米銀行株に最高値ラリー、KBW銀行ETFは15年ぶり高値
概要
- 米 金融株、とりわけ KBW銀行ETF や JPモルガン、バンカメ など大手銀行株が、15年ぶりに取引時間中の過去最高値を更新したと伝えた。
- 足元では大型 IPO に伴う 手数料収入の急増 に加え、AI 活用によるコスト削減で業績改善への期待が強まっているとした。
- 大手銀行を組み入れた XLF ETF の予想 PER は S&P500 に比べて約30%%割安で、機関投資家の買いが流入していると伝えた。
期間別予測トレンドレポート


大型IPOで手数料収入が急増
金融セクターに買いが流入
KBW銀行ETF・JPモルガン・バンカメ
大型株が相次ぎ取引時間中の最高値更新
「S&P500より3割ほど割安」
AI株急騰の代替投資先として浮上

米金融株は6月17日、ニューヨーク株式市場で取引時間中の過去最高値を更新した。これまで人工知能(AI)関連株の陰に隠れていたが、足元では大型の新規株式公開(IPO)で資本市場業務が息を吹き返している。銀行株の割安感も重なり、投資家の関心を集めている。
6月17日のナスダック市場では、主要金融株で構成するインベスコKBWバンクETF(KBWB)が直近5営業日で3.06%上昇した。同日は前営業日比0.34%安の93.23ドルで終えたものの、取引時間中には95.05ドルまで上昇した。2011年の上場以来、15年ぶりの高値となった。
大手銀行株もそろって取引時間中の最高値を付けた。JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)は一時2%高の337.77ドル、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は2%高の57.98ドルまで上げた。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)やモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)もそろって堅調だった。ただ、引けにかけてケビン・ウォーシュ米連邦準備理事会(Fed)議長の初の記者会見が始まると、金融政策を巡る不透明感への警戒が強まり、下げに転じた。
証券業界では、ハイテク株の上昇が大きかっただけに、今後は大手金融株に注目すべき局面だとの指摘が出ている。過去の値動きをみると、大手金融株は利上げ初期やマクロ経済の衝撃時に一時的に揺らいだ後、新たな環境に適応して段階的な上昇局面をたどることが多かったためだ。
JPモルガン・チェースの株価推移はその典型といえる。新型コロナウイルス禍への対応で政策金利が年0.00〜0.25%の超低金利に据え置かれていた2021年には、株価は171ドルまで上昇した。だが翌年にはFedの急速な利上げを受け、101ドル台まで急落した。Fedが6月から11月まで4会合連続でジャイアントステップ(1回に0.75ポイントの利上げ)を実施し、政策金利を年4.25〜4.50%まで一気に引き上げたため、短期の資金調達コスト増加への懸念が織り込まれた。
もっとも、2023年にシリコンバレー銀行(SVB)の破綻をきっかけに広がった地方銀行不安を無難に乗り切ると、JPモルガン株は持ち直した。地方銀行の連鎖破綻懸念が強まるなか、預金者の資金は大手行に流入した。株価も130〜170ドルの範囲で底堅く推移した。
2026年に入ってからも、危機が後退すると株価はすぐに反発した。1月には過去最高の334ドルを付けた。その後は2月に中東情勢の緊迫化とオイルショックが重なり、282ドル台まで下押しした。だが停戦の可能性が高まると切り返し、6月時点では再び333ドル台と前回高値圏に戻った。

資本市場の回復が導く「手数料収入ラッシュ」
証券業界が注目するのは、足元で手数料収入が急増している点だ。IPO市場が活況を取り戻し、大手銀行の手数料収入が大きく膨らんでいるためである。象徴的なのが、スペースX(SpaceX)が750億ドル規模の資金を調達し、主幹事各社に5億ドルに達する手数料をもたらした事例だ。
リゾルツ・ウェルス・マネジメント(Ritholtz Wealth Management)のジョシュ・ブラウン最高経営責任者(CEO)は「大手銀行株は、単純な預貸利ざやに依存する金融会社ではなく、手数料収入型の金融会社だ」と述べた。そのうえで「IPO市場が息を吹き返し、取引需要の恩恵を受けている」と分析した。
利息収入偏重の事業構造から脱し、革新技術を取り込んだ体質改善も追い風になっている。金融業界は借り手の信用評価や保険顧客のリスク分析など中核業務にAIを先行投入し、運営コストの大幅削減と利益率の引き上げに力を入れている。
業績改善期待に比べて株価がなお割安なことも、機関投資家の買いを誘っている。米投資専門誌バロンズは、米大手銀行を組み入れたステート・ストリート・ファイナンシャル・セレクト・セクターSPDR ETF(XLF)の今後12カ月の予想PERは15倍を下回ると報じた。S&P500種株価指数の21倍に比べ、3割ほど低い水準だと評価した。
パク・ジュヨン記者 grumpy_cat@hankyung.com

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