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人民元決済網拡大の中国、米制裁網揺るがす

出典
Korea Economic Daily

期間別予測トレンドレポート

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イラン産原油の代金、大半を人民元で決済

ロシア・イランの制裁回避手段に浮上

中国、ドル代替より特定の貿易回廊構築

写真:Shutterstock
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中国が人民元建ての金融網を広げ、イランやロシアの西側制裁の回避ルートを拡大している。米国がドル中心の金融秩序を使って国際取引を統制してきた力が弱まる可能性があり、影響は大きい。

人民元がイラン制裁の実効性削ぐ

6月26日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米ホワイトハウスはイランとの新たな核合意を巡る協議で、制裁緩和と約1000億ドルの凍結資産へのアクセスを交渉材料にしている。もっとも、イランはここ数年、中国が整えた人民元建ての金融の仕組みを使って米制裁の打撃を和らげてきた。こうした仕組みはワシントンの統制が及ばない範囲で動いているという。

この変化は、米国が4月末にイランを標的とする「経済的怒り」キャンペーンを強化した際に表面化した。米国は、イラン産原油を数十億ドル分購入したと認定した中国の大手製油会社、恒力石化を制裁対象に加えた。恒力石化は、供給業者から当該原油はイラン産ではないとの保証を受けていたと説明した。そのうえで、今後の原油購入代金はドルではなく人民元で決済する方針を示した。外部から資金の流れを追跡しにくくする措置だ。

米ドルは現在、国際貿易金融の約80%で使われている。ドル建ての国際取引の大半は米銀を通じて決済されるため、米国はこれを監視し、必要ならドルへのアクセスを断つことで取引相手に圧力をかけられる。だが、米国の敵対国が人民元で取引すれば、その決済は米国主導の銀行システムに入らない。米制裁の執行力はその分弱まる。

イラン産原油の販売代金、大半が人民元建て

米財務省によると、イラン産原油の販売代金の大半は人民元で支払われた。イランはその資金で、中国製の自動車部品や太陽光パネルのほか、各種の商品やサービスを購入している。民生用と表示されながら兵器にも転用できるデュアルユース品も含まれる。こうした取引は米国の統制外で進む。

ホルムズ海峡を通過する船舶も、紛争期間中にイランから通航料を人民元や暗号資産で支払うよう求められたとされる。暗号資産も米国が統制しにくい決済手段だ。米財務省当局者は、イランと中国の協力先が香港などに秘密の仲介業者やペーパーカンパニーを設け、人民元建て貿易を後押ししているとみている。

一部の取引は、中国の国際決済網であるCIPSを通じて処理される。CIPSは中国が2015年に導入した人民元ベースの決済システムで、国際銀行間通信協会(SWIFT)網の代替として設計された。米国が容易に監視しにくいことが最大の特徴だ。アトランティック・カウンシルによると、CIPSの取引額は米国とイランの対立後に増え、2月末以降の3カ月間は1日平均で約7900億元、約1150億ドルとなった。前年の1日平均は約6800億元、約1000億ドルだった。

SWIFT網の処理額は1日5兆ドル超と推定され、CIPSを大きく上回る。ただ、CIPSの利用は急速に増えており、より国際的な越境決済網へと変わりつつある。ロシアでも同様の動きが出た。2022年2月にウクライナ戦争が始まり、米国が制裁を強めると、ロシアの対中原油輸出やその他の貿易決済で人民元の利用が広がった。

人民元決済網の取引額、2倍に

中国人民銀行とCIPSのデータによると、ウクライナ戦争の開始から2025年半ばまでに、CIPSの1日当たり取引額は2倍に増えた。プラットフォームに参加する金融機関数も2倍以上に増加した。ロシア当局者は現在、ロシアと中国の貿易の90%以上が人民元とルーブルで決済されているとしている。ポーランドのシンクタンク、東方研究センターによると、2022年2月時点でロシア貿易に占める人民元の比率は2%だった。

世界の貿易金融に占める人民元の比率も高まっている。SWIFTのデータでは、人民元の比率はこの5年間で3倍に増え、4月には6%に達した。今年の大半の期間、人民元はドルに次ぐ第2の貿易金融通貨となり、ユーロを上回った。中国人民銀行のデータでは、中国の越境取引のうち自国通貨建ての割合も足元で約半分に達する。15年前にはほぼゼロだった。

中国は2021年に始めたmBridgeの拡大も急いでいる。mBridgeは人民元や他通貨のデジタル版を使い、中央銀行間の決済として越境送金を処理するプラットフォームだ。資金が米金融機関を経由しない仕組みになっている。国際通貨基金(IMF)出身でアトランティック・カウンシルの研究員を務めるジョシュ・リプスキー氏は、こうした人民元基盤のシステムが米制裁の回避を容易にし、米情報機関の資金フロー把握能力を鈍らせると指摘した。

中国外務省は、中国とイランの原油取引の実態は把握していないと説明した。両国関係は常に国際法の枠内で進められてきたとも述べた。あわせて、中国はロシアを含む世界各国と平等と相互利益の原則に基づいて協力しているとした。

中国、ドル圏外で機能する貿易回廊を志向

中国が目指しているのは、世界全体でドルを人民元に完全に置き換えることではない。人民元の利用を一段と増やすには、中国は資本規制を手放し、通貨を自由に変動させるなど痛みを伴う経済改革に踏み込む必要がある。資本流出や金融不安を招く恐れもある。中国の狙いは、ドル圏の外で機能する特定の貿易回廊を整備することに近い。

元米財務省当局者は、こうした動きの背景に米国の権威を弱め、中国の同盟先を支える狙いがあるとみる。中国は米国の一方的な制裁に反対する立場だ。同時に、米国と西側がイランやロシアに加えた経済的圧力が、将来は台湾問題を巡って中国自身に向かう事態に備える意味合いもあるとみられている。

ファン・ジョンス 韓国経済新聞記者 hjs@hankyung.com

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