年初来430%高の銘柄も 米主導株に交代論、個人マネーはAIハード株へ
概要
- 米国のM7の一部は、AIインフラ拡大への対応の遅れとキャッシュフロー悪化で株価が振るわず、代表性も弱まっていると評価された。
- 一方、サンディスク、デル、マイクロンなどのAIハードウエアとP7企業は、年初来で最大430.2%上昇し、新たな主導株として浮上している。
- ウォール街では、収益化の可能性、売上高成長率を基準に、AIビッグ10、MANGOS、P7など代替の銘柄群を模索し、従来のM7比重を見直す動きが出ている。
期間別予測トレンドレポート


M7失速、いまは「P7」の時代か
AI成果の乏しいテスラ・メタ後退
サンディスクやデルなどハードウエア台頭

「マグニフィセント7(M7)」と呼ばれる米主要ハイテク7社の勢いに、かつてほどの強さはなくなってきた。エヌビディア、アップル、アルファベット、マイクロソフト(MS)、アマゾン、メタ、テスラの7社は、2025年までの3年間にわたり米株式市場を主導してきた。ただ、人工知能(AI)生態系の拡大に一部企業が十分対応できず、時価総額ではこれまで格下とみられていたTSMCやブロードコムに後れを取った。
M7は西部劇映画「荒野の七人(The Magnificent Seven)」に由来する。年初来の株価上昇率を8月6日時点でみると、メタは10.5%安、テスラは28.9%安だった。最も上昇率が高いアマゾンでも17.9%にとどまる。サンディスクの430.2%高やデルの247.7%高と比べると見劣りする。
時価総額でもメタは1兆5020億ドル(約238兆円)、テスラは1兆2610億ドル(約200兆円)となり、10位と11位に後退した。この2社を上回ったのはTSMCの2兆1680億ドル(約343兆円)、ブロードコムの2兆ドル(約316兆円)、スペースXの1兆5130億ドル(約239兆円)だ。
英フィナンシャル・タイムズは「M7はもはや『マグニフィセント』ではない」と評した。市場の関心は「P7」へ移りつつある。Pは「parabolic(放物線)」の頭文字で、サンディスク、マーベル、マイクロン、インテル、デル、AMD、ブロードコムといったAIインフラ関連企業を指す。
「AIマネー戦争」で陰るM7、ウォール街は稼げるP7へ
「7大ビッグテックは昔ほど強くない」 米主力株に交代の兆し
M7という言葉が初めて登場した2023年から2025年まで、市場はビッグテックがAI時代の勝者になるとみていた。毎年数千億ドルをAIインフラに投じる各社が、AI覇権を握るとの期待が強かったためだ。
流れが変わったのは、巨額投資で手元資金を減らし、借り入れを伴う投資を始めてからだ。M7のキャッシュフロー悪化を見た投資家は、足元で利益を稼げる企業を探し始めた。M7内部で株価の優劣が鮮明になり、半導体やサーバーなどのハードウエア企業に視線が向かった背景には、こうした事情がある。

M7に「収益性の証明」迫る
M7という呼称は、バンク・オブ・アメリカのマイケル・ハートネット主席ストラテジストのリポートで初めて登場した。巨大で経営がうまく、テクノロジー分野を支配する企業という共通点から、7社を一括りにした。M7はAI投資を続けながら市場を主導し、平均株価上昇率は2023年が111.3%、2024年が60.2%、2025年が22.4%に達した。
地位が揺らぎ始めたのは2026年に入り、AI投資に対する市場の忍耐が限界に近づいたためだ。AIで稼ぐ企業を待ち望んでいた投資家は、収益化の可能性を基準にM7を選別し始めた。
AIアクセラレーター市場を握るエヌビディアに加え、データセンター投資が業績に結びついているマイクロソフトとアマゾンは「優等生」と受け止められた。一方、財務構造が悪化したアルファベットとメタ、ロボットや自動運転車で大きな成果を上げられていないテスラへの懸念は強まった。
AI拡大で代替銘柄が浮上
M7がもたつく間に、AIインフラ企業の存在感が高まっている。M7の大規模投資を取り込んだ電力機器、半導体、サーバーなどのハードウエアメーカーだ。米投資家が売買しやすいメモリー半導体企業では、サンディスクとマイクロンが年初から8月6日までにそれぞれ430.2%、208.8%上昇し、市場を主導した。
オープンAI、アンソロピック、スペースXといったAI業界の「新たなスター」の登場も、M7の地位を揺さぶっている。6月12日に上場したスペースXは、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の宇宙・AI構想を前面に出し、850億ドル(約13兆4000億円)を調達した。アンソロピックは2026年10月、オープンAIは2027年に上場するとの見通しが出ている。
「MANGOS」「AIビッグ10」乱立
市場では、M7という呼び名自体は消えないにしても、代表性は次第に薄れるとの観測が出ている。成長力が鈍っているためだ。
ロイターによると、M7の四半期売上高成長率は前年同期比で、2026年7〜9月期の35.1%から10〜12月期は23.1%、2027年1〜3月期は7.1%へ鈍化する見通しだ。2026年10〜12月期には、M7を除くS&P500採用企業の売上高成長率26.3%も下回ると予想されている。
M7の代替を探る動きも活発になっている。バンク・オブ・アメリカは最近、M7にAMD、ブロードコム、マイクロンを加えた「AIビッグ10」を提示した。市場でしばしば取り沙汰されるのが、M7の変形版である「MANGOS」だ。M7のうちマイクロソフト、アルファベット、エヌビディアを残し、アンソロピック、オープンAI、スペースXを組み入れた構成を指す。
足元で説得力を増しているのは、フェドウォッチ投資顧問のベン・エモンズ最高投資責任者(CIO)が6月に示した「P7」だ。AIハードウエア企業の株価が年初から放物線を描くように急騰したことにちなむ。代表的なAIインフラ企業であるサンディスク、マーベル、マイクロン、インテル、デル、AMD、ブロードコムが含まれる。主にカスタム半導体設計やメモリー半導体生産を手がけ、ビッグテックの天文学的な投資を売上高に直接つなげやすい点が共通している。
▶P7
ビッグテックのAI投資を追い風に売上高を伸ばしている半導体・メモリー・サーバー企業7社を指す。株価が放物線を描くように急伸していることから「P(parabolic)」の名が付いた。サンディスク、マーベル、マイクロン、インテル、デル、AMD、ブロードコムが該当する。
ニューヨーク=ファン・ジョンス特派員/ソン・ジュヒョン記者 hjs@hankyung.com
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