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メモリー発の物価波及が始動 アップル、最大28.7%値上げ

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Korea Economic Daily

期間別予測トレンドレポート

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アップルが値上げ、「第3のインフレ」到来も

チップフレーションが現実に

写真:Shutterstock
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半導体価格の上昇が、電子機器を中心に消費財全般の値上がりを招く「チップフレーション(chip+inflation)」が現実になりつつある。半導体高を理由にアップルが最新製品の値上げを決めた。電気料金や人件費の上昇も重なっている。

アップルは6月25日、主要製品の価格引き上げを発表した。マックブック・プロは1999ドルとし17.7%引き上げる。マックブック・エアは18.2%高い1299ドルで販売する。より低価格帯のiPadは値上げ幅が一段と大きい。iPad Airは25.0%、iPad Proは20.0%、低価格モデルのiPadは28.7%上がる。

アップルは値上げの理由について、人工知能(AI)データセンターの急拡大でメモリー半導体と記憶装置の需要が異常なペースで増え、部品価格が急騰したためだと説明した。部品価格がこれほど急速かつ大幅に上昇したのは初めてだとも明らかにした。

AIデータセンター向けの半導体需要は大きく増えている。市場調査会社ファクトセットによると、アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフト(MS)、オラクルの5大ハイパースケーラー(大手クラウド事業者)の2026年の設備投資は7410億ドルに達する見通しだ。大半はデータセンターなどAIインフラに投じられる予定で、前年より75%増える。

この動きはメモリー半導体や電線、冷却装置の価格だけでなく、関連人件費も押し上げている。市場調査会社トレンドフォースによると、DRAM価格は2025年に172%上昇し、2026年1〜3月期にも90%超上がった。

米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、半導体が引き金となる「第3のインフレ」が迫っていると分析した。新型コロナウイルス禍の供給網危機、ロシアとウクライナの戦争に伴うエネルギー価格急騰に続く波だ。6月26日のアジア市場では、製品値上げによる需要鈍化への懸念から、サムスン電子やSKハイニックス、日本のキオクシアなどメモリー半導体各社の株価が急落した。

AIインフラ投資競争が火種、DRAM価格は3カ月で2倍

電気料金・技術者賃金も上昇、「チップフレーションは最低2年」

アップル製品の価格動向は、世界の物価の流れを映す重要な指標とされる。長期供給契約や大規模な先行発注、設計最適化を通じてコスト上昇を吸収する力が最も強い企業だからだ。アップルの値上げは、インフレの本格化を示す動きといえる。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は最近、「40年以上電子業界に身を置いてきたが、今のような『チップフレーション』は初めて経験する」と語った。そのうえで「100年に一度の洪水のようだ」と付け加えた。

AI発のインフレ

アップルはむしろ長く持ちこたえた方だ。サムスン電子は2025年まで据え置いていたスマートフォン価格を2026年初めに最大20%引き上げた。任天堂、ソニー、マイクロソフトはゲーム機を値上げした。デル、HP、レノボなどのパソコンメーカーも2025年から15〜20%の値上げを通知している。

今回のインフレは、出発点が「消費」ではなく「投資」である点で異色だ。競合より先にAIインフラを整備しようとする巨大テック企業の設備投資競争が発端となっているからだ。米コロンビア大学経営大学院のステイン・ファンニューウェルバーグ教授は、AIデータセンターには高度な計算設備や冷却システム、電力・光ファイバーケーブル、停電を防ぐ予備発電機が必要だと指摘した。2032年までのAIインフラ構築支出は8兆ドルに達しうるとの見通しも示した。

新型コロナ拡大直後のインフレは、港湾閉鎖や物流のボトルネック、工場停止など供給網のまひが出発点だった。ロシアとウクライナの戦争後の物価ショックは、原油や天然ガス、穀物、肥料などエネルギー・原材料価格の急騰が原因だった。今回はそれとは様相が異なる。

消費者物価にも波及

メモリー価格上昇の影響は最終消費財に及び始めている。AIアクセラレーターには高帯域幅メモリー(HBM)が欠かせない。メモリーメーカーがHBMやデータセンター向け高付加価値製品を優先して生産すれば、スマートフォンや自動車、家電に使う汎用DRAMやNANDフラッシュの供給は相対的に減る。

半導体価格は急騰した。トレンドフォースによると、DRAM価格は2026年1〜3月期に最大98%上昇し、4〜6月期も58〜63%の追加上昇が見込まれる。スマートフォン向けDRAMとNANDフラッシュの価格も、直近3カ月で80%超上がった。市場調査会社シグマインテルによると、スマートフォン向け「LPDDR 5X 12GB」の価格は2026年1〜3月期の77.1ドルから4〜6月期には145.9ドルに上昇したと推定される。同じ期間にスマートフォン向け記憶装置「UFS 256GB」の価格も31ドルから62.7ドルへと2倍超に上がった。

米国では消費者物価への目に見える影響も出始めた。米労働省が最近公表した5月のコンピューターソフトウエア・周辺機器の消費者物価は前年同月比14.5%上昇した。卸売りベースでは、同期間の電子部品価格が27%上がった。

人件費も押し上げられている。データセンター建設需要で引き合いが強まった電気・配線設置技術者の平均時給は、米国で4月時点に前年同月比6.5%上昇した。民間部門全体の賃金上昇率3.6%の2倍近い。データセンター需要で電気料金が上がり、住宅向け電気料金は5.9%上昇した。

「チップフレーションは始まったばかり」

全米企業エコノミスト協会(NABE)の調査では、回答者の81%がAIインフラ整備は今後2年間、物価を押し上げると答えた。ゴールドマン・サックスは、データセンター稼働により2026年と2027年の消費者向け電気料金がそれぞれ約6%上がると見込む。

チップフレーションはまだ序盤にすぎないとの指摘もある。米連邦準備理事会(FRB)のリサ・クック理事は先月、スタンフォード大学での講演で、AI投資ブームが新たな物価圧力として作用していると指摘した。企業が公表したデータセンター計画はすでに1兆5000億ドルを超えるが、実際に具体化したのは一部にとどまるとも語った。今後数年で8兆ドル規模の投資が順次実行されれば、資源需要と価格圧力は一段と強まる公算が大きい。

キム・ジュワン/キム・チェヨン/イ・ヘイン記者 kjwan@hankyung.com

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