し、急騰した長期 金利 の安定を図る方針を示した。
  • ・米国の ステーブルコイン 制度化は、短期米国債 に新たな 需要 を生む仕組みだと伝えた。
  • ・2026年は米国上場 ETF に2兆ドル超が流入し、半導体ETF に資金が集中する流れだと伝えた。

期間別予測トレンドレポート

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写真:Shutterstock
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  1. トランプ政権の「イラン・中国圧力」、ドル覇権にも跳ね返るか

国際原油相場は8月20日、上昇している。WTIは2.5%高の1バレル88ドル、北海ブレントは2%高の93.4ドルとなった。トランプ政権が前日、イランだけでなくイランと取引する国や企業も経済的に孤立させる方針を示したためだ。

今回の制裁では、中国が米国の最大の圧力対象として浮上している。中国がイラン産原油輸出の9割超を買い取っているためだ。

米国の狙いの核心は、イランの資金源を断つことにある。すでにイラン産原油の取引に関与した中国の一部独立系製油会社、いわゆる「ティーポット製油所」などには制裁を科した。ただ、イランと中国の原油取引の資金決済を担う中国の大手銀行には、まだ本格的に照準を合わせていない。

最も強力な手段は、中国の銀行のドル決済ルートを遮断することだ。中国の銀行が国際的にドルを送金する際には、通常、米銀に開設したコルレス口座などを使う。米政府がこれを制限すれば、当該銀行は国際貿易の要であるドル決済で深刻な制約を受けかねない。結局、中国の銀行に「イランとの取引を続けるのか、それともドル決済網を守るのか」という選択を迫る構図になる。

制裁対象が中国の大手銀行にまで広がれば、波及効果はさらに大きい。中国の製油会社がイラン産原油を購入しようとしても、取引を処理する銀行がドル決済網からの排除を恐れ、資金処理を拒む可能性があるからだ。米国が断ち切ろうとしているのは「イランの原油販売→中国企業の購入→中国の銀行決済→イランへの資金流入」という資金の流れそのものである。

もっとも、ドルを武器として使うほど、長期的には米国にも跳ね返る恐れがある。中国にとっては、ドル依存度が高いほど米国の金融制裁に弱いとの認識が強まりやすい。これに伴い、人民元建ての貿易決済を広げたり、金や他通貨に外貨準備を分散したりする動きが強まる公算が大きい。実際、世界の外貨準備に占めるドルの比率は2017年の62.7%から2024年には57.8%へ低下した。

  1. ベッセント氏が描く新たな金融秩序、国債からステーブルコインまで

足元の金融市場で最も注目を集める人物の一人が、スコット・ベッセント米財務長官だ。米政府が最近打ち出している国債買い戻しの拡大、外国・国際通貨当局向けFIMAレポ制度の拡充、ステーブルコインの制度化は、個別にみれば別々の政策に映る。だが一つにつなげてみると、巨額の国家債務と長期金利を管理しつつ、新たなドル需要まで確保しようとする動きと読める。

米財務省は8月19日、10年から30年の長期国債の買い戻し額を、1回当たり最大20億ドル(約3170億円)から最低40億ドル(約6340億円)へと2倍超に増やす方針を明らかにした。米30年債利回りが今週5.3%を超え、2007年以降で最高水準まで上昇したため、長期債市場の安定に直接乗り出した格好だ。発表後は30年債利回りが大きく低下し、10年債利回りも4.6%台に下がった。

市場では、これを一種の「財務省版オペレーション・ツイスト」とみる向きもある。財務省が長期国債を買い入れる一方、短期国債であるTビルの発行を増やせば、市場に供給される長期債は減り、短期債は増えるためだ。米連邦準備理事会(FRB)が資金を供給して国債を買う量的緩和とは異なるが、長期金利を押し下げる方向に働きうる。ただ、そのためには短期債を吸収する市場が必要になる。

