中国、北朝鮮産タングステンまで囲い込み AI・半導体の核心素材掌握へ
概要
- 中国はレアメタルを巡る輸出規制を強化する一方、輸入量を60%増やし、重要鉱物の供給網に対する支配力を高めている。
- この影響で、パラタングステン酸アンモニウム価格は年初比で3倍近くに上昇するなど、国際的なレアメタル価格の変動性が大きくなっている。
- 北朝鮮産のタングステン鉱石輸入額は10倍に増え、北朝鮮は中国のレアメタル確保戦略の恩恵を受ける一方、中国はこれを先端産業での競争優位を確保する手段として活用している。
期間別予測トレンドレポート


1〜5月のレアメタル輸入、60%増
輸出規制を強めつつ友好国の鉱物確保
先端産業の核心原料の供給網を掌握

中国が世界のレアメタル市場で支配力を強め、資源の武器化を進めている。自国産品の輸出規制を強化する一方、北朝鮮やミャンマーなどから原料輸入を増やし、重要鉱物の供給網掌握を狙う戦略だ。中国への依存度が高い日本など主要国は、調達先の多様化を迫られている。
日本経済新聞は6月27日、中国税関総署の統計を基に、中国が2025年2月に輸出規制の対象に指定したレアメタル関連22品目の2026年1〜5月の輸入量が35万トンとなり、前年同期比で60%増えたと報じた。3月単月の輸入量は9万トンを超え、7年2カ月ぶりの高水準を記録した。
中国は2025年2月、米国との貿易摩擦が深まるなか、タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウム関連品目を輸出管理の対象に加えた。レアメタルは半導体や電気自動車、航空宇宙、先端製造業に欠かせない素材で、供給網での戦略的価値が高い。
中国は世界有数のレアメタル生産国だが、最近は国内供給を調整しつつ、海外原料の確保を急いでいる。とくにモリブデン鉱石とタングステン鉱石の2026年1〜5月の輸入量は5万5400トンと、前年同期比で59%増えた。ミャンマー、ウズベキスタン、カザフスタンなど、中国と関係の近い国々からの調達拡大が目立った。
中国による供給網掌握の動きは、国際価格にも影響を及ぼしている。中国の情報会社、上海有色網によると、5月末に欧州で取引されたパラタングステン酸アンモニウムの価格は1MTU(10キログラム相当)当たり約3000ドルと、年初比で3倍近くに上昇した。
一方、中国国内の取引価格は3月の高値を付けた後、半値以下に下落した。日本のタングステン超硬工具メーカーは、中国製の低価格工具の輸出が広がれば、原料だけでなく加工品市場でも中国依存が高まりかねないと警戒する。
中国は使用済み工具などからタングステンを回収するリサイクル原料の確保にも乗り出している。米タングステン・スクラップ会社アメリンのライアン・マクアダムス最高経営責任者(CEO)は、中国が米国産タングステン・スクラップを買い付けていると明らかにした。中国は世界の供給網の各所で原料確保を進めているという。
北朝鮮も中国のレアメタル確保戦略の恩恵を受けている。中国による北朝鮮産タングステン鉱石の2026年1〜5月の輸入額は8750万ドルと、前年同期の10倍に膨らんだ。
朝鮮半島のタングステン鉱山の相当数は、日本統治時代に開発された。国連制裁で北朝鮮の石炭と鉄鉱石の輸出が止まった後、タングステンは制裁対象から外れた主要な外貨獲得手段として浮上した。現在、タングステン鉱石は北朝鮮の対中輸出品目で金額ベースの最大品目となっており、これまで主力だったかつらを上回っている。
中国はレアメタル供給網をてこに、先端産業競争で優位を確保する動きを強めている。米国や日本など西側諸国は、中国依存を引き下げる新たな供給網の構築を急ぐ局面にある。
複雑な論点から最新トレンドまで。いま購読すれば、毎朝「東京ナウ」が日本のいまをいち早く届ける。
東京=チェ・マンス特派員 bebop@hankyung.com
Korea Economic Daily
hankyung@bloomingbit.ioThe Korea Economic Daily Global is a digital media where latest news on Korean companies, industries, and financial markets.