韓国に相次ぐ警鐘、「没落」か「第2の漢江の奇跡」か
概要
- CSISは、韓国が輸出大国モデルの限界に直面するなか、中国の台頭と米国のけん制にさらされていると指摘した。
- 解決策として、AI産業、半導体、HBMを軸に技術・標準・認証の生態系を構築し、生態系大国へ転換すべきだと診断した。
- CSISは、国民年金公団(NPS)と韓国投資公社(KIC)などの国富資本や韓米先端技術共同ファンドを活用し、世界が依存する技術生態系を築く必要があると強調した。
期間別予測トレンドレポート


Kチップ、「没落の道」を避けるには
「輸出大国」から「生態系大国」への転換を
米戦略国際問題研究所が報告書
輸出依存の製造業モデルに限界
半導体の技術標準・認証確保が必要

韓国が中国の台頭や米国のけん制といった障壁を乗り越え、足元の好況を持続するにはどのような戦略が必要か。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は、韓国が「輸出大国」から「生態系大国」へ進化する必要があるとの見方を示した。量産に依存する従来の製造業モデルが限界に近づくなか、中核技術と標準を先回りして確保し、「超格差」を維持すべきだと指摘した。人工知能(AI)産業の要所を押さえ、世界経済が韓国に依存せざるを得ない構図を築いてこそ、「第2の漢江の奇跡」を実現できると提言した。

CSISはこのほど公表した報告書「輸出国か、生態系大国か――AI産業時代の韓国の選択」で、韓国の2025年の輸出額が7097億ドル(約116兆円)、貿易黒字が780億ドル(約12兆8000億円)だったと明らかにした。輸出額は過去最大で、貿易黒字は2017年以降で最大となった。半導体輸出は前年比22%増の1734億ドル(約28兆4000億円)だった。
ただ、CSISはこうした指標が韓国産業に影を落とす危機を覆い隠していると分析する。韓国経済を支えてきた対中輸出が減少しているためだ。韓国の対中貿易黒字は2018年の997億ドル(約16兆3000億円)から2025年には196億ドル(約3兆2100億円)へと80%超減った。ナビン・ギリシャンカルCSIS経済安全保障・技術部門長は、中国企業が家電や電池、石油化学、電気自動車(EV)などの主要産業で韓国製品を代替し、製造業の競争力が弱まっていると説明した。
最大の貿易黒字相手国である米国のけん制も懸念材料だ。米国は製造業再建策を前面に打ち出し、韓国企業に関税圧力をかける一方、現地生産拠点の構築も求めている。国内では低出生率も重荷となっている。2024年の合計特殊出生率は0.75と経済協力開発機構(OECD)で最低水準を記録し、コスト競争力の要である労働力の確保が難しくなっている。
こうした三重苦に対し、CSISが示した処方箋が「生態系大国」への転換だ。単に製品を大量生産する製造業者にとどまらず、世界市場を主導する標準や認証システム、プラットフォームを先んじて整備し、世界のAI産業の関門を握るべきだという。CSISは代表例として、サムスン電子とSKハイニックスの高帯域幅メモリー(HBM)を挙げた。韓国企業は世界のHBM市場で80%超のシェアを握る。AI投資の拡大を背景に、世界のビッグテックが相次いで韓国を訪れ、長期供給契約(LTA)を結ぶ理由でもあるとした。さらに、高麗亜鉛の米テネシー州でのレアアース加工事業や、ハンファグループの造船・海洋、防衛産業も世界市場で戦略的な位置を占めていると言及した。
韓国の資本力を戦略的な武器として活用すべきだとも提言した。国民年金公団(NPS)や韓国投資公社(KIC)など主要投資機関が保有する1兆5000億ドル(約246兆円)規模の国富資本を生かすべきだという。「韓米先端技術共同ファンド」などを通じ、ビッグテックを抱える友好国との協力を拡大し、共同の技術生態系づくりを加速すべきだとも付け加えた。CSISは、韓国は世界経済が依存せざるを得ない技術生態系を構築し、「第2の漢江の奇跡」を成し遂げるべきだと強調した。
カン・ヘリョン記者
カン・ヘリョン記者(hr.kang@hankyung.com)
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