米・イラン、8月4日に協議 ホルムズ海峡開放の次は核交渉
概要
- ホルムズ海峡の再開放協議と中東の緊張緩和を受け、国際原油が取引時間中に5%急落したと伝えた。
- OPECプラスの増産合意に加え、イランとオマーンのホルムズ海峡管理策を巡る協議が最終段階に入ったと伝えた。
- 海峡の管理権と通行料徴収を巡る米国とイランの隔たりが大きく、最終合意までにはなお相当の時間がかかると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


海峡管理権が交渉の焦点に 国際原油は一時5%安
米国との対話に先立ち、イランとオマーンは海峡開放で調整
中東の緊張緩和とOPECプラスの増産で
アジア市場でブレント先物が下落

ホルムズ海峡の再開放に向けた協議が、米国とイランの間で大詰めを迎えている。イランとオマーンは海峡の管理方法を巡り、相当部分で合意に近づいたもようだ。ドナルド・トランプ米大統領も8月3日午後(現地時間)、イランとの対話再開を確認した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、イランを巡る勝利演出が頓挫し、トランプ氏が方針転換したと報じた。
軍事的緊張の緩和を受け、市場はひとまず安堵した。国際原油価格は急落した。ただ、海峡の管理権を巡る米国とイランの隔たりは大きく、協議を楽観視するのは難しい。
ムハンマド皇太子がトランプ氏に対話促す
トランプ大統領は8月2日、ホルムズ海峡の開放問題を巡り、イランとの2国間対話再開を予告した。同日、ワシントンに戻る大統領専用機内で記者団に対し「ホルムズ海峡に関する合意がある」と語ったうえで、「その次は核問題に関する合意、あるいはイランの非核化と呼べる合意がまとまるだろう」との見通しを示した。
先週はイランによる商船攻撃と米軍基地への打撃を受け、全面戦争まで予想される空気が広がっていたが、情勢は急転した。背景には、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の働きかけがあったとの観測がある。トランプ大統領は8月1日、SNSで「イランとほかの中東諸国から、合意の枠組みについて同意が得られたので、いかなる攻撃も保留してほしいとの要請を受けた」と投稿し、軍事作戦の中止を明らかにした。
これを受け、イランに対する強力な空爆は取りやめになった。攻撃撤回は極めて突然で、同盟国のイスラエルも当時の状況を全く把握していなかったという。
第3の航路が浮上
米国との対話に先立ち、イランとオマーンが詰めの協議を進めるホルムズ海峡の管理策も最終段階に入った。アッバス・アラグチ・イラン外相は8月2日、現地メディアを通じ「オマーンと進めている船舶通航交渉は最終段階に入った」と明らかにした。
現在、ホルムズ海峡の北側航路はイラン、南側航路はオマーンが管理している。両国が協議している新たな航路は「第3の道」になる可能性が大きい。イスマイル・バガイ外務省報道官は国営放送のインタビューで「双方が受け入れられる航路について合意に達するだろう」と語り、「北側航路でも南側航路でもないが、両国の主権を尊重し、わが国の国益と安全保障を守る航路だ」と説明した。
中東情勢の緊張が和らぎ、8月4日のアジア市場ではブレント原油先物とWTI先物の期近物が一時5%超下落した。石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国でつくるOPECプラスに属する7カ国が、来月から日量18万8000バレルの増産を実施することで合意したことも下落要因になった。
海峡の管理権を認めるかが焦点
もっとも、米国とイランが最終合意に到達できるかを巡っては悲観論が強い。最大の障害は、通行料徴収を含むイランの海峡管理権を米国が認めるかどうかだ。イランは「通行料を徴収する」との立場を崩していない。一方、米国は「イランは海峡通航に関与してはならない」と対立している。
イランの立場に変化はない。バガイ報道官は「米国との終戦了解覚書(MOU)5条に基づき、今後のホルムズ海峡の管理はオマーンとの協議などを経てイランが担うべきだ」と強調した。そのうえで「いかなる場合でも、ホルムズ海峡が過去の状態に戻ることは決してない」と付け加えた。
米国とイランの対話が再開しても、妥結までにはなお時間を要する見通しだ。ブルッキングス研究所で外交政策を担当するスザンヌ・マロニー副所長はWSJに「航行の自由を保障するホルムズ海峡の解決策を交渉するのは容易ではない」と指摘したうえで、「トランプ政権が交渉に十分な集中力を保てるかどうかも不透明だ」と分析した。ジョンズ・ホプキンズ大のイラン専門家、ヴァリ・ナスル氏は、トランプ大統領が軍事的緊張の高まりを避けるため外交的解決を試みているとしたうえで、外交であれ軍事であれ、勝利を宣言できる確かな道筋はないと論じた。
ニューヨーク=ファン・ジョンス特派員 hjs@hankyung.com
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