PiCK
収益モデル揺らぐサークル、ウォール街が目標株価を相次ぎ下方修正
概要
- モルガン・スタンレー、みずほ証券、バーンスタインが相次いでサークルの目標株価を大幅に引き下げ、アンダーウエートの判断も示した。
- USDCの流通量減少と、準備金運用収益への依存度が90%超に達する構造を背景に、サークルの収益モデルが弱まっていると分析した。
- ハイパーリキッドとの収益分配契約や、ブラックロックのMMF投入によって、サークルの流通コストと競争負担が増し、長期的に収益性を脅かす可能性があると指摘した。
期間別予測トレンドレポート



ウォール街の主要証券会社が、ドル連動型ステーブルコインUSDCの発行元であるサークルの目標株価を相次ぎ引き下げた。ステーブルコイン市場の競争激化を受け、同社の収益モデルに揺らぎが生じているためだ。
8月3日、米金融大手モルガン・スタンレーはサークルの目標株価を従来の106ドル(約1万6700円)から38ドル(約5970円)へ64%超引き下げた。ウォール街の主要証券会社が示した目標株価としては最低水準となる。
投資判断も「中立」から「アンダーウエート」に引き下げた。同日のサークル株は前営業日比3.61%安の60.35ドルで取引を終えた。年初来の下落率は25%を超えた。
目標株価の引き下げはモルガン・スタンレーだけではない。みずほ証券は7月に2度、目標株価を85ドル(約1万3400円)から45ドル(約7070円)へ47%超引き下げた。バーンスタインも最近、190ドル(約2万9900円)から140ドル(約2万2000円)へ約26%下方修正した。

ウォール街が警戒するのは、サークルの収益モデルの弱体化だ。ステーブルコイン業界の競争が激しさを増しているうえ、暗号資産の取引量の鈍化で準備金運用の収益性が損なわれる可能性がある。ビザ、グーグル、ブラックロックなど世界の大手企業が参加するドル連動型ステーブルコイン連合のオープンUSD(OUSD)が足元で本格始動したことも、こうした懸念を強めた。
USDCの流通量はすでに4〜6月期から減少に転じている。ブロックチェーンデータ分析会社RWAxyzによると、USDCの流通量は2026年1〜3月期末に780億ドル(約12兆3000億円)台まで膨らんだ後、8月初めには710億ドル(約11兆2000億円)台まで約9%減った。流通量が減れば、サークルの準備金運用収益も縮小せざるを得ない。
問題は、サークルが売上高の90%超を準備金運用収益に依存している点にある。モルガン・スタンレーは、USDC流通量の減少が準備金運用収益への高い依存度を浮き彫りにしていると分析した。サークルの収益構造は利幅の薄い取引手数料中心へ移りつつあるとも指摘した。

分散型取引所(DEX)のハイパーリキッド(HYPE)との収益分配契約も重荷になっている。サークルの中核パートナーである米暗号資産交換業者コインベースは5月、ハイパーリキッドと準備金運用収益を分配する契約を結んだ。ハイパーリキッドがUSDCを取引所内の中核ステーブルコインとして採用する代わりに、コインベースが受け取るUSDC準備金運用収益の約90%をハイパーリキッドが受け取る仕組みだ。
ウォール街では、この契約がサークルの「流通コスト」負担を押し上げるとみる。ステーブルコイン市場を巡る競争が激化するなか、今後USDCの流通パートナーがハイパーリキッドを前例に高いインセンティブを求めれば、サークルは消耗戦を強いられる公算が大きい。
こうした構図は、コインベースより準備金収益への依存度が高いサークルにとってなおさら重い。JPモルガンは、サークルとコインベースがUSDC流通量の拡大を競う過程で、互いの収益性を損なう「囚人のジレンマ」を生み出したと指摘した。長期的には、発行体であるサークルにより大きな脅威になるとの見方を示した。
資産運用会社が準備金運用市場に相次ぎ参入していることも、収益基盤を弱める可能性がある。8月3日には、ステーブルコイン準備金の運用に特化したトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)をブラックロックが投入した。
業界関係者は、MMFなどを通じて準備金運用が汎用化すれば、ステーブルコイン発行の参入障壁は下がると話す。市場競争が過熱するほど、発行体が流通量を確保するために負担するコストも増えると付け加えた。
JOON HYOUNG LEE
gilson@bloomingbit.ioCrypto Journalist based in Seoul