SKハイニックス、最大リスクにAI投資減速 米中摩擦や巨額投資負担も明示
概要
- SKハイニックスは、人工知能(AI)インフラ投資の減速と、HBMやサーバー向けDRAM需要の縮小を最大のリスクとして挙げた。
- 米中の貿易摩擦、メモリー半導体の景気変動性、大規模な設備投資の遅延や費用超過の可能性を主なリスク要因として明記した。
- ナスダックADR上場を通じて投資家層の拡大と企業価値の向上を図り、グローバル企業としての地位強化を見込んでいるとした。
期間別予測トレンドレポート


SKハイニックスは、人工知能(AI)インフラ投資の減速を最大のリスク要因に挙げた。高帯域幅メモリー(HBM)需要の急増を追い風に過去最高業績を続けているものの、米巨大テック企業のAI投資が鈍化したり受注が減ったりすれば、業績が大きく悪化する可能性があるとみている。
6月25日に米ナスダック市場で米国預託証券(ADR)の上場に向けて提出した証券届出書によると、足元の業績改善はAIインフラ投資の拡大に伴うHBMやサーバー向けDRAMなど高性能メモリー需要の増加に大きく依存している。主要顧客のAI関連設備投資が鈍化したり、技術変化でメモリー需要が縮小したりした場合、営業成績が大幅に悪化する可能性があるとも記載した。
同社が重要な変数として挙げたのは、ハイパースケールクラウド事業者など大手テクノロジー企業の投資ペースだ。AIインフラ需要はこうした企業の大規模な設備投資に左右されるため、マクロ経済環境や投資採算への懸念で投資が縮小・遅延すれば、SKハイニックス製品の需要にも影響が及ぶとしている。
受注動向の変化もリスク要因に盛り込んだ。主要顧客が事前発注後に在庫調整や注文取り消しに動けば、製品需要が大幅に減速する可能性があるという。AI投資拡大局面で膨らんだ高性能メモリー需要が、顧客の投資判断や在庫戦略によって揺らぎ得ることを示した。
技術変化も変数として示した。メモリー使用量や演算資源の消費を減らす新技術が登場したり、AI技術の商用化が進まなかったりした場合、高性能メモリー需要そのものが減少する可能性があると説明した。
メモリー半導体業界特有の景気変動の大きさもリスクとして明記した。売上高の90%超がDRAMやNANDフラッシュなどメモリー半導体製品によるためだ。メモリー業界では、生産能力の拡大局面と需要減速局面が重なると、世界的な供給過剰と価格下落が繰り返される傾向がある。
実際、業績の振れ幅は直前の下降局面ですでに表れていた。SKハイニックスは2023年に営業損失7兆7303億ウォン(約8503億円)、当期純損失9兆1375億ウォン(約1兆52億円)を計上した。その後は市況回復を受け、営業利益は2024年が23兆4673億ウォン(約2兆5814億円)、2025年が47兆2063億ウォン(約5兆1927億円)、2026年1〜3月期が37兆6103億ウォン(約4兆1366億円)に改善した。当期純利益も2024年が19兆7969億ウォン(約2兆1778億円)、2025年が42兆9479億ウォン(約4兆7243億円)、2026年1〜3月期が40兆3459億ウォン(約4兆4375億円)に大きく増えた。
米中の貿易摩擦もリスク要因として明示した。SKハイニックスは、売上高の相当部分が米国と中国に所在する顧客に集中しているとした。2025年時点で、米国と中国の販売法人を通じた売上高比率はそれぞれ68.8%、19.7%に達する。関税や輸出規制、米中両政府の補助金や規制措置が主要顧客の生産とメモリー需要に悪影響を及ぼす可能性があると指摘した。実際、過去には米国の輸出規制強化を受け、一部顧客への製品販売を中断したことがあるとしている。
大規模な設備投資も別のリスク要因に挙げた。先端メモリー需要の増加に対応するため、生産能力の拡張と新規投資を進めているが、日程の遅れや費用超過が生じれば業績の重荷になり得るという。竜仁半導体クラスター1期工場、清州P&T7、米インディアナ州の先端パッケージング工場などに、総額55兆9196億ウォン(約6兆1498億円)の設備投資を計画している。
SKハイニックスは今回のナスダックADR上場を成長の足場にする考えだ。SKハイニックスの関係者は「ADR上場後は投資家層が広がり、最終的には適正な企業価値の評価を受けられるだろう」と述べたうえで、「AI技術革新の中心である米国で接点を広げることで、グローバル企業としての地位も一段と高まると期待している」と語った。
ホン・ミンソン 韓経ドットコム記者 mshong@hankyung.com
Korea Economic Daily
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