KT、18兆ウォン投資へ 通信磨きAI育成、「AX企業」に転換
概要
- KTは今後3年間で保安・IT・ネットワークに約12兆ウォン(約1兆3200億円)を投資し、海底ケーブルに1兆ウォン(約1100億円)を投じると明らかにした。
- KTは今後5年以内に1GW規模のAIDC整備へ約5兆ウォン(約5500億円)を投資し、世界のAIDC顧客を先取りする方針を示した。
- KTはトークンファクトリーとステーブルコイン基盤のデジタル金融プラットフォームを推進し、AI課金とデジタル金融市場の開拓を狙うとした。
期間別予測トレンドレポート


パク・ユニョンKT代表記者懇談会
保安・ネットワークに3年で12兆ウォン
AIDC・海底ケーブル投資も拡大
トークンファクトリー・ステーブルコインを推進

KTのパク・ユニョン代表は、通信網と保安の競争力を一段と高め、人工知能転換(AX)事業を新たな成長の柱に育てる構想を示した。会社の体質を「AXプラットフォーム企業」へ転換する考えだ。
パク代表は7月6日、ソウル市広津区のプルマン・アンバサダー・ソウル・イーストポール・ホテルで記者懇談会を開き、こうした内容の新たな経営戦略を発表した。国家基幹通信事業者として担ってきた接続インフラの役割を、AI時代に合わせて拡張する戦略と位置づける。
従来の「人と人」「人とデータ」の接続にとどまらず、今後は「人とAI」「AIとAI」を結ぶ領域まで移動通信事業の範囲を広げる。就任後100日余りの間、保安、ネットワーク、顧客接点、海底ケーブル、研究開発(R&D)など主要現場を自ら点検し、顧客信頼の回復と将来の成長基盤づくりを並行して進める戦略を具体化したという。
「強固な本業」へ 保安・ネットワークに12兆ウォン集中投資
新ビジョンの出発点には「強固な本業」を据えた。移動通信事業者の土台である保安、情報技術(IT)、ネットワークの競争力があってこそ、AI事業も持続的に育成できるとの判断だ。
このためKTは、情報保安・ITとネットワーク分野に今後3年間で約12兆ウォン(約1兆3200億円)を投じる。このうち4兆ウォン(約4400億円)を情報保安とIT革新に充てる。
これまでネットワーク部門とIT部門に分かれていた保安運営は、全社レベルの統合管理に改める。最高情報保護責任者(CISO)と個人情報保護責任者(CPO)の役職も分離し、専門性を高めた。保安の専門人材も従来の2倍に増やした。
新たな保安体制は、社内外を問わずすべてのアクセスを検証する「ゼロトラスト」を軸に再編する。ソウル大学と連携して人材育成課程を設けるなど、グループ全体の情報保安能力も引き上げる方針だ。
ネットワーク部門には3年間で約8兆ウォン(約8800億円)を投資する。顧客が体感する品質を高めると同時に、第6世代移動通信(6G)、衛星、データセンター相互接続(DCI)など次世代技術を先行して準備する。
KTは6Gについて、一般消費者向け(B2C)の商用化よりも、企業向け(B2B)と衛星接続の領域で先に活用の可能性を探っていると説明した。
1ギガワット規模のAIDC整備
AIデータセンター(AIDC)は、実需を踏まえて拡大する方針を示した。KTは今後5年以内に総計1ギガワット規模のAIDCを整備する目標を掲げた。総投資額は約5兆ウォン(約5500億円)とした。
首都圏では、電力や許認可などの開発条件をすでに確保した地域を中心に供給を増やす。非首都圏では、確実な入居需要を確認したうえで着工する。
KTは、長年にわたるデータセンター運営経験を最大の差別化要因に挙げた。高集積GPUサーバーを安定稼働させるには、冷却技術や電力効率、建物設計の能力が欠かせないためだ。
液体冷却方式など独自の運営ノウハウに、有線・無線ネットワーク、海底ケーブル、DCIの能力を組み合わせ、世界のAIDC顧客を先取りする戦略も打ち出した。
