KB証券理事「AIバブル崩壊の兆候は金利で見極める」
概要
- イ・ウンテクKB証券理事は、AI産業バブルはまだ崩壊する時期ではないと述べた。
- 同氏は、ハイパースケーラーのCAPEXにブレーキをかける兆候として、趨勢的な金利上昇と米10年物国債利回りの5.0〜5.5%突破を挙げた。
- 最近のAI需要鈍化・トークンコストを巡る論争は和らいでおり、トークン最適化・価格競争が進んでいると評価した。
期間別予測トレンドレポート



人工知能(AI)産業への期待を背景に膨らんだ株式市場のバブルは、なお崩壊局面には入っていない――。KB証券のイ・ウンテク理事は、ハイパースケーラー(大規模データセンター運営会社)の資本支出(CAPEX)にブレーキをかけるほど金利が上昇していないためだと分析する。
イ氏によると、バブル崩壊が近づく兆候は、ハイパースケーラーの資本支出に制動がかかる局面に表れる。そのシグナルは「後戻りできない金利上昇」にあるという。
イ氏は8月18日、韓国取引所で開いた懇談会で「AI向け資本投資を止める役割を担うのは『資本供給者』だ」と述べた。ここでいう資本供給者とは、ハイパースケーラーのAIインフラ投資に必要な資金を貸し出す債権者を指す。
「ビッグテック企業は、過去に赤字を受け入れながらも投資を続け、市場を掌握した成功体験を持つ。自ら投資を止める可能性は極めて低い」。イ氏はこう指摘したうえで、「結局、投資が止まるのは、銀行や年金基金、ベンチャーキャピタル(VC)など、元本回収と利息受け取りを最優先する資本供給者がリスクを察知し、資金供給を絞る時点だ」と強調した。
企業のフリーキャッシュフロー(FCF)が悪化したり、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムが上昇したりして債権者が危険を意識し始めれば、資本供給は止まる。そうなれば、バブル局面は終息に向かう可能性があるとの見方を示した。
イ氏は、過去130年間の主要な3つのバブル崩壊として、1930年代の世界大恐慌、1970年代のスタグフレーション、2000年代のドットコムバブルを挙げた。いずれにも共通したのは「趨勢的な金利上昇」だったとみる。
一方、短期金利の一時的な急騰は、多くの場合で押し目買いの機会にとどまったと分析した。実際のバブル崩壊には、2つの条件が必要だという。
第1に、政策当局が利下げしたくても、インフレ急騰のため利下げできない「不可逆的な状況(No Way Back)」であること。第2に、10〜20年ぶりの水準まで金利が急騰する「過去最高値の更新(Breaking to New Highs)」が起きることだと説明した。
具体的には、米10年物国債利回りが趨勢的に5.0〜5.5%を上抜ける水準まで上昇して初めて、安全資産への資金移動が本格化し、バブル崩壊の臨界点に達し得ると見通しを示した。2002年や2007年の水準を上回る、過去最高値更新の局面に当たるためだ。
前日の米30年物国債利回りが5.3%を超え、2007年の水準を上回った点については「注目に値する現象ではあるが、指標金利である10年物に比べれば重要度は相対的に低いと考える」と語った。
足元で浮上したAI需要の鈍化や収益性を巡る論争については、懸念を強める段階ではないと評価した。トークンコストの問題が懸念を増幅し、株価調整の引き金になったものの、関連する不安は和らいでいるとみている。
イ氏は、6月末から7月にかけての株価調整について、オープンAI(OpenAI)やアンソロピック(Anthropic)などが投入したフロンティアAIモデルの需要が、トークンコストの問題で鈍る可能性があるとの懸念が背景にあったと分析した。米国のフロンティアAIモデルにおけるトークンコスト問題の代替策として、中国のAIモデルが注目を集める場面もあったという。
もっとも、その後は米国のフロンティアAIモデルの運営会社がコスト引き下げに動いた。フロンティアモデルを使う企業も、最上位モデルの利用量を減らし、比較的単純な作業は低コストのモデルで処理する最適化に乗り出した。
イ氏は「今年の春までは、高性能モデルに資源を集中投下する『トークン・マキシング』が主流だった」と振り返った。そのうえで「最近はコスト管理のため、高性能のフロンティアモデルと安価なオープンソースモデルを併用する『トークン最適化』へとパラダイムが移っている」と説明した。さらに、中国のAIモデルの台頭やオープンAIの値下げなど、激化した価格競争に伴う短期的な懸念は、すでに株価に相当程度織り込まれたと付け加えた。
ハン・ギョンウ 韓経ドットコム記者 case@hankyung.com
Korea Economic Daily
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