そこでつながるのが、米国のステーブルコイン規制法「GENIUS Act」を通じた制度化である。ドル建てステーブルコインの発行体は、コインの価値を維持するため、高品質の短期準備資産を保有しなければならない。ステーブルコイン市場が大きくなるほど、準備資産として使われる短期米国債に新たな需要が生まれうる。

  1. AIインフラ競争、「GPU確保」から「どれだけ早く稼働するか」へ

AIインフラ競争の軸が変わってきた。これまではエヌビディア(NVIDIA)のGPUをどれだけ多く確保できるかが焦点だったが、いまは確保したGPUを設置する電力とデータセンターを整え、どれだけ早く実際に稼働させるかが新たな競争要因になっている。

エヌビディアはGPU販売にとどまらず、自ら「仲介役」にも乗り出した。CNBCは8月20日、エヌビディアが最近、北欧でGPUを確保したものの設置場所を必要とする企業と、電力やスペースはあるが顧客を必要とするデータセンター事業者を結び付けていると報じた。米国やアジアでも同様の役割を担った事例があるという。

エヌビディアがデータセンター用地や電力の確保にまで関与するのは、GPUを売っただけでは直ちに売り上げを生むAIコンピューティングが始まるわけではないためだ。顧客が数十億ドル規模のGPUを押さえても、それを設置するデータセンターや電力がなければ機器は動かせない。AIインフラのボトルネックがGPUから電力、用地、データセンターへと広がっていることを示している。

このため北欧が、新たなAIデータセンター拠点として浮上している。北欧は比較的、電力と大規模用地を確保しやすい。気温が低く、データセンターの冷却にも有利だ。フィンランドやノルウェーでは数百メガワット規模のデータセンター建設が相次ぎ、ノルウェーでは送電網接続を待つデータセンター容量だけで2.3ギガワットに達する。

とりわけ重要なのはスピードだ。カーネギー国際平和財団の分析によると、100メガワット規模の米国のAIデータセンターは、稼働が1年遅れるとライフサイクル全体の価値が5.5%減少した。1年6カ月遅れた場合、減少幅は8.9%に広がった。一方で電気料金が100%、つまり2倍になっても、価値の減少幅は4.5%にとどまった。1年遅れて稼働する損失の方が、電気代が2倍になる影響より大きいということだ。

AI半導体の世代交代が速い点も重い。いま最新GPUを買っても、データセンターの稼働が1年以上遅れる間に次世代製品が出る可能性がある。高価なGPUを抱えながら売り上げを生めず、設備の経済価値まで急速に落ちる恐れがある。

エヌビディアにとっても、顧客のGPUが早く稼働するほど望ましい。顧客がAIサービスを始めて売り上げを上げ、投資収益率が高まれば、追加のGPU発注につながる可能性があるためだ。エヌビディアの競争力は、半導体性能やCUDAだけでなく、電力や土地、データセンター事業者、顧客まで結び付けるエコシステムへと広がっている。

一方、テキサス州ではデータセンター拡大への規制の動きも出ている。グレッグ・アボット州知事は、自身の指針によって最大1800件のデータセンタープロジェクトが中断したとし、データセンターが地域住民の水や電力を圧迫したり、電気料金を押し上げたりしてはならないとの基準を示した。

  1. 米ETF、2026年は2兆ドル流入の見通し AIマネーは半導体に集中

米ETF市場は過去最大規模へ膨らんでいる。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)グローバル・バンキング・アンド・マーケッツは、2026年に米国上場ETFへの資金流入が2兆ドル(約317兆円)を超えると予想した。前年より約40%多い水準だ。

2026年上半期だけでも、米国上場ETFには1兆ドル超の資金が純流入した。ETFが単にS&P500やナスダックといった指数に連動する商品にとどまらず、投資家がポートフォリオを組み、リスクを管理する中核的な投資手段へ広がっているためである。

特にアクティブETFの伸びが目立つ。2026年のETF新規流入資金のうち35%超がアクティブETFに向かった。現在、米国上場ETF全体の運用資産は約16兆1000億ドル(約2550兆円)で、このうちアクティブETFの比率は13%程度にとどまる。それでも新規資金では35%超を占めている。

