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米クラリティ法案の票読み混迷 共和2票不透明で民主7~9票が焦点

Doohyun Hwang

期間別予測トレンドレポート

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写真:ChatGPT
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米暗号資産市場の制度整備を左右する中核法案とされる「クラリティ法」の上院通過を巡り、票読みが複雑になってきた。共和党のリンジー・グラハム上院議員が急死し、ミッチ・マコネル上院議員の採決復帰も見通せないためだ。共和党が自力で確保できる票が減れば、説得が必要な民主党系議員は最低7人から最大9人に増える。

クラリティ法は、暗号資産を商品と証券に区分し、米商品先物取引委員会(CFTC)と米証券取引委員会(SEC)の監督範囲を再編する市場構造法案だ。2025年に成立したステーブルコイン規制法「ジーニアス法」が発行体と準備資産の規律に重点を置いたのに対し、クラリティ法は暗号資産交換業者や仲介業者、トークン発行体を含む市場全体の監督枠組みを定める。

法案が施行されれば、暗号資産の証券該当性や取引所の登録基準を巡る不確実性は大きく薄れると業界は期待する。逆に成立しなければ、SECとCFTCの管轄の混乱が長引き、米金融機関や機関投資家の市場参入が遅れる恐れがある。

共和党の確実票、51票まで減る可能性

共和党のリンジー・グラハム上院議員が7月11日に死去した。写真:Shutterstock
共和党のリンジー・グラハム上院議員が7月11日に死去した。写真:Shutterstock

共和党の票計算を狂わせた最初の要因は、グラハム議員の死去だ。グラハム議員は7月11日、71歳で急死した。クラリティ法の策定を主導した実務担当者ではなかったが、親トランプ派の重鎮として本会議で賛成票を投じる可能性が高い議員とみられていた。ドナルド・トランプ米大統領もグラハム議員をクラリティ法の強力な支持者と位置づけ、同氏を追悼する意味でも法案を通すべきだと上院に促した。

欠員は妹のダーリーン・グラハム上院議員が埋めた。これにより共和党は上院53議席を維持した。ダーリーン議員は議会経験がなく、暗号資産政策を巡る立場も公表していない。故グラハム議員の賛成票をそのまま引き継ぐかは見通せない。

これにマコネル議員の健康問題が重なり、票読みは一段と難しくなっている。マコネル議員は6月、自宅で倒れた後に救急搬送され、肺炎の治療を受けた。現在はリハビリ施設で回復中だ。倒れた直後から1カ月近く詳しい経緯は明らかにされていなかったが、6月14日の緊急通報では「意識を失い、心停止状態の患者がいる」との録音内容が後に伝わった。現時点では上院採決にいつ復帰できるかも不透明だ。

クラリティ法がフィリバスターを越えて本会議の最終採決に進むには、討論終結に必要な60票を確保しなければならない。共和党議員53人が全員賛成しても、民主党系議員の最低7票が必要になる。ダーリーン議員が賛成せず、マコネル議員も採決を欠席すれば、共和党が確保できる票は51票に減る。この場合、取り込む必要がある民主党系議員は最大9人に増える。共和党内から法案内容に反対する離反票が出れば、必要な民主党票はさらに増える。

民主党「在任中の暗号資産利益を防ぐべきだ」

問題は民主党の反対姿勢が強いことだ。エリザベス・ウォーレン上院銀行委員会の民主党筆頭委員をはじめとする民主党議員は、大統領と副大統領、行政府高官、上下両院議員とその家族が、在任中に暗号資産事業から私的利益を得られないようにする利益相反防止条項をクラリティ法に盛り込むよう強く求めている。

トランプ大統領一家が暗号資産事業を拡大するなか、現職大統領が市場規制に影響力を行使して経済的利益を得る可能性を遮断すべきだという主張だ。民主党はこのほか、州政府の詐欺防止権限が弱まる恐れがあることや、分散型金融(DeFi)を使った資金洗浄を防ぐ仕組みが不十分だという点も問題視している。

これに対し共和党は、法案によって連邦政府の詐欺防止権限とマネーロンダリング規制が強化され、投資家保護に向けた開示義務も整備されると反論する。公職者の倫理条項に加え、州政府の規制権限やDeFi監督の範囲を巡っても、両党の隔たりは大きい。

上院銀行委員会は5月14日、クラリティ法を賛成15、反対9で可決した。一部の民主党議員は賛成に回ったが、本会議の討論終結に必要な民主党票を確保できるほどの超党派合意にはなお至っていない。共和党は党内の離反を防ぐだけでは法案を通せない。民主党議員7~9人を引き込むには、公職者の利益相反防止条項を一定程度受け入れた妥協案が要る。

トランプ氏、上院議員を招集し打開策探る

写真:Shutterstock
写真:Shutterstock

こうした状況を受け、トランプ大統領がクラリティ法を巡る交渉に直接乗り出した。7月15日、米政治専門メディアのポリティコは、トランプ大統領が7月16日に共和党上院議員らとホワイトハウスで会い、法案処理の方策を協議する予定だと報じた。

会合には、バーニー・モレノ議員やシンシア・ルミス議員など、暗号資産法案の交渉を主導してきた議員らが出席する見通しだ。モレノ議員は、これまでの交渉状況と法案成立に向けた方策をトランプ大統領に説明する考えを示した。

今回の会談では、民主党が求める公職者の利益相反防止条項が最大の議題になる見通しだ。トランプ大統領が、自身と家族の暗号資産事業を制限し得る倫理条項をどこまで受け入れるかが焦点となる。

ホワイトハウスが倫理条項を一部受け入れれば、中道路線の民主党議員を説得する余地が生まれる。逆にトランプ大統領が自身や家族を適用対象に含める案に反対すれば、交渉は再び行き詰まる可能性が大きい。

議会とホワイトハウス、暗号資産業界の間で交渉を調整してきたパトリック・ウィット米ホワイトハウス・デジタル資産諮問委員会事務局長の休職も変数だ。ウィット氏は7月27日から州兵の法務官教育を受けるため、数カ月間職務を離れる予定だ。中核の調整役が抜ける前に、交渉の枠組みを固める必要性が強まっている。

8月7日が事実上の期限

法案処理に残された時間は多くない。クラリティ法は2025年7月に下院を通過し、2026年5月に上院銀行委員会を通過した。現在は銀行委員会の法案と、CFTCの管轄を扱う農業委員会の法案を一本化する作業が進んでいる。

上院は8月10日から地元活動のため休会に入る。本会議が開かれる8月7日が、法案処理の事実上の期限とされる。上院で法案が通っても立法手続きは終わらない。上院の統合法案が既存の下院可決案と異なれば、両院で文言を調整したうえで、下院の再可決を経る必要がある。その後、トランプ大統領が署名して初めて法律として成立する。

休会前に上院採決や下院との調整で前進できなければ、11月の中間選挙局面と重なり、年内成立の可能性は大きく低下しかねない。選挙を前に、トランプ一家の暗号資産事業と利益相反問題が政治争点として浮上すれば、民主党議員が法案に協力しにくくなるためだ。

業界関係者は「法案の行方は、共和党がグラハム議員の死去とマコネル議員の病状で表面化した採決の不確実性を抑え込み、民主党議員7~9人を説得できる妥協案をまとめられるかどうかにかかっている」と話す。そのうえで、トランプ大統領と共和党上院議員のホワイトハウス会合が、不利になった票読みを立て直せるかを占う最初の試金石になるとの見方を示した。

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