ネイバーペイCISO「耐量子暗号、年内にネイバーの全サービスへ適用」
期間別予測トレンドレポート



「ネイバーのサービスの約80%で、耐量子暗号(PQC)の導入を終えた」
ネイバーペイのイ・ヒョンジン最高情報セキュリティー責任者(CISO)は韓国経済新聞のインタビューでこう語った。ネイバーペイで先行導入したPQCは、ネイバーメールやブログ、カフェなどにも順次広げているという。イ氏は「量子コンピューターは確実に訪れる未来であり、今から備える必要がある」と強調した。
ネイバーペイは韓国で初めて、全サービスにPQCを導入して注目を集めた。PQCは量子コンピューターでも容易に解読できないよう設計した暗号技術を指す。2030年代に本格導入が見込まれる量子コンピューターは、従来のコンピューターと異なり量子力学を活用するため、演算速度が極めて速い。現在は解読が難しい暗号も破られるとの懸念が強まっている。
ネイバーペイがPQCの導入を急いだのは、ハッカーが暗号化データを広範囲に収集した後、量子コンピューターで解読する「先に収集し、後で解読する」攻撃に備えるためだ。イ氏は「量子コンピューターを使った解読アルゴリズムは、数学的な検証を終えている」と指摘した。そのうえで「現在の暗号体系が無力化される時点が来ても、利用者情報を安全に守れるよう先行投資した」と説明した。
ネイバーでもPQCの適用を広げている。ネイバーペイはPQC技術の確保段階から、グループ会社のネイバークラウドと協業した。イ氏は「ネイバークラウドはデータセンターなどインフラ運営の技術を持っており、支援を求めた」と述べた。ネイバーは大規模な情報技術(IT)サービスを安定的に提供してきた経験があり、PQCを迅速に適用できるとも付け加えた。
ネイバーペイは米国立標準技術研究所(NIST)の標準PQCアルゴリズムを採用する一方、既存の暗号方式も併用した。PQCは韓国だけでなく海外でも導入事例が多くないため、慎重に進めたという。イ氏は「新たな暗号体系に想定外の問題が生じても、既存方式が最低限の安全網として機能するよう設計した」と話した。現在は障害なくサービス移行を終えたとしている。
ネイバーペイがPQC導入を急いだきっかけは、2025年下半期に顔決済機能を備えた「Nペイコネクト」端末事業を本格化させたことだ。この端末はカフェや飲食店など個別店舗に設置されるため、ネットワーク経由のハッキングだけでなく物理的な改ざんにもさらされやすい。生体情報に加え決済情報も扱うだけに、社内でも端末導入の最大の障害としてセキュリティーへの懸念が挙がっていた。
セキュリティー担当者がNペイコネクトの企画段階から加わった結果、ネイバーペイの全サービスのデータ伝送区間にPQCを適用した。イ氏は「顔情報はパスワードと違い、漏洩しても変えられない生体情報だ」と語った。正確に認識される信頼性も極めて重要だとしたうえで、「利用可能な最新のセキュリティー技術は、商用化の初期段階でも先んじて適用するのが社内原則だった」と明らかにした。
イ氏は量子コンピューターに加え、人工知能(AI)も企業セキュリティーの最優先課題に挙げた。技術変化が最も活発な分野だからだ。「AIを安全に活用する方法と、AIを悪用した外部脅威に効果的に対応する方法に重点を置いている」とし、「AIベースの自律型模擬ハッキングのような新たなセキュリティー技術も継続的に導入する」と述べた。
パク・シオン 韓国経済新聞記者 ushire908@hankyung.com
Korea Economic Daily
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