「AI原料」の銅精鉱、輸入単価が最高 韓国産業界に連鎖コスト増懸念
概要
- 2026年上半期は銅精鉱の輸入単価が過去最高を記録し、輸入量の減少も重なって、韓国産業界でコスト上昇への懸念が強まっていると伝えた。
- 電気銅の調達価格が急騰し、豊山、LS電線、暁星重工業など関連企業の負担が拡大している。2026年下半期にはコスト上昇圧力がさらに強まる可能性がある。
- 中国やインドネシアなどの製錬所増設に加え、米国、中国、EUが銅の供給網保護政策を進めるなか、韓国業界は海外鉱山への持ち分投資と都市鉱山の活性化の必要性を強調した。
期間別予測トレンドレポート



韓国が2026年上半期に輸入した銅精鉱の単価が過去最高を更新した。価格高騰で輸入量は18年ぶりの低水準に落ち込んだ。各国の資源武器化政策に加え、中国やインドネシアなど主要国の製錬所増設が重なったためだ。電力設備や半導体、防衛産業などでコスト上昇が連鎖する懸念が強まっている。
韓国貿易協会の輸出入貿易統計によると、2026年1〜6月の銅精鉱の平均輸入単価は1トン当たり4627ドル(約73万1000円)だった。2025年の年間平均輸入価格の3513ドルを31.7%上回り、1988年の統計開始以来で最高となった。銅精鉱は銅を含む原鉱石で、製錬所で高純度に精製すると産業素材の電気銅になる。
輸入量は大きく落ち込んだ。2026年上半期の銅精鉱輸入量は73万3572トンと、2008年の68万5803トン以来18年ぶりの低水準だった。主要輸入先の一つだったインドネシア産は、2025年の14万413トンから2026年はゼロになった。韓国には銅鉱山がなく、精鉱を全量輸入に頼っている。
原料不足は産業界全体のコストを押し上げている。豊山(Poongsan)の電気銅調達価格は、2025年の1トン当たり1440万ウォン(約160万円)から、2026年1〜3月には1959万ウォン(約217万円)に上昇した。同社は電気銅を原料に、半導体向け銅板や銅線、弾薬などを製造する。製品価格はロンドン金属取引所(LME)の国際銅相場に連動する仕組みだ。
電線・電力機器業界にも打撃が広がる。LS電線(LS Cable & System)の電気銅調達コストは、2025年の1トン当たり1437万ウォン(約159万円)から、2026年1〜3月には1909万ウォン(約212万円)に上がった。暁星重工業(Hyosung Heavy Industries)の調達価格も同じ期間に1トン当たり1343万ウォン(約149万円)から最大1986万ウォン(約220万円)まで上昇した。銅は電線製造原価の60%、電力用変圧器では25〜40%を占める中核素材だ。業界関係者は、国際銅価格の上昇基調を踏まえると、2026年下半期はコスト上昇圧力が一段と強まるとみる。
銅価格が高騰しても、中間加工を担う製錬業界は苦しい立場に置かれている。製錬所が鉱山から精鉱を買い入れて金属に加工する際に受け取る製錬手数料が、2026年に入って0ドル台まで急落したためだ。2026年3月のスポット製錬費は一時、1トン当たりマイナス90ドル(約1万4200円)まで低下した。製錬所が加工賃を受け取るどころか、上乗せして原料を買い付ける構図になっている。
中国、インドネシア、インドが国家主導で製錬所を増設し、原料争奪戦が激しくなったことが背景にある。原料難に耐えきれない海外製錬所は相次ぎ撤退や稼働停止に追い込まれている。資源大手グレンコア(Glencore)は2025年、フィリピンのパサール製錬所を閉鎖したのに続き、オーストラリアのマウントアイザ製錬所の操業を一時停止した。三菱マテリアルの小名浜製錬所も2027年3月に設備を止める計画だ。
米国や中国などは銅を国家安全保障上の資源と位置付け、供給網の保護に乗り出している。米国は2025年8月から、精製銅を除く輸入銅製品に50%の関税を課した。中国は2025年に銅産業の発展案を公表した後、製錬能力を拡大している。欧州連合(EU)も銅を重要かつ戦略的な原材料に指定した。
韓国内で銅の専門製錬所を運営するのはLS MnMだけだ。高麗亜鉛(Korea Zinc)も電子廃棄物などの二次原料を活用し、銅をはじめとする有価金属を回収している。業界関係者は、国内の製錬基盤が崩れれば半導体や人工知能(AI)、電力産業の供給網が揺らぎかねないと指摘する。そのうえで、海外鉱山への持ち分投資や都市鉱山の活性化を通じて、対応の好機を逃してはならないと訴えた。
アン・シウク/ソン・ジュンヨン記者 siook95@hankyung.com
Korea Economic Daily
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