エヌビディアCEO、日本で「メード・イン・ジャパン」強調 ロボット・スマート工場で提携拡大
期間別予測トレンドレポート



「メード・イン・ジャパン」は世界最高水準の品質と精密さを意味する――。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、日本を世界有数のメカトロニクス大国と位置づけ、日本企業と組んで製造業を基盤とするフィジカルAIの生態系を築く考えを示した。富士通やファナック、川崎重工業などと連携し、日本をAIロボットとスマート工場の前進基地に育てる構想だ。
7月17日、業界によると、フアンCEOは7月16日に東京・虎ノ門ヒルズで富士通、ファナック、安川電機、川崎重工業と共同記者会見を開き、フィジカルAI分野での協力計画を発表した。エヌビディアは各社にAI技術インフラを提供し、富士通は中央演算処理装置(CPU)とソフトウエアを担う。富士通とファナックは製造業、安川電機は流通、川崎重工業はヘルスケアの各分野でフィジカルAIの実用化を進める。
各社はAIやロボット制御に関するノウハウを共有し、フィジカルAIの共通基盤づくりも進める。富士通の時田隆仁社長は「ロボットが人と安全に共生する社会を前提に、フィジカルAIの実用化を広げていく」と述べた。「産業界全体に新しい道を開くことになる」とも語った。
フアンCEOが日本企業との連携拡大を決めた背景には、日本の製造技術への高い評価がある。エヌビディアの技術を十分に生かし、フィジカルAIの完成度を高める最適な場所とみているためだ。技術力に加え、精密さや安全を重んじる日本の文化も高く評価した。
フアンCEOは「メード・イン・ジャパンという言葉は、世界最高水準の品質と精密さを意味する」と語った。そのうえで「世界最高水準の日本のメカトロニクス技術と、エヌビディアのフィジカルAIを組み合わせれば、産業自動化の新時代が始まる」と強調した。「日本はいつも新たな基準をつくってきた。ロボティクスとAIは製造業の新たなフロンティアになる」とも述べた。
フアンCEOは、日本のソブリンAI開発にも積極的に関与する方針を示した。グーグルやマイクロソフト(Microsoft)など米巨大クラウド事業者に偏る現在の売上構成を多様化する狙いがある。
フアンCEOは同日、東京で日本の経済産業省が主催した行事に出席し、ノエトラへの半導体供給計画を公表した。ノエトラはソフトバンクグループ、ホンダ、ソニーグループ、NECの日本企業4社が日本発のフィジカルAIモデルを開発するため設立した会社で、日本政府が5年間で最大1兆円を支援する。NHKは、ノエトラがエヌビディアから最新半導体を搭載した次世代システムを導入する方針だと報じた。
エヌビディアはこのほか、トヨタ自動車が静岡県で整備を進める先端技術の実証都市「ウーブン・シティ」の交通管制システムなどに自社のAIモデルを提供すると発表した。自社のフィジカルAIプラットフォーム「コスモス」を富士通やファナックなど10社あまりの日本企業に供給し、日立製作所とは自律型工場の稼働検証で協力することも明らかにした。
フアンCEOの日本での動きは7月15日から続いている。7月15日午後には東京・秋葉原の大型ゲームセンター「GiGO秋葉原3号館」を訪れ、日本のゲーム会社セガ(SEGA)とゲーマー向けイベントを開き、現地のファンと交流した。会場にはセガの里見治紀CEO、飯島司郎元社長、格闘ゲーム「バーチャファイター」を手がけた鈴木裕氏らも姿を見せた。
このイベントはソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で事前告知され、約50人のファンが集まった。現地メディアによると、開始30分前からゲームセンター前は大勢の来場者で混み合った。実際のイベントは現地事情で予定より1時間遅れ、午後6時ごろに始まった。
フアンCEOは、1990年代半ばから後半にかけてエヌビディアが経営難に陥った際、セガが差し伸べた支援に謝意を示した。エヌビディアは約30年前、セガの家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」向けグラフィックチップの開発に失敗して経営難に陥ったが、セガはエヌビディアに約500万ドルを出資して同社を支えた。
フアンCEOは「飯島元社長は、ビジネスがすべてではないと教えてくれた」と振り返った。「友情とパートナーシップの大切さを学んだ。当時セガの支援がなければ、今のエヌビディアは存在しなかっただろう」と話した。
さらに「当時のエヌビディアは誤った技術を選んだが、セガの経営陣は、エヌビディアが正しい人材を選んでいたことに気づかせてくれた」と述べた。「飯島元社長、鈴木さん、あなたたちとの友情は私にとってすべてだ。日本とセガは生涯、私の心に残る」とも語った。
イベントでは、フアンCEOのサイン入り未発売「GeForce RTX 5090」や、RTX Spark搭載PCなどが景品として配られた。秋葉原での行事の後、フアンCEOは東京・JR神田駅近くの焼きとん専門の居酒屋を訪れ、現地の取引先関係者らと会食した。
フアンCEOは車を降り、居酒屋が並ぶ路地を歩いて店に入った。姿を見せると拍手が起き、自ら杯を手に乾杯を提案した。料理は焼きとんやもつ鍋などで、出席者はジャパニーズウイスキーを酌み交わしながら親交を深めたという。会合は午後9時を過ぎても続き、およそ2時間に及んだ。
フアンCEOは先に席を立つ出席者を自ら見送り、現場の取材陣にあんパンや飲み物を手渡すなど、気さくな一面ものぞかせた。ある出席者は日本経済新聞に「(半導体などの産業を)育てて株価を上げようといった話が交わされた」と明らかにした。ある電機大手の幹部は「AIで世界を変えていくというフアンCEOの強い意志を感じた」と語った。
日本経済新聞は「フアンCEOは半導体などエヌビディアの主要サプライヤーが集積する韓国や台湾でも現地幹部と会食してきた」と報じた。各地域で強い結び付きを示す動きが一種の慣例になっていると評した。
カン・ギョンジュ 韓経ドットコム(Hankyung.com)記者 qurasoha@hankyung.com
Korea Economic Daily
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