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AIが誤った金融商品を勧めたら誰が責任を負うのか 金融分野の新指針を読む

出典
Korea Economic Daily

概要

  • 韓国金融委員会の「金融分野AIガイドライン」は、AIを業務の補助手段と位置づけ、最終責任は役職員が負うとした。
  • 同ガイドラインと今後の社内規程の整備を踏まえると、金融機関役職員民事上の損害賠償責任を負う可能性が高まったと伝えた。
  • 各金融会社は、AIに対する人間の関与の度合いコンプライアンス体制を明確に定めることが、責任問題を解く手段になる見通しだ。

期間別予測トレンドレポート

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金融委「AIは補助手段、最終判断は人が担う」

金融機関と役職員の責任が重くなる可能性

各社は関与の度合いなどの原則整備が必要

韓経Law&Bizの「Law Street」コラムは、企業や個人に実務に役立つ法律知識を提供する。税務、相続、労働、公正取引、M&A、金融など幅広い分野の法的論点を専門弁護士が扱い、主要判決の分析も届ける。

写真:Shutterstock
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人工知能(AI)を巡って従来よく論じられてきたのは、「自動運転車が事故を起こした場合、責任は運転者が負うのか、それとも自動運転車メーカーが負うのか」という問題だった。この問いは自動運転車に限ったものではない。自律的に判断する機械やソリューションについて、人間が責任を負うべきかという論点を含んでいた。自動運転車が目立つ存在だったため、議論の中心に立っていただけだ。

足元ではAIの普及に伴い、これと似た論争が再び浮上している。金融商品を消費者に誤って勧めた場合や、採用手続きが不公正に進められた場合など、誰が責任を負うのかを巡る議論が広がっている。こうした論点を考えるうえで、2026年に公表された韓国金融委員会の「金融分野AIガイドライン改訂版」は示唆に富む。

金融委「AIは補助手段、人の関与が必要」

まず、このガイドラインは金融機関に対する行政監督に関する事項を定めたもので、民事法上の判断と直接結びつくものではない。行政規制の観点から責任を考えると、指針の趣旨は次のように整理できる。

韓国金融委員会は、AI活用に関する7大原則の一つとして「補助手段性」を示した。ガイドラインは、金融会社などがAIを業務の補助手段として活用する一方、最終的な意思決定とそれに伴う責任は役職員が担うよう、内部管理体制を構築しなければならないと明記した。とりわけ高リスクAIについては、社内の役職員など人がAIの動作に介入できる基準を確立し、運用する必要があると記した。

補助手段性とは、AIが出した結果を参考資料の一つとして使いながら、その内容を人が検討し判断する工程を業務処理の全過程で維持する考え方だ。この原則に沿えば、AIの利用は金融機関の役職員が担う業務を補う目的にとどまる。金融事故が起きた際には、まず金融機関が責任を負う方向に帰結する可能性がある。

さらにガイドラインは、AIをあくまで業務の補助手段として位置づけている。このため、開発を主導したIT部門よりも、実際に業務で活用した事業部門にAI利用の責任が課されるとみることができる。

金融機関・役職員が責任を負う可能性は高まる

もっとも、金融機関からみれば割り切れない面もある。AIを導入しても結局は金融機関や役職員が責任を負うのであれば、事前テストなどを実施せずに導入しても同じではないか、との発想が生じる余地もある。

ただ、事前テストなどのコンプライアンス上の取り組みは、実際に行政責任を検討する際に十分反映されうる。AIサービスを通じた事故を防ぐ事前措置と事後統制は極めて重要だ。

韓国金融委員会のガイドラインは、法律に基づいて制定された法規ではない。したがって、ガイドライン自体が民事責任を判断するものではない。行政責任と異なり、金融機関のAI活用に伴う民事上の損害賠償責任を巡る具体的な議論は、なお十分に進んでいない。

AIの出力に誤りがあり、顧客に損害が生じた場合、誰が責任を負うのか。この点に関する判例や学説の蓄積はまだ乏しい。責任の所在が金融機関にあるのか、当該業務を処理した役職員にあるのか、あるいはAIモデルを提供した外部ベンダーにあるのかは明確でない。

ただ、AIの出力を最終的に利用し、検証する責任を役職員に負わせる構造は、各金融会社の内規などに実際に反映される公算が大きい。そうなれば、役職員がAI活用の過程に実質的に関与したと評価される可能性は高まる。結果として、AI活用中に事故が起きた際、金融機関とその役職員が民事上の損害賠償責任を負う可能性を高める方向に働きうる。

関与の度合いなどの原則整備が責任問題のカギ

金融サービスは、人々に直接及ぼす影響が大きい。現在のAI普及の度合いや技術水準を踏まえれば、ガイドラインが掲げた補助手段性の原則は必要な考え方といえる。一方で、この原則をほかの分野にも導入できるかという点には、やや慎重にみる必要がある。

韓国金融委員会が打ち出した補助手段性は、AI利用の責任を考えるうえで一度吟味に値する論点だ。人間がどの程度関与したかによって、会社や役職員の責任は変わる。各社は自社の原則を定め、それを貫徹できるコンプライアンス体制を整備する必要がある。これがAI利用に伴う責任問題を、より明確に解く手段になる見通しだ。

<韓経Law&Biz執筆陣>ユン・ジュホ 法務法人太平洋弁護士

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