国際データトラフィックの増加に備え、海底ケーブル容量も大幅に増やす。投資額は約1兆ウォン(約1100億円)。現在約38Tbpsの海底ケーブル容量を128Tbps超へ引き上げる。大規模な新規海底ケーブル整備では、世界のビッグテックなど実際の利用企業との協力も積極的に検討しているという。
次世代の収益源「トークンファクトリー」 AI課金市場を照準
新規事業でひときわ目を引いたのが「トークンファクトリー」だ。AIサービスが定額制から従量課金型へ移るなか、企業のAIコスト管理需要が急増するとの見通しを踏まえた。トークンはAIモデルがテキストを入出力する際に使う基本単位を指す。
トークンファクトリーは、複数のAIモデルをつなぎ、顧客の質問や業務の性格に合った最適なモデルへ自動配分し、利用量も計算するプラットフォームだ。
企業顧客がChatGPT、Gemini、Claudeなど多様なAIモデルを併用する際に生じる、社員別・部署別の利用量制御やコスト管理の課題を解決する狙いがある。KTは、長年蓄積してきた通信料金の課金・精算システムの力をこの分野に移せるとみている。
パク代表はトークンファクトリーの差別化要因として課金能力を挙げ、「課金ほど通信会社が得意な分野はないだろう。多様な料金プランと結合商品を顧客ごとに課金してきた力がある」と語った。
単なる仲介事業にとどまらず、GPUやNPUの資源最適化を通じて、トークン生成コストそのものを引き下げる計画も示した。質問の文脈や目的に応じて最適なモデルを割り当て、AIエージェントの普及に合わせてトークン消費量を減らす技術も適用する。
もっとも、市場への定着は、KTが単純なAIモデル再販を超え、企業顧客に実質的なコスト削減効果を示せるかどうかに左右される。世界のAIモデルと直接契約できる企業顧客を引きつけるには、モデル配分、保安、精算、AIDCインフラを一体化した統合プラットフォームとしての明確な有用性が求められるためだ。
デジタル金融から「超個別化料金プラン」まで
KTは、グループ会社の力を結集したステーブルコイン基盤のデジタル金融プラットフォームも準備している。Kバンクの顧客基盤、BCカードの決済・精算インフラに、KTのネットワーク・保安技術を組み合わせ、発行から保管、送金、実利用のエコシステムまで全過程を網羅する構想だ。現在は関連法制化の動きに合わせ、社内で概念実証(PoC)を進めている。
B2BのAX事業は、金融、公共、製造、医療の4つの重点分野を中心に展開する。金融業界にはAIエージェントとAIコンタクトセンター(AICC)を供給する。公共部門には、データ主権の需要に対応するソブリンAI基盤のサービスを提案する。製造と医療では、フィジカルAIと政府の実証事業を軸に機会を探る。
消費者向け(B2C)のサービス体系も全面的に見直す。従来の供給者中心の料金プランから脱し、顧客が自ら料金プランと特典を設計する「超個別化サービス」を導入する。データ分析を基に、加入から相談までの全過程をデジタル化し、個別最適化した体験を提供する計画だ。
世界と韓国国内のテック企業との提携も大きく広げる。既存のマイクロソフト(Microsoft)との協力を続ける一方、グーグル(Google)、パランティア(Palantir)など世界のAI企業に加え、アップステージ(Upstage)、リベリオン(Rebellions)、ソルトルックス(Saltlux)など韓国の有望AI企業とも連携する。特定のパートナーに帰属せず、顧客需要に応じた最適な選択肢を広げる戦略だ。
パク代表は「人中心からAI中心へと接続の対象が広がるAX時代でも、大韓民国の接続を担うKTの本質は変わらない」と強調した。そのうえで「通信事業の本質をさらに強固にし、その基盤の上で確かな成長を実現して、大韓民国がAX強国へ飛躍するようけん引する」と述べた。
ホン・ミンソン 韓経ドットコム記者 mshong@hankyung.com
Korea Economic Daily
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