ETFの商品数も急増している。2025年には米国で1100本超のETFが新たに設定され、2026年はこれを再び上回る見込みだ。ゴールドマン・サックスは、米国上場ETFの本数が6000本を突破し、米株市場に上場する個別銘柄数を上回ると予想している。

機関投資家によるETF活用も広がっている。複数のETFをあらかじめ組み合わせた「モデルポートフォリオ」に組み入れられたETF資産は、過去12カ月で46%増え、9500億ドル(約151兆円)まで膨らんだ。資産運用会社や投資助言会社が、個別株や債券を直接組み合わせる代わりに、ETFでポートフォリオ全体を構成する手法が広がっていることを意味する。

AI投資では、資金の流れがさらに鮮明に分かれた。6月には半導体ETFへ1カ月で190億ドル超(約3兆円)が純流入し、関連統計の開始以来で最大となった。一方、ソフトウエアETFからは約19億ドル(約3010億円)が流出した。AI投資ブームのなかでも、投資家はテクノロジー株全体を一律に買っているのではない。半導体には積極的に資金を振り向ける一方、ソフトウエアからは資金を引き揚げる選別が進んでいる。

ETFの1日平均売買代金は約3200億ドル(約50兆8000億円)に達する。市場の変動が大きい局面では、ETFが市場全体の売買の最大40%を占めることもある。ETFは単なる投資商品を超え、投資家が市場リスクと資産配分を管理する「投資インフラ」として定着した。

  1. JPモルガン「ノキアはウォール街が見落としたAI恩恵株」

JPモルガン(JPMorgan Chase)はノキア(Nokia)に強気の見方を示している。AIデータセンターの急増でノキアのネットワーク機器の受注が急速に増えているにもかかわらず、ウォール街の業績予想にはこの効果がまだ十分織り込まれていないというのが理由だ。

AIデータセンターではGPUだけでなく、大量のGPUとサーバーの間で膨大なデータを高速にやり取りする光通信機器やIPネットワーク機器が必要になる。ノキアはまさにこの市場で恩恵を受けている。直近2四半期にノキアが確保したAI・クラウド関連の受注は38億ユーロ(約7080億円)に達し、このうち24億ユーロ(約4470億円)は今後12カ月以内に供給できる案件である。

特にIPネットワークが新たな成長の柱として浮上している。2026年4〜6月期の受注のうち40%超、金額では11億ユーロ超(約2050億円)がIPネットワーク関連の注文だった。既存の光通信事業に加え、IPネットワークでもAIデータセンター需要が急速に増えている。

足元の課題は供給だ。部品不足のため、押し寄せる受注を直ちにすべて売り上げへ転換できていない。ただJPモルガンは、2027〜2028年に部品供給が改善すれば、積み上がっている受注が本格的に売り上げと利益へ反映されるとみている。

JPモルガンは、現在のウォール街の業績見通しが低すぎると判断した。いまの受注増加が続けば、2027年のネットワークインフラ売上高の伸びは市場予想の2倍超になる可能性があると分析した。受注の増勢が大きく弱まる保守的なシナリオでも、2027年のAI・クラウド売上高は市場予想を約17%上回りうると指摘した。

強気シナリオでは、営業利益が市場予想より2027年に28%超、2028年には46%超高くなる可能性も示した。JPモルガンはノキアに「オーバーウエート」の投資判断を付与し、目標株価を18ユーロ、21ドル(約3330円)とした。当時の株価と比べると、およそ100%の上昇余地を見込んでいる計算だ。

結局、JPモルガンの論理は明快だ。AIデータセンターの急増でノキアのネットワーク機器受注はすでに急速に伸びている。現状は供給不足で受注が積み上がっているが、2027〜2028年に生産能力が改善すれば、これが売り上げと利益に本格的に転化する可能性がある。ウォール街の予想がそれを十分に織り込んでいない点こそ、ノキアをAIインフラの隠れた恩恵株とみる核心である。

ニューヨーク=パク・シニョン特派員 nyusos@hankyung.com

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