パランティア、営業益239%増 「SaaS終末論」を払拭
概要
- パランティアは4〜6月期、売上高が93%増加し、営業利益は238.6%急増した。市場予想を上回る決算となった。
- 調整後営業利益率は46%から62%に上昇した。売上高成長率との合算指標は155%となり、エヌビディアを上回った。
- 今回の決算発表は、2025年11月の高値から39%下落していた株価の反転材料となる可能性がある。時間外取引では14%超上昇した。
期間別予測トレンドレポート


米データ企業のパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)が4〜6月期決算で、「SaaSpocalypse(サービス型ソフトウエア企業の終末)」への懸念を振り払った。データの統制権は人工知能(AI)モデル企業ではなく各企業が握るべきだと訴える「AI主権論」が奏功した。

「民間事業はまだ初期段階」
パランティアは8月3日、4〜6月期の売上高が19億3500万ドル(約3040億円)と前年同期比93%増だったと発表した。市場予想の18億ドルも大きく上回った。このうち米政府向け売上高は90%増の8億900万ドル(約1270億円)、米民間向け売上高は149%増の7億6400万ドル(約1200億円)だった。アレックス・カープ最高経営責任者(CEO)は民間事業の成長について「今まさに火が付いた初期段階だ」と語った。
営業利益は9億1200万ドル(約1430億円)と238.6%増えた。一時費用などを除く調整後営業利益率は46%から62%に上昇した。一般にソフトウエア企業は売上高成長率と営業利益率の合計が40%を超えると、成長性と収益性が高いと評価される。パランティアは155%となり、エヌビディア(NVIDIA)の153%を上回った。カープCEOは「今四半期の実績は別世界の水準だ」と述べ、「事業の成長速度と規模はかつてないペースで拡大している」と強調した。パランティア株は時間外取引で14%超上昇した。
今回の決算発表は、2025年11月の高値更新後に苦戦していた株価の反転材料になりそうだ。パランティア株は2025年11月に207.18ドルの高値を付けた後、8月3日までに39%下落していた。データ分析企業のパランティアは、政府や企業が持つデータを整理し、AIが活用できるようにするプラットフォーム「ゴッサム(政府向け)」と「ファウンドリー(企業向け)」を運営する。最近の株安は、こうしたAI意思決定プラットフォームを代替する新たなソフトウエアが登場し得るとの「SaaSpocalypse」懸念が広がったためだ。モーニングスターは7月、「AI推論コストの低下と大規模言語モデル(LLM)の改善は、パランティアが握ってきたAI意思決定ソフトウエア産業の参入障壁を下げる」と分析した。
欧州では主権論が足かせに
パランティアはむしろ、企業がAIに抱く不安を商機に変えた。AIモデルに置き換えられる恐れがある企業に対し、「AI企業にデータを渡すな」と訴える逆張りのマーケティングを展開した。カープCEOは8月3日付の株主書簡で、「われわれの文明が生み出したほぼすべての文献資料を吸収しながら成長してきたLLMと開発企業は、いまや世界の産業全体を標的にしている」と警告した。そのうえで、4〜6月期の好決算の背景には、企業がデータを守ろうとする動きがあったと指摘した。
パランティアは自社を「データ収集企業」ではなく「データ処理企業」と位置付ける。顧客データをAIモデル学習の目的で収集・保有しない方針だ。顧客企業がデータブリックス(Databricks)やスノーフレーク(Snowflake)などのデータベース管理システム(DBMS)を使っている場合、データはその内部で処理される。顧客が自社データセンターを保有していれば、外部と隔離した閉鎖環境にもゴッサムとファウンドリーを導入できるようにしている。
もっとも、AI主権論を前面に押し出し過ぎれば、海外市場の開拓を制約する可能性がある。欧州連合(EU)などの政府からみれば、自国データを米ソフトウエア企業のパランティアに委ねるべきではないという議論につながりやすい。実際、フランス国内保安総局(DGSI)は7月、パランティアではなく自国企業のシャップスビジョンとデータ処理契約を結んだ。政治要因も重荷になり得る。ブルームバーグ通信は「11月の米中間選挙で民主党が上下両院のうち少なくとも一院を握れば、パランティアはドナルド・トランプ政権との関係を理由に調査を受ける可能性がある」と報じた。
シリコンバレー=キム・インヨプ特派員 inside@hankyung.com
Korea Economic Daily
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