メモリー市場に異例の追い風、サムスン・SKハイニックスに重なる好材料 「スーパーサイクルは2030年まで」
概要
- 主要な市場調査会社は、メモリー、HBM、Dラム、NAND型フラッシュを軸にした大幅な好況と半導体売上高の急増を見込み、サムスン電子とSKハイニックスの好業績期待が高まっていると伝えた。
- HBM増産に伴う供給制約、DDR平均販売価格(ASP)の急騰、eSSD中心のNAND需要急増を背景に、少なくとも2027年までメモリーの上昇局面が続くとの分析が示されたと報じた。
- ゴールドマン・サックスなどのグローバル投資銀行は、メモリー・スーパーサイクルと長期好況シナリオを示し、メモリー供給不足が2030年まで続く可能性があると見通したと伝えた。
期間別予測トレンドレポート



人工知能(AI)インフラ投資の拡大が高帯域幅メモリー(HBM)にとどまらず、汎用DラムやNAND型フラッシュメモリーにも波及し、世界のメモリー市場がかつてない好況局面に入っている。主要な市場調査会社は、2026年の半導体市場の急成長をメモリーが主導すると予測した。AI向け高付加価値メモリーの需要急増に加え、汎用品でも供給不足と価格上昇が広がっており、サムスン電子とSKハイニックスの好業績が長期化するとの見方が強まっている。
メモリーが半導体売上高の6割、DラムとNANDが同時拡大
8月10日にシグマインテル、カウンターポイント・リサーチ、オムディアなどの予測を総合すると、2026年の世界半導体市場はメモリーを軸に急成長する見通しだ。シグマインテルは、世界の半導体売上高が前年比107%増の約1兆5870億ドル(約251兆円)になると見込む。このうちメモリー売上高は約9600億ドル(約152兆円)と290%増え、半導体売上高全体の約60%を占めると予想した。
市場拡大をけん引しているのはDラムとNAND型フラッシュの両分野だ。シグマインテルは、2026年のDラム売上高が前年比300%以上、NAND型フラッシュも250%近く増えると見込む。HBM市場だけでも1000億ドル(約15兆8000億円)を超える見込みだ。
ほかの調査会社の見立ても近い。オムディアは、AI需要が世界の半導体供給能力を上回っているとして、2026年の半導体売上高成長率見通しを前年比94.1%に引き上げた。メモリー半導体が売上高全体の半分超を占めるとの想定でも一致している。
カウンターポイント・リサーチは、2026年の世界メモリー市場が前年の4倍に当たる1500兆ウォン規模に達し、日本円では約168兆円になると試算した。2027年には2100兆ウォン規模、約235兆円まで拡大すると見込む。調査機関ごとに対象市場や集計方法は異なるが、AIインフラ投資がメモリー市場の成長を圧倒的に主導している点では見方が一致している。
とりわけ需要先は急速にサーバー中心へ移っている。カウンターポイント・リサーチによると、メモリー売上高全体に占めるサーバー向け製品の比率は2025年の37%から2026年には56%に高まる見通しだ。AIデータセンター投資の拡大に伴い、サーバーがメモリー売上高の過半を占める構図に変わりつつある。
HBM増産で汎用Dラムも逼迫、NANDにもAI需要
メモリー市況の大幅な上昇を支える核心は供給制約にある。サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン(Micron)がHBMの生産能力を積極的に拡大する一方、DDR向けウエハー供給は2桁減った。AIサーバー向けDDR需要も増えており、シグマインテルはDDR全製品群の需給が例を見ないほど引き締まっていると分析した。
HBMは一般的なDラムより製造工程が複雑で、大規模な生産能力を備える企業もサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社にほぼ限られる。エヌビディア(NVIDIA)やAMD、インテル(Intel)、グーグル(Google)などのAIアクセラレーターにHBMが大量搭載されるなか、供給拡大の速度が需要増に追いついていない。
HBMの増産が、逆に汎用Dラムの供給不足と価格上昇を促す構図も鮮明になってきた。シグマインテルは、2026年7〜9月期のDDR平均販売価格(ASP)が2025年7〜9月期の4〜5倍に達すると予想した。
一部製品では異例の価格逆転も起きている。カウンターポイント・リサーチによると、サーバー向け製品需要の急増と高付加価値製品への生産シフト、供給制約が重なり、一部の汎用Dラムではギガビット(Gbit)当たり価格がHBMを上回った。製造工程がより複雑でコストも高いHBMより、汎用品の単価が高くなる現象が出ている。
AI発のメモリー特需はNAND型フラッシュにも広がっている。大規模AIサーバーでデータを保存する企業向けソリッドステートドライブ(eSSD)の需要が急増しているためだ。AIサーバー向けeSSD需要が、民生電子機器向けNAND需要を上回るとの予測まで出ている。
供給のボトルネックは短期間では解消しにくい。オムディアはHBMだけでなく、先端パッケージングや先端プロセスでも供給不足が起きていると指摘した。台湾積体電路製造(TSMC)の先端パッケージング生産ラインが高い稼働率を維持するなか、関連装置の長い納期も迅速な能力増強を難しくする要因に挙げた。
オムディアは、HBMと先端パッケージング、先端プロセス全般のボトルネックが少なくとも2027年まで続くと予測した。カウンターポイント・リサーチも、メモリー市場の上昇基調は2027年上半期まで続くとみる。ただ、新規設備の増設が本格化する2027年下半期以降は、供給増加に伴う価格調整の可能性もある。
サムスン電子とSKハイニックスに二重の追い風、「今回は周期がより長い」
HBMから汎用Dラム、NAND型フラッシュまで手がけるサムスン電子とSKハイニックスには、追い風の市場環境が続いている。高収益のHBMを取り込みつつ、供給不足に伴う汎用DラムとNAND価格上昇の恩恵も同時に受けられるためだ。
サムスン電子は2026年4〜6月期、世界Dラム市場で売上高ベース39%のシェアを確保し首位だった。汎用Dラム価格の上昇とHBMシェア拡大が同時に業績を押し上げた。SKハイニックスも同期間のDラム売上高が前年同期比214%増えた。
変数は中国メモリーメーカーの追い上げだ。カウンターポイント・リサーチによると、中国のCXMTの2026年4〜6月期Dラム売上高は前年同期比716%増だった。台湾のナンヤも同期間に690%増えた。とくにCXMTは、サムスン電子とSKハイニックス、マイクロンがHBMや高付加価値製品に生産能力を集中する間に、汎用Dラム市場で急速に規模を拡大している。ただ、中国勢の増産で世界のメモリー供給不足が短期で解消する可能性は小さい。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)も、今回のメモリーサイクルは過去より強く、長く続く可能性が大きいとみている。AIコンピューティング需要の増加ペースがメモリー供給拡大を上回るうえ、長期供給契約の拡大など産業構造自体が過去のサイクルと異なるためだ。メモリー供給不足は2030年まで続くと見通した。
ゴールドマン・サックスのアジア太平洋ストラテジスト、ティモシー・モ氏は「市場ではメモリー景況感、ハイパースケーラーの設備投資(CAPEX)、資本市場での資金調達、競争激化などを懸念しているが、こうした変数が長期好況シナリオを損なうほどではない」と語った。
ホン・ミンソン 韓経ドットコム記者 mshong@hankyung.com
Korea Economic Daily
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