【独自】ビル・ゲイツ氏が8月訪韓、韓米SMR連携を強化
概要
- ビル・ゲイツ氏は8月に訪韓し、SMR、テラパワーを巡って韓成淑首相のほか、SK、HD現代などと協力策を具体化する予定だ。
- テラパワーの米国ケメラー1号機はNRC建設許可を取得して本体工事に着手しており、韓国水力原子力、SKグループ、HD現代重工業、斗山エナビリティなどの参画も具体化している。
- 韓国政府はAIデータセンター、半導体工場の電力需要への対応に向け、次世代SMR育成推進方向とSMR特別法を通じてSMRの開発・事業化を支援する方針だ。
期間別予測トレンドレポート


次世代原発で協力を加速
韓成淑首相と会談し連携を協議
SK・HD現代と事業具体化へ
機器・EPC参画の拡大を推進

小型モジュール炉(SMR)開発企業テラパワー(TerraPower)の創業者であるビル・ゲイツ氏が8月に韓国を訪れ、韓成淑首相と会談する。SMRを中心とするエネルギー協力が主な議題で、SKグループやHD現代など韓国企業との協力策も具体化する見通しだ。韓国政府も大規模な人工知能(AI)データセンターの電源としてSMRを活用するため、導入時期の前倒しを検討している。
1年ぶりのSMR訪韓
7月29日に業界関係者が明らかにしたところによると、ゲイツ氏は8月14日に訪韓し、韓首相と面会する予定だ。今回の会談はゲイツ氏側が先に要請したという。当初は李在明大統領との面会を進めたが、日程が合わず首相との会談に変更した。具体的な議題や出席者は、テラパワーの主要株主であるSKグループ側が調整している。ゲイツ氏は滞在中、SKやHD現代など韓国企業とも会い、SMR事業での協力策を協議する。テラパワーのプロジェクトで韓国企業の役割を広げる案が主要議題となる見通しだ。
ゲイツ氏は2008年にテラパワーを創業し、現在も取締役会長を務める。テラパワーは液体ナトリウムを冷却材に使うナトリウム冷却高速炉(SFR)を基盤とする第4世代原子炉「ナトリウム」を開発している。ゲイツ氏は2025年8月にも李在明大統領、金正官産業通商資源相と会い、「SMRはAI・半導体産業の電力需要増に対する有効な解決策になり得る」と述べた。その後、崔泰源SKグループ会長、鄭基宣HD現代首席副会長、李在鎔サムスン電子会長らとも面会し、ナトリウム炉の供給網拡大と商業化策を点検した。
その後の1年間で協力は事業段階へ移った。テラパワーは2026年3月、米原子力規制委員会(NRC)からワイオミング州の「ケメラー1号機」の建設許可を取得し、4月に原子炉の本体工事に着手した。米国で商業規模の次世代原発が建設許可を受けた初の事例となった。
韓国企業の参画も具体化している。韓国水力原子力は2026年1月、SKイノベーションが保有するテラパワー株式のうち4000万ドル(約66億円)分を取得した。SKグループは2022年に2億5000万ドル(約410億円)を投じ、テラパワーの主要株主となっている。
機器と建設分野でも進展があった。HD現代重工業は2026年5月、ナトリウム炉の主要機器である原子炉エンクロージャーシステム(RES)の中核設備について優先交渉権者に選ばれた。斗山エナビリティ(Doosan Enerbility)はコアバレルやガードベッセルなど中核機器の製作・供給会社に選定された。
政府の原発拡大方針と連動
ゲイツ氏の訪韓は、韓国政府がSMR育成を加速する時期とも重なる。AIの普及により、世界のデータセンターの電力消費は2024年の415テラワット時(TWh)から2030年には945TWhへと2倍超に増える見込みだ。韓国でも2035年までに18.4ギガワット(GW)規模のAIデータセンターを整備する「メガプロジェクト」が進んでいる。
AIデータセンターや半導体工場の拡大で電力確保の重要性が高まるなか、韓国政府は原発とSMRの役割拡大を具体化している。政府は7月23日、「次世代SMR育成推進方向」を公表し、開発・実証・認可・事業化を連携させる政府横断の支援体制を稼働させる方針を示した。官民合同のSMRプロジェクトと国内の製造供給網、核燃料の生態系を整備し、商業化までの期間短縮を狙う。9月からはSMRの技術開発と事業化を支援するSMR特別法も施行される。
裵景勲副首相兼科学技術情報通信相は7月20日の就任1周年懇談会で、「AIデータセンターを運営するには電力が極めて重要だ」と指摘したうえで、「既存のSMR確保計画をどう前倒しするか、深刻に悩んでいる」と語った。
イ・ヨンエ/キム・ヒョンギュ記者 0ae@hankyung.com
Korea Economic Daily
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