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トークン化金融資産、2030年に2兆ドル時代 オンチェーンの「マネー・ムーブ」始動[イーストポイント:ソウル 2026]

出典
Korea Economic Daily

概要

  • マッキンゼーは、トークン化 金融資産 市場が2030年に 2兆ドル 規模へ成長するとの見通しを示した。
  • トークン化 米国債マネー・マーケット・ファンド(MMF)預金トークンステーブルコイン などが、オンチェーンの 資本市場インフラ 再編を主導していると指摘した。
  • オンチェーンの マネー・ムーブ が本格化し、デジタル資産産業の重心が 取引所 の価格競争から 資本市場インフラ競争 へ移っていると伝えた。

期間別予測トレンドレポート

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イ・ジョンソプ ソウル大経営大学教授

イ・ジョンソプ ソウル大経営大学教授。写真:ソウル大
イ・ジョンソプ ソウル大経営大学教授。写真:ソウル大

資本市場の変化は、たいてい静かに始まる。投資家が実感する前に先に動くのは、決済や清算、担保、カストディーといった目に見えにくい領域だ。

いまオンチェーン資本市場で起きていることも同じである。市場の関心はなお「価格」に集まっている。だが、より注目すべきなのは、資金や資産の動き方そのものが変わりつつある点だ。金融機関は資産の発行や決済を担うインフラを組み直している。筆者は、この変化が今後の金融の局面を分けるとみる。

ブロックチェーンは長らく、新たなトークンを発行する技術として受け止められてきた。だが最近の流れは違う。市場は今、既存の資本市場インフラをオンチェーンに移す段階に入った。

米国債、マネー・マーケット・ファンド(MMF)、プライベートクレジット、預金性資産といった既存の金融資産をブロックチェーン上で扱おうとする動きが本格化している。これは紙の書類をデジタルファイルに置き換える話ではない。金融取引の日程や運営の仕組みを根本から変える動きである。

数字はすでに方向を示している。米コンサルティング大手マッキンゼーは、トークン化金融資産の市場規模が2030年に2兆ドルに達すると予測した。急成長するステーブルコイン市場は含まない。保守的に見積もっても、債券やファンド、融資、上場投資商品(ETP)といった伝統金融の商品が大挙してオンチェーンへ移る可能性が高いことを意味する。

成長が最も鮮明なのは、トークン化した米国債の分野だ。デジタル資産データ分析会社RWAxyzによると、市場規模は足元で150億ドルに拡大した。ブラックロック(BlackRock)やフランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)といった大手運用会社が成長を主導した。機関投資家によるオンチェーンの実験が、実際の資産運用へ進化していることを示している。

世界の金融機関の取り組み方も変わってきた。ブラックロックとフランクリン・テンプルトンは、トークン化したデジタルMMFを前面に押し出して機関投資家を呼び込んでいる。JPモルガン(JPMorgan)、シティ(Citi)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、預金トークンや担保移転、トークン証券(STO)の決済インフラを試している。

一歩先では、ブロックチェーン上でトークン化国債を担保に使う分散型台帳レポ(DL Repo)も広がっている。担保の所有権がリアルタイム(T+0)で移るため、1日未満のイントラデー・レポが可能になった。清算が終わるまで融資が縛られていたボトルネックが解消される。ブロックチェーンが新規事業部門の実験テーマだった段階は過ぎた。いまは決済や清算、流動性管理の中核業務として扱われている。

では、なぜ今なのか。技術トレンドだけでは説明が足りない。既存の金融インフラには古くからのボトルネックがある。国境をまたぐ証券決済は遅い。プライベート市場の流動性は限られる。担保の移転には複数の仲介機関を経る必要がある。取引は画面上で即時に成立しても、実際の権利移転や清算には別の手続きが伴う。オンチェーンのインフラは、この隔たりを縮めようとしている。

この過程では、決済資産の役割が大きくなる。トークン化国債やファンドを動かすには、反対側に安定した決済手段が必要になる。ステーブルコインとトークン化預金が、この構造の中核を担う。

トークン化の意味は、コスト削減だけにとどまらない。新たな収益機会も開く。機関投資家はトークン化資産を24時間取引し、担保として活用できるようになる。遊休資産をより速く回転させられるということだ。分割持ち分は、これまで投資しにくかったプライベートクレジットや不動産といった資産に新たな投資家を呼び込む。運用会社にとっては、商品の参入障壁を下げ、手数料基盤を広げる道にもなる。

今後の競争は、どの資産をトークン化したかでは決まらない。その資産がどの決済ネットワークとカストディーの仕組みを備えるか、どの機関ネットワークとつながるかが一段と重要になる。機関向けの事業は、決済や担保、カストディー、会計、開示がかみ合って初めて動く。オンチェーン資本市場の勝負どころは、技術の完成度そのものではない。金融機関の業務プロセスにどこまで深く結びつくかにある。

筆者はこれを、オンチェーンのマネー・ムーブが本格化する局面だとみている。資産をブロックチェーンに載せるだけでは足りない。重要なのは、その資産が実際の金融業務のなかで適切に動くかどうかだ。

規制を巡る議論も同じ方向に進んでいる。米国や日本、欧州連合(EU)などの主要国は、デジタル資産を制度金融に組み込む方法の具体化を進めている。韓国でも、トークン証券の制度化やウォン建てステーブルコイン、機関向けカストディーインフラが議論されている。いま問うべきなのは、ブロックチェーンが金融に必要かどうかではない。誰が先に制度圏で機能する事業モデルをつくるかである。

残された課題は少なくない。トークンと実際の権利の法的関係を明確にしなければならない。投資家保護や開示、会計処理、セキュリティー基準も精緻にする必要がある。カストディーと内部統制の基準は、機関投資家の参加の前提条件だ。ただ、こうした議論が本格化したこと自体が重要である。オンチェーン資本市場が、金融の周辺部の実験を超え、制度圏の深部へ入りつつあることを意味するからだ。

デジタル資産産業の重心は移っている。取引所中心の価格競争から資本市場インフラの競争へ、トークン発行から機関投資家の資産運用の仕組みを組み直すシステム競争へと軸足が移っている。オンチェーンのマネー・ムーブはなお初期段階にある。だが方向は明確だ。この流れに乗り遅れる金融機関や国家は、他者が設計したインフラの上で後から居場所を探す立場に追い込まれるだろう。

イ・ジョンソプ ソウル大経営大学教授

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