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「親切なFRB」はもういない ウォーシュ議長が示したFedの真意

出典
Korea Economic Daily

概要

  • ゴールドマン・サックスは、低物価・低金利の容易な資金の時代が終わり、ポストモダン・サイクルに入ったと明らかにした。
  • ウォーシュFRB議長は、Fedプットへの期待を弱め、市場は経済データそのものに基づいて価格を付けるべきだと述べた。
  • ゴールドマン・サックスは、AIハードウエア電力・エネルギー防衛インフラの4大テーマを軸にしたポートフォリオを推奨した。

期間別予測トレンドレポート

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「容易な資金」の時代が暮れる

「Fedプット」終焉をにじませたウォーシュ氏

ゴールドマン「低金利・低物価の黄金期は終わった」

「安い資金」から「選別する資金」へ

資金はAI・電力・防衛・インフラに向かう

写真:フーバー研究所
写真:フーバー研究所

足元の市場を見ると、投資環境が急速に変わっていることがわかる。低金利が続き、グローバル化が物価を抑え、中央銀行は危機のたびに資金を供給して市場を落ち着かせてきた。成長株でも債券でも不動産でも、時間がたてば大半の資産がそろって上がる。1980年代以降の40年あまりは、おおむねそうした時代だった。

その時代は終わりに向かっている。少なくともウォール街はそうみる。資金供給そのものが途絶えるわけではない。AIの主導権と覇権を巡る米中競争、地政学的分断とエネルギー安全保障、各国の自強路線を背景に、政府は今後も財政支出を膨らませる公算が大きい。AI、インフラ、防衛、エネルギーへの投資も増える可能性が高い。終わるのは、安い資金があらゆる資産を一律に押し上げた「容易な資金」の時代だ。

ウォーシュ氏、市場に「自分で判断せよ」

今週、この変化を象徴したのが、米連邦準備理事会(FRB)の新議長に就いたケビン・ウォーシュ氏の初舞台だった。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の半数が年内の利上げを見込んだ。ウォーシュ議長は記者会見で「物価安定」という言葉を12回繰り返した。声明文やドットチャートがタカ派色を強めても、記者会見では動揺した市場を和らげることが多かった前任のジェローム・パウエル議長とは対照的だった。ダブルライン・キャピタル(DoubleLine Capital)のジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は「市場が期待していた『イージーマネー』の議長ではない」と評した。

ただ、ウォーシュ氏の本当のメッセージは利上げではない。同氏は過去の発言でも今回の会見でも、伝統的な意味でのタカ派と決めつける材料をほとんど与えなかった。以前から唱えてきたのは、バランスシートを縮小してインフレの根本要因を取り除き、そのうえで金利は引き下げるべきだという考え方だった。

今回も「住宅市場を除けば金融環境は引き締まっていない」「2%の物価目標は必ず達成する」といったタカ派寄りの発言をした。一方で「足元の高インフレのデータは集計方法が古く、信頼できない」「ドットチャートはいつでも消しゴムで消せる」とも語った。発言だけを追っても、同氏がタカ派なのかハト派なのか、次の一手が利上げなのか据え置きなのか利下げなのかを見極める手掛かりはほとんどなかった。本人が宣言した通り、「金融政策の方向について個人的な見通しを示すことは控える」姿勢を貫いたためだ。

代わりに狙ったメッセージは別にあった。「市場はデータに対するFRBの反応ではなく、経済データそのものに反応すべきだ」という点である。経済指標が出るたびにFRBがどう受け止めるか、利下げするのか利上げするのか、FRB高官が何を言うのかばかりを見るのではなく、指標そのものを見て自ら値付けせよということだ。モット・キャピタルの創業者マイケル・クレーマー氏は、市場に「もう自分たちでやるしかない」と告げたに等しいと指摘した。

量的緩和(QE)が始まって以来、投資家は長く「Fedプット」に慣れてきた。株式市場が大きく揺れれば、FRBが利下げを示唆したり流動性を供給したりして市場を下支えするという期待だ。そして多くの場合、市場の期待通りに動いた。だがウォーシュ氏は、この連鎖を断ち、安全網を外す考えを示した。市場が中央銀行に過度に依存し、中央銀行もそうした市場をなだめながら導くやり方から、市場がデータそのものを価格に織り込む仕組みに改めるべきだという発想である。

そのためウォーシュ氏は、データ収集の方式、コミュニケーションのあり方、インフレの枠組みをすべて見直すと宣言した。FRBだけを見てきた市場を自立させるには、より信頼できるデータを示し、AIが生産性や雇用に及ぼす影響をできる限り測定して伝え、FRBから発信するメッセージの量も絞る必要があるという考えだ。

改革が成功するかどうかは誰にもわからない。米政府は今後さらに国債発行を増やす必要がある一方、FRBはバランスシートの縮小を目指している。財政に従属しがちな中央銀行が、本当に思惑通りに動けるのか疑問は残る。ただ核心は、FRB議長が「やさしく市場をなだめ、資金を供給してくれる中央銀行はもうない」という意思を示したことにある。

投資パラダイムの構造変化

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、「容易な資金」の時代の終わりを、より大きな投資パラダイムの転換として説明した。低物価・低金利・グローバル化の黄金期は終わり、市場は「ポストモダン・サイクル」に入ったという診断だ。

1980年代以降、インフレの低下、加速するグローバル化、規制緩和、減税は企業コストを押し下げ、利益を押し上げた。低金利はバリュエーションの拡大も支えた。2008年の金融危機後には、量的緩和とゼロ金利が米大型ハイテク株や成長株の全盛期を生んだ。世界的な低成長・低物価の環境下で、比較的予見しやすいかたちで高成長を続けたのが米プラットフォーム企業だったためだ。超低金利はそうした企業のバリュエーションをさらに膨らませた。

いまは前提条件が一変した。新型コロナウイルス禍後のインフレショックは実質金利を押し上げ、政府債務は大きく膨らんだ。関税と地域化によってグローバル化は後退し、企業コストと物価は上昇した。地政学的緊張は、防衛費やエネルギー安全保障、サプライチェーン再編への投資を促している。最大の変化はAI革命だ。データセンター、半導体、送電網、ネットワークといった物理インフラに、前例のない規模の設備投資需要を生み出している。この変化は産業構造だけでなく、株式市場で主導権を握る銘柄群も変えつつある。

政府と企業が設備投資を増やすには、より多くの資本が必要になる。その結果、資本コスト、物価、金利は上がっている。企業が高いバリュエーションを正当化するには、もはや成長ストーリーだけでは足りない。実際の利益成長とキャッシュフローを示し、将来業績の見通しも継続的に上方修正していく必要がある。足元の市場で、AIインフラや製造業、防衛、エネルギーなど投資拡大の恩恵を受ける分野だけが強い値動きを続けているのはそのためだ。

結局、「容易な資金の終わり」とは、資金がより選別的に、より厳しく動くという意味である。ゴールドマン・サックスは、AIハードウエア、電力・エネルギー、防衛、インフラの4大テーマを軸にポートフォリオを組むべきだと提案した。

動画では、ウォーシュFRB議長のメッセージをさらに詳しく分析したほか、2021年以降で初めてマイナスに転じた超過流動性の意味、そしてゴールドマン・サックスが語る「ポストモダン・サイクル」を掘り下げた。新たなパラダイムのもとで、投資家が資産を評価する際に何を問うべきかも整理している。

ニューヨーク=ビン・ナンセ特派員 binthere@hankyung.com

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