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アイオートラスト、カード型ウォレット投入 機関開拓を本格化【コインタビュー】
概要
- アイオートラストはカード型コールドウォレット「ディセントS」を発売し、長期保有向けの資産保管とオンチェーンサービス活用の需要を狙うと明らかにした。
- ディセントSはNFC、リカバリーカード、AIベースのトランザクション危険性スキャン機能を備え、利便性と安全性を高めた。オンチェーン金融を頻繁に使う利用者に最適化したとしている。
- アイオートラストは9月、機関向けコールドウォレットサービス「ディセント・エンタープライズ」を投入する。多重承認、ホワイトリスト、コンプライアンス対応を備えた機関向け資産管理市場の開拓を進める方針だ。
期間別予測トレンドレポート



「取引所は基本的に暗号資産(仮想資産)を売買する場所だ。長期保有分まで全てを1カ所に保管する必要はない」
アイオートラスト(IoTrust)の共同創業者で最高戦略責任者(CSO)のユ・ミンホ氏は7月22日、ブルーミングビット(Bloomingbit)の取材でこう話した。
アイオートラストは韓国で唯一、コールドウォレットを製造する企業だ。7月21日にはカード型ウォレット「ディセントS」を発売した。2018年に指紋認証型ウォレット「ディセント」を投入して以来、約8年ぶりの新製品となる。
ユ氏はコールドウォレットの必要性について、資産保管とオンチェーンサービス活用の2つの側面を挙げた。「コールドウォレットは個人向けのデジタル金庫のようなものだ。取引所に全資産を置くのが不安なら、一部は取引所に置くとしても、長期保有用の資産は金庫に保管しておく必要がある」と説明した。
コールドウォレット市場はなお、米国や欧州連合(EU)など海外が中心だ。ユ氏は「米国などでは2022年のFTX破綻の影響で、第三者に資産保管を全面的に依存することは危険になり得るとの認識が広がった」と指摘した。韓国は既存の金融システムや大手取引所への信頼が厚く、米国でハードウエアウォレット需要が大きい背景にはこうした事情があるという。アイオートラストの売上高の約60%を米国が占めるのも同じ文脈だ。
ただ、コールドウォレットは単なる金庫にとどまらないとユ氏は強調する。分散型金融(DeFi)サービスを使って暗号資産を担保に融資を受けたり、ステーキングで報酬を得たりするには、別途ウォレットが必要になるためだ。
資産運用規模が大きくなるほど、インターネットに常時接続されたソフトウエアウォレットに全ての暗号資産を保管する負担も重くなる。ユ氏は「暗号資産でできることは投資だけではない」と語ったうえで、「ハードウエアウォレットは資産を安全に保管しながら、オンチェーンサービスを自由に活用するための道具だ」と述べた。
コールドウォレット重要性高まる
コールドウォレットの重要性は今後さらに高まる可能性が高い。ユ氏は「個別トークンの価格とは無関係に、ブロックチェーン技術の適用範囲は着実に広がってきた」と述べた。金融にとどまらず身元情報までオンチェーンに移れば、セキュリティーの重要性とともにコールドウォレットの価値も高まるとの考えを示した。

カード型ウォレットを開発した理由については、「画面付きの従来型コールドウォレットには、取引内容を端末上で確認できる利点がある半面、価格と携帯性の面で負担がある」と説明した。さらに「既存製品は初期設定が難しいという参入障壁もあった」と付け加えた。オンチェーン金融が日常に入り始めただけに、より大衆的な形のコールドウォレットを投入するのに適した時期だと判断したという。
実際、ディセントSは携帯性と利便性を重視して設計した。近距離無線通信(NFC)を搭載し、交通カードのようにスマートフォンにウォレットをかざせば署名が完了する。クレジットカードと同じ形状で財布に入れて持ち歩けるほか、価格面の負担と初期設定の難しさも抑えた。ユ氏は「従来のコールドウォレットが自宅に置くメインの金庫だとすれば、カード型ウォレットは常に持ち歩くサブの財布に近い」と説明した。「オンチェーンサービスを頻繁に使う利用者に最適化したウォレットだ」と語った。
9月に機関向けサービス投入
資産復旧の方式にも差別化を盛り込んだ。ディセントSはメインウォレットとは別に、シードフレーズを暗号化して保管する「リカバリー(R3covery)カード」を提供する。メインカードを紛失したり破損したりしても、リカバリーカードがあればディセントのアプリで数分以内に資産を復旧できる。
人工知能(AI)も取り入れた。画面のないカード型ウォレットの弱点を補うためだ。ユ氏は「利用者が取引を最終承認する前に、AIが当該トランザクションの危険性を先にスキャンする」と説明した。利用者が確認する前に疑わしい要素をあらかじめふるい落とす安全装置だという。
アイオートラストは2026年9月、機関向けコールドウォレットサービス「ディセント・エンタープライズ」も投入する。セキュリティーチップを搭載したハードウエアウォレットに、機関の体系的な資産管理方針をそのまま実装するのが柱だ。具体的には、事前登録した担当者による多重承認を経なければ取引は実行されず、送金先アドレスも一部のホワイトリストに限定する。
ディセント・エンタープライズでは、取引の申請者や承認者、取引履歴などを監視できるダッシュボードも用意する。端末の破損などに備えた復旧サービスも提供する方針だ。ユ氏は「韓国の規制に最適化したコンプライアンス対応とアフターサービスも、ディセント・エンタープライズの強みだ」と話した。
JOON HYOUNG LEE
gilson@bloomingbit.ioCrypto Journalist based in Seoul