トランプ氏、ホルムズ海峡20%通行料を撤回 中東との貿易・投資協定で代替
概要
- トランプ大統領は、ホルムズ海峡通行料20%賦課の方針を、貿易・投資協定で代替すると明らかにした。
- 海運業界は、通行料賦課構想が世界的な輸送コストとインフレ圧力を押し上げかねないと懸念を示した。
- 米中央軍の対イラン封鎖措置再開と相互空爆が続くなか、原油価格は1バレル80〜85ドル水準で一段高となった。
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ドナルド・トランプ米大統領は、ホルムズ海峡を通過する船舶の貨物価格の20%を通行料として徴収する考えを示した翌日、これを貿易・投資協定で置き換える方針を明らかにした。
トランプ大統領は7月14日(現地時間)、SNSに「中東首脳部と非常に生産的な対話があった」と投稿した。湾岸諸国が米国と結ぶ貿易・投資協定によって、ホルムズ海峡通行の20%手数料を代替することを決めたと説明した。
わずか1日で方針転換
トランプ大統領は前日のSNS投稿で、米国がホルムズ海峡を「占領」して統制し、この地域を守る対価として「多くの金を稼ぐ」と主張した。海峡を通過する船舶の積み荷価格の20%を通行料として課す考えも示していた。
この水準は、戦闘が激しかった時期の保険料に近い。米国とイランの交戦が激化する前の7月上旬に保険料が1〜2%だったのと比べると、10倍を超える。ロイター通信は、通航量が維持されることを前提に20%の通行料を課した場合、米国が1日あたり2億4000万ドルを徴収できると試算した。
トランプ大統領は、1日で方針を撤回した理由について、中東各国首脳から電話があり「解決してほしい」と求められたためだと記者団に語った。20%の通行料は、事実上、海峡を通航する経済的なうまみがなくなる水準で、中東の産油国が受け入れるのは難しいとの指摘は多かった。
トランプ大統領は7月14日、記者団に「誰であれ、この海峡に手数料を課すべきではない」とも述べた。
海運業界では、米国による通行料構想が他地域での類似の動きを誘発しかねないとの懸念が広がっている。世界最大の海運協会BIMCOのヤコブ・ラーセン安全保障責任者(CSSO)はニューヨーク・タイムズに対し、トランプ大統領の計画は「世界的な輸送コストを押し上げ、インフレ圧力を招く」と批判した。各国首脳が航行の自由に関する国際慣行を損なう発言をすれば、こうした慣行そのものが弱まるとも指摘した。
米軍駐留規模を拡大するか

トランプ大統領は、ホルムズ海峡の航行の自由を守る見返りとして湾岸諸国から投資を受ける考えを示したが、現在を上回る水準の防衛態勢を持続的に維持できるかは不透明だ。
米国は2023年10月のハマスによるイスラエル攻撃後、欧州・中東地域に1隻以上の空母を配備してきた。だが、昨年10月に空母ジェラルド・R・フォードが中南米地域へ再配置され、空白が生じた。これは西半球への集中を掲げたトランプ政権の対外政策と整合的な動きだったが、その後にイランとの戦争が始まり、米国は再び中東への空母集中を進めた。一時はフォード、リンカーン、ブッシュの計3隻が展開していたが、現在はフォードが外れている。
今回のイラン戦争は、空母だけではイランの非対称的脅威を完全に抑え込むのが難しいことを示した。空母展開のコストは高く、他地域の戦力に空白が生じることも問題になっている。
米国は先月、イランと了解覚書(MOU)を結び、今後はイラン周辺地域から米軍を撤収することまで約束した。こうした経緯は、米国がこの地域への戦力増強に慎重であることを示している。現状維持を前提に、費用の一部を分担させる対応にとどまる公算が大きい。
対イラン封鎖措置を再開
米中央軍は7月14日午後4時(米東部時間)、軍艦20隻余りなどを投入し、イランに対する封鎖措置を再開した。軍事作戦の強度は一段と高まった。米国はイラン国内の主要施設への空爆を続けている。イランもバーレーン、クウェート、ヨルダンの米軍施設に向けてミサイルなどを発射した。
イラン革命防衛隊(IRGC)は「米国とその同盟国に利益をもたらす他の原油・ガス輸出も遮断されることを覚悟すべきだ」と警告した。イランがイエメンのフーシ派を使い、バブ・エル・マンデブ海峡を封鎖する可能性も取り沙汰されている。
原油相場は下がっていない。北海ブレント先物9月物は1バレル85ドル、WTI先物8月物は1バレル80ドルを上回る水準で取引された。前日比で1〜2%上昇した。
ワシントン=イ・サンウン特派員 selee@hankyung.